今日のテーマは、『イッセイミヤケ内定取消に想う、一生安泰は無いということ』です。
先日、就活市場を賑わせたニュースがあります。
『イッセイミヤケ、2021年入社予定学生の内定取消し』
日本を代表するアパレル・ブランド『イッセイミヤケ』が、
来春入社予定だった学生の内定を、一斉打切りしたのです。
一部、例外的に、専門性の高い職種の採用は残すようですが、
『販売員』が大半を占める入社予定者の内定は取り消します。
想像出来る通り、
今春、突如世界を襲った『コロナ危機』により、
直営店、百貨店が休業・営業自粛に追い込まれ、
現在では、売り上げ予測すら立たない状況に追い込まれていました。
また、
今後、アパレル業界の回復がいつ訪れるか分からない事から、
再来年度(2022年度)の採用活動も、現状、行わないとします。
私自身、
大学新卒の就職活動を行ったのが15年前ですから、
その時の感覚は、年々、記憶から薄れつつあります。
ただ、
この時期の『内定取消し』は、当事者には切実なことのようで、
該当者から『もっと早く通知して欲しかった』との声も多いのだとか。
実際、
来春(2021年4月)入社募集については、
既に打ち切っている企業もあるでしょうから、
この時期からの就活再開は、選択肢が狭まります。
そう考えると、
不幸にも、今回『被災』された方々はとても気の毒で、
1つ、人生の『方向性』すら変えてしまうイベントになります。
もしも、
自身がこのタイミングで就職活動していて、
今回の騒動に巻き込まれてしまっていたら、
確実に、ショックを受けると思います。
しかし、
仮に、予定通り、来春入社することが出来ていても、
実は、何ら『リスク』は変わらなかったとも考えられるのです。
私自身、
学生時代、3年間を某アパレル・ブランドで働いた経験を持ちますが、
業界所属の方は分かる通り、アパレル界は完全なる『斜陽産業』です。
事実、
私が、大学時代に所属した大手アパレル・ブランドは、
在籍当時、年商2000億円超を誇る大企業でしたが、
先ほど調べたら、現在の売上高は『4分の1』程です。
確かに、
『流行り・廃り』という観点もあるでしょうが、
日本人の『平均年収』が減少の一途を辿る現状、
業界全体の『パイ』が縮小していると考える方が自然です。
また、
そのような動向は、同業他社にも、顕著に現れはじめていて、
三陽商会、東京・銀座の旗艦展ビル売却報道も出て来ました。
詳しい方はご存知ですが、
三陽商会は、長らく日本で『バーバリー』を販売していた会社で、
そのライセンス契約解消から、一気に、業績が低迷していました。
そこに、
今回の『コロナ危機』が直撃してしまったことから、
この『旗艦店ビル売却』の動きは、企業存続の為の、
手元資金確保を主目的としていると見られています。
30代後半以上の方々は、『時代の変遷』を感じられると思います。
しかし、
何も『アパレル業界』に限った話では決してなく、
過去の『繁栄産業』が、現代の『斜陽産業』に陥る事例は、多々あります。
その筆頭が、
直近数年間、報道各紙を賑わしている『金融機関』であり、
メガバンクを筆頭に、『(超)大量リストラ予備軍』を抱えています。
僅か15年程前には、
入社が決まれば、親族一堂から祝福されていた業界が、
今では一転、将来性を悲観される代表業種に成り果ててしまいました。
また、
私自身、20代を会社員として過ごした『製薬業界』も、
前述の『金融業界』に負けず・劣らずの『斜陽傾向』を見せます。
しかし、
『製薬業界』が、他業界と『斜陽傾向』として異なるポイントは、
『企業』自体の売上高は、今後も維持されると考えられるものの、
その独立事象して、『雇用環境』が斜陽傾向にあるという点です。
過去に在籍した経験がある為か、FPとして独立してからも、
『医療業界』に所属するクライアントさんは、多くいます。
その方々から、
常に、業界の動向は情報として入って来るのですが、
『新型ウイルス』の感染拡大リスクが高まった時期、
当然、営業職の医療機関訪問はストップしたのだとか。
しかし、
医薬品自体、多少の経済変動では打ち切られませんから、
各製薬企業ごとの売上は、そこまで大きく落ちなかった。
そこで、
元々、『高コスト体質』として疑問視されていた営業職が、
『アイツら、ほんまに要るんか??』と考えられるようになりました。
13年前、
私が入社した当時は、『絶頂期』の勢いこそ衰えていたものの、
未だ、日本国内としては『バブリー感』が溢れていた業界です。
その辺り、
世の女性陣も、目敏くリサーチはされているようで、
合コン等のお誘いは、本当に、溢れ返っていたと記憶します。
それが、今や、『斜陽産業』の筆頭に名を連ねるのが実情です。
少し振り話になりますが、
今の子供たちに、『将来、なりたい職業』を質問すると、
『YouTuber』との回答がトップを記録するようですね。
しかし、
皆さんも、容易に想像がつく通り、その『繁栄産業』は、
5年後には存在しているかどうかすら、相当怪しいです。
直近数十年間、
戦後の高度経済成長期から、バブル崩壊を迎える時期まで、
日本に存在した『常識』は、決して『常識』ではありません。
この世の何処にも、『一生安泰』は存在しない。
そのことをしっかりと認識して、人生を歩む必要がありそうです。
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