今日のテーマは、『楽観性というポジティブな言葉が持つ危うさ』です。
昨日までとは、全く違った趣向の記事を1つ。
今日のタイトルに採用したことを、最近、強く実感します。
『楽観性』
この言葉は、日本では『ポジティブ』に解釈される場面が多いです。
例えば、
人から『いつも楽観的だね』と声を掛けられたことに対して、
無条件に、『前向き』に捉える人は多いのではと想像します。
確かに、
『楽観的』と表現される方々は、一般的に明るい方が多く、
刹那的に『時間』を共有することには、楽しさを感じます。
しかし、
人生の『本質』は、いつも楽しいことばかりでは無いので、
『楽観的』な人間の存在が、いつも楽しいとは限りません。
この辺り、
『男はつらいよ』シリーズで、渥美清さん演じる『寅さん』を、
映画のスクリーンを通じて、観客として観る感覚と似ています。
あれは、
『第三者』として、客観的に観るから楽しめるのであり、
もしも『寅さん』が身内であれば、解釈は大きく変わる。
同シリーズは、
『昭和』から『平成』の時代を代表する国民的映画ですが、
仮に実在するならば、『現代社会の闇』としてNHKで特集されるでしょう。
平成後半に生まれて、事例が分かりにくい世代の方々は、
ぜひ、親世代の方々から、寅さんの説明を受けて下さい。
他の事例では、
親御さん(特に、お腹を痛めて出産した女性)が、
『お子さん』に抱く感情にも、通じると感じます。
例えば、
いつもふざけてばかりいる『お調子もの』が、
『他人の子供』であれば、微笑ましく見られる方も多いですよね。
しかし、
まったく同じ人物が『自分の子供』となった途端、
『もっと、しっかりしなさい!』と叱ることは往々にして有り得ます。
『楽観性』は、
自身から『遠い存在』であれば、『楽しい』と感じますが、
身近になれば、なるほど、『本質的課題』を抱えるのです。
『ホロコースト』
第二次世界大戦の最中、ナチスドイツ・ヒトラー政権下で行われた、
『ユダヤ人』に対する、組織的な、絶滅政策・大量虐殺のことです。
当時、
ドイツ政府により拘束された『ユダヤ人』は、強制収容所に送られ、
その中で、強制労働に従事し、人体実験までもが行われていました。
一説によると、
一連の過程で、殺害されたユダヤ人は『600万人』とも言われ、
20世紀に起こった、人類史上最悪の『黒歴史』と表現できます。
それで、
この『過酷』という言葉では表現しきれない環境の中で、
生き延びることができたユダヤ人がいることも事実です。
この時、
自らも拘束・強制収容されていた『精神科医』の人物が、
同胞を観察した当時の記録が、現代でも残されています。
その中で、
『強制収容所』での過酷な生活環境で『生き延びる人』と、
『そうでない人』の違いを、この精神科医は発見しました。
先ず、
『そうでない人』としての代表格に挙げられるのは、
状況を『悲観』し過ぎて、精神的に滅入ってしまう人物です。
皆さんの周りにも、いらっしゃいますか??
口を開けば、『ネガティブ』な発言しか出て来ることなく、
現実世界を、『実物』以上に悲観的に見てしまっています。
恐らく、
『天国』にいても、『地獄』を感じるような人物で、
この『自滅』パターンは意外に多いと感じています。
そして、
こちらも、意外に感じられるかも知れませんが、同様に、
生き延びることが出来ない人物は『楽観的な人間』です。
『それほど、過酷な環境ではないのではないか??』
『言っても、直ぐ(数ヶ月後)に開放してくれるでしょ??』
『外にいる同胞のユダヤ人が、私たちを救い出してくれる!!』
『何人は死ぬかも知れないけど、それは、私自身ではない。』
などなど。
『現実』をきちんと直視することなく、『逃避』する人間は、
『楽観性』というポジティブ要因を持っていたにも関わらず、
尽く(悉く)、強制収容所の中で死に絶えていったそうです。
これは、すべての物事にも通じています。
私自身、本業を『独立系FP』として活動していますが、
その視点から見て、現状の日本財政は最悪の状況です。
昨年、
『老後資産2000万円問題』なる報道も話題になりましたが、
正直言って、『2000万円』という端金では何もなりません。
にも関わらず、
現在の日本国民の大多数は、その『最低基準』であるはずの、
『2000万円』すら、退職時までに用意が出来ていません。
きっと、『どうにかなる』と考えているのでしょう。
いつまで経っても、『赤信号、みんなで渡れば』精神が根付いています。
本当に、頭の中が『お花畑』の、おめでたい方々が多いと感じています。
『ビジネス』の観点でも、まったく同様ですね。
こちらも職業柄、『ビジネス(事業・起業)相談』も受けますが、
『楽観性』の強い人物は、決して、上手くいかないのが現実です。
『1年間で、約半数』
『3年間で、10%』
『10年間で、1%未満』
オフィシャルに『開業届』を提出して起業する人間でさえ、
事業としての『生存率』は、上記の数字で示されています。
その状況で、
『鳥人間コンテスト』が如く、高台から飛び出す人物もいますが、
現実的に考えて、『上手くいく可能性』は極限に低いと考えます。
先ず、
『楽観的な人物』は、物事のシュミレーション能力に欠けており、
『仕事ができる人間』がいないと感じるのが、私自身の主観です。
話を戻すと、
第二次大戦中、『ホロコースト』を生き延びた人物とは、
『現実』を正しく直視し、悲観的でも、楽観的でもなく、
目標(生還)実現に対して、建設的な計画・行動をとった人間です。
つまり、
『悲観』と『楽観』という、共存する感情をコントロールし、
適切にバランスを取りながら、対応できた人物だと言えます。
あなた自身を振り返って、いかがでしょうか??
過度に『悲観』に偏り過ぎていたり、あるいは、
現実を『楽観視』し過ぎたりしてませんか??
特に、『楽観性』という言葉を、ポジティブな印象で、
受け取り過ぎないことこそが、大切だと感じています。
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