今日のテーマは、『社会保障制度改革は、断行されるのか??』です。
ちょうど一週間前のこと、
自民党総裁選で3連続当選を果たした安倍首相は、次のことを高らかに宣言しました。
『全ての世代が安心できる社会保障制度へと、3年で改革を断行する。』
自身の任期が終わる2021年9月までの『3年間』で、
これまで『パンドラの箱』として扱われていた『社会保障制度改革』を行う、と。
『全ての世代が安心できる社会保障制度』という表現が、
とてもわかりにくくて、いかにも政治家的な表現ですね(笑)
具体的には、
『高齢者が働き続ける環境の整備』を推し進めると共に、
この3年間で『年金・医療制度改革』へと着手していくようです。
『社会保障制度改革』
この公式ブログでも、何度となく取り上げて来たテーマです。
公式ブログのコア読者の方々は重々ご存知頂いていますが、
現在、日本の国家財政は、毎年『赤字』を垂れ流す悲惨な状況です。
1年間で国民から徴収される税収が『約60兆円』であるのに対し、
『国家』を運営していくのにかかる歳出は、『100兆円』以上計上している始末。
この『ギャップ』に相当する『約40兆円』は、
毎年、新たに『新規国債』を発行して賄っていっているんですね。
では、
『日本』という国家が、
毎年『赤字』を垂れ流せるほど信用があるかと言うと、決してそうでは無い。
その証拠に、
『日本国債』は海外投資家からはほとんど見向きもされず、
国民資産を保有する金融機関などを通じて、専ら『国内消化』されています。
ここまで、
積み上げに積み上げ切ってしまった、借金累計は『1300兆円』オーバー。
既に、
『天文学的な数字』の領域に入って来ており、
日本国のGPD(約500兆円ほど)比から考えても、『返済』は実質不可能です。
じゃあ、
『最終的にはどうなるか??』というと、それは国家の判断なのでわかりませんが、
最悪の場合、『国民資産』を没収(実際は何かしらの課税)する可能性も残ります。
事実、
『国家機密』として情報が扱われたので、知っている方々は少ないですが、
過去に、現在同様借金まみれになった『日本国』は、この措置を断行しました。
興味がある方は、また独自に調べてみてください。
話を元に戻します。
日本の『国家財政』が厳しいことはお分り頂けたと思いますが、
それでも、このまま指を咥えて、流され続けるわけには行きません。
『野球』の試合を例にとると、どれだけ点差が離れたとしても、
野手が『打球』を追いかけなくなったら、試合続行不可能です。
なので、
『日本国』においても、これまで積み上げた借金は絶望的ですが、
それでも、『プライマリーバランス』をプラスに持っていく努力は必要です。
と言うか、それをしなくなった瞬間、『政治家』の存在価値が無くなります。
それで、
その『プライマリーバランス』を正常化するために取る方法は、
意外にも、難解な訳でも何でもなく、大きく次の2つの操作で完了します。
①国民に対する『課税』を強化する。
(国家としての『収入』を増やす。)
②『社会保障制度』の適用を削減し、『歳出』を減らす。
(国家としての『支出』を減らす。)
以上です。
『国家』の場合も、『個人』の場合も、
基本的には、『経済状況』を改善する方法は同じことですね。
『①』に関しては、約3年ほど前には『相続税』の控除額削減が行われましたし、
ちょうど1年後(2019年10月)には『消費増税』も行われようとしています。
これから先、
日本においては、あらゆる分野で少しずつ『増税』が行われますが、
これは、『国家財政』を少しでも健全化する為には仕方のない事です。
しかし、
実際は、とてもそれだけでは追いつくものではなくて、
『歳出』の大部分を占める『社会保障制度』にメスを入れずして、達成は不可能です。
先日、
政府は、今後3年で実行する『社会保障制度改革』の具体策や、
目標時期を明確に盛り込んだ『行程表』を、来夏の参院選前に策定する方針を固めました。
現在、
『高齢者が働き続ける環境整備』の為定めた高年齢者雇用安定法は、
全ての希望者を『65歳』まで雇用することを企業に義務づけています。
*この『義務化』に全ての事業所が対応できるかは疑問ですが、
経団連所属の『大企業』は、ほぼ遵守する方向だと考えます。
さらに今後、政府はこれを『70歳』まで引き上げる事を見据えており、
(現時点では)『努力目標』と言う位置付けで、企業に呼びかける方針です。
『会社員』という身分の方々にとって、
もう、『リタイア』『定年退職』という言葉は『死語』かも知れませんね。
もちろん、
これに併せて『年金受給開始年齢の引上げ』も行いますから、
『年金』という部分での『社会保障費』は削減達成可能です。
さらに、
『健康保険』の適応も今後順次狭くなってくるでしょうから、
『医療費』とダブルパンチで、『社会保障費』を減らす事が出来ます。
本当に、意外と『シンプル』な理屈ですね(笑)
ただし、
読者の皆さんもお分かりのように、現実世界は『ロジック』ではなく、
あらゆる場面において、人間の『感情』という要素が入ってきます。
『増税』にしても、『社会保障費削減』にしても、
該当する方々の反発は避けられるものではなく、
要は、どこまで『初志貫徹』して改革を進めていけるかが鍵です。
『理屈』では、上記のことを進めていかなければいけません。
果たして、『ヒール』になる(選挙でビハインドを負う)ことを恐れず、
時の政府は、『改革』を本当に断行していけるのでしょうか??
『日本経済』の正念場。
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井上耕太事務所
代表 井上耕太