今日のテーマは、『市有地マイナス価格落札の衝撃は、今後も繰り返されるのか??』です。
ここ数日、乱降下する市場動向について書く記事が続きました。
12月25日には『最悪なメリー・クリスマス』と題した記事を書き、
昨日は、『消費増税は本当に実行されるのか??』と疑問を呈しました。
が、
それを受けてか・受けずか、日本時間昨夜の『米国市場』は大反発。
『前日比1000ドル超高』という、歴史的上げ幅で取引を終えています。
また、
その安心感からか、本日12月27日付の『日本市場』も、
日経平均株価は『前日比750円高』、無事に『2万円台』を回復しました。
本当に、毎日、目まぐるしく『変化』していますね。
ここまで、まるで『女心』が如く変化する市場に付き合っても、
こちらまで『右往左往』繰り返してしまい、あまり良い事はありません。
最近は、
少しのトレンド変化でボラティリティが高まる『AI相場』が形成されるようですから、
これまで以上に、『短期市場』に対して『一喜一憂』することは無意味化してきています。
今日は、
『市場動向』の話はこの辺でさらっと終えておいて、
久しぶりに、そこから離れて話を展開してみることにしましょう。
乱降下する市場動向の陰に隠れて、
先日、注目はされないながらも、『興味深いニュース』が出ていました。
それが、今日のタイトルに採用した出来事です。
『埼玉県深谷市の市有地、マイナス価格での落札が決定』
簡単に説明補足すると、
閉校した小学校体育館の土地を売却する際、
建物解体費用を試算し『マイナス』設定し、
見事、『▲795万円』で入札した企業が落札した、と。
落札後、
この敷地を利用する際、建物解体費用は企業が負担する事になりますが、
落札価格の『795万円』は市から企業に支払われ、取引成立する見込みです。
要は、
所有者サイドが『お金』を支払って、
『土地』を購入して(引き取って?)もらった事例と言えます。
余談ですが、
『解体費用』を試算して、『敷地価格』と差し引きしたものを検討すると、
入札スタートは『マイナス1340万6000円』となったそうです。
そう考えると、
今回の入札において、『▲795万円』で落札した企業は、
当初の市の資産からは『500万円』以上も勉強した事になりますね。
『お金』も受け取って、『土地』を引き取る。
少し不思議な感覚がしますが、今回の取引で『土地』を引き取った業者も、
決して、手放しで喜べる状況では無さそうです。
因みに、
私たちも聞き慣れない『市有地マイナス落札』という出来事ですが、
それもそのはず、このような取引が成立したのは『全国初』の珍事。
ただし、
この取引が『判例』を作ってしまった事により、
『遊休資産の処分』に悩む多くの地方自治体が、
『買い手』が付きにくい物件の民間活用を促す手段として、今後広がる可能性があります。
時を同じくして、
『CNN』でも全く違った情報ながら、
『マイナス落札事件』とリンクして考えると、面白いニュースが報道されていました。
それは、
『日本の人口自然減が過去最多の44万8000人に上り、
反対に、出生は過去最少の92万1000人に留まる』というもの。
僅か3年前、
『出生数100万人以下』というニュースが大々的に報道されましたが、
その後、もの凄いスピードでその『減少』に拍車が掛かっていたのですね。
2018年の現時点で、
日本は人口の20%以上が65歳以上の『超高齢社会』が到来しており、
1億2400万人いる人口は、2065年に9000万人を割ると試算されます。
現在、
日本政府が進める『少子化対策』とは、このスピードを漸減させて、
2060年の総人口を『1億人』に維持していよう!、というもの。
もし実現出来たとしても、
僅か40年間ほどの間に『2400万人』が消える訳ですから、
今後、日本が直面する『問題』の大きさが、その数字から伺い知れます。
ここで挙げたのは、これから私たちが経験する『紛れもない真実』です。
それで、
この『日本人口自然減』と『市有地マイナス落札』のリンクポイントですが、
『日本市場において、不動産というアセット・クラスは不確定要素を抱える』という事です。
予め断っておくと、
私が述べるのは『概論』の話であり、市場ニーズにより、
これから将来も『価格維持』、または『価格上昇』していくエリアも『必ず』存在します。
ただ、
この国は長期スパンで見て『人口減少』が起こることは確実ですから、
限られた『パイ』を取り合う市場参加者も減少し、全体としての価格は下落します。
『不動産』という資産に限らず、すべての市場取引において、
参加者が『欲しい!』と思うものの価格は上昇し、そうれないものは下落します。
それが、自然の摂理に適って起きてくるだけです。
私の事務所が籍を置くのは大阪・西天満という大阪の中心地ですが、
現在、西天満から扇町エリアにかけて、絶賛『不動産バブル』が沸騰中です。
見るからに『販売価格』が高そうな分譲マンションが続々建設中ですが、
居住人口がそのスピードに追いついておらず、専ら『投資目的』で購入されています。
きっと、日本人ではなく、その中心は『中華系民族』ですね。
不動産業者の方々も、そのビジネスモデルの『上がり』は最も厚いですから、
『購入希望者(投資家)』が存在する間は、そのレースから降りる事は出来ません。
そして、いつか、近い将来、気がつく時が来るのです。
『人口減少する国で、価格を吊り上げていたのは、自分たち自身だった』、と。
『同様のバブルは、既に1980年代に経験した事あるものだった』、と。
決して間違って伝わって欲しくないのは、
私自身は、『不動産投資』を否定している訳では、決してない事です。
ただ、
もしも、その分野に足を踏み入れるのであれば、
そういった『日本人口の構造的リスク』も考慮して、臨む必要があります。
現時点でも『土地余り』が急ピッチで進むこの国で、
数十年後、あなたの『不動産』が『マイナス落札』されない事を願っています。
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井上耕太事務所
代表 井上耕太