今日のテーマは、『日本人の金融リテラシーは、向上しているのか??』です。
個人的には、今日のタイトル、直近で使った印象がありました。
が、
ここ2ヶ月ほど自身の公式ブログを振り返ってみて、
同様のタイトルが無かったので、採用することにしました。
今日の記事を書こうと思った発端は、先日発表された、
QUICK資産運用研究所の『株式投信・9月度純資産総額トップ20ランキング』を受けてです。
少しだけ、このランキングに触れておくと、
ランキング首位は『フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド』で、
トップを飾るのは2018年4月からスタートして6ヶ月連続のこと。
昨今の超低金利を受けて、債権でそれなりの運用を目指すものですが、
果たして、投資家がどこまでその『リスク』を理解しているかは甚だ疑問です。
その名前の通り、投資対象は先進諸国の『債権』ですが、
『非投資適格』で信用リスクは高く、俗に言う『ジャンク債』と呼ばれるものです。
金融機関に『預貯金』していても、全く増えないのは国民共通の認識ですから、
少しでも安全イメージのある『債権』で、『利回り』を期待しているといった所でしょうか。
今回のランキング発表を受けて、
特段、大きなインパクトがある出来事は起こっていませんが、
強いて挙げるなら、『ひふみプラス』が(意外にも)初のトップ3入りを果たしています。
国内株式に分散して投資するファンドで、安定的に運用成績も良く、
最近では、その『認知度』もかなり高まってきた人気ファンドです。
しかし、
金融の世界において、『有名になる』とは一長一短悩ましい所で、
資産運用の規模が大きくなるほど、自らがアクションした際に、
市場に与える『インパクト』が出てきて動き辛くなります。
『自動車』にを例に取ると分かりやすいですが、
込み入った街中では、小型車が小回り利いて運転しやすいのと同様、
『市場』というか荒波を乗り越えるのも、『適正な規模』の方が良い場合もあります。
また、
私のような『コンサルタント』的な職業をビジネスするにしても、
『有名』になればなるほど、『情報』を薄めて提供しなければならなくなる。
その理由はここでは割愛しますが、
ご理解いただける方々には、この文言だけで十分伝わると考えています。
話が逸れたので、元に戻します。
『ひふみプラス』について、もう1つだけ情報を補足すると、
『(日本)国内株式』を投資対象とするファンドで、
純資産総額トップ3に入るのは、実は『約13年半ぶり』の快挙です。
もっとも、
『約13年半』前にトップ3に入ったのは『フィデリティ・日本成長株・ファンド』なので、
純粋に、日本人が組成したファンドで『トップ3』を記録するのはそれ以上遡ります。
私の『資産運用』のメンターも、ひふみ投信の藤野英人さんは凄いと仰っていますが、
初志貫徹の投資哲学と、安定した運用成績が、投資家の『信頼』を勝ち取ったのだと思います。
それで、
ここまで長々とランキングについて述べてきましたが、
私自身、今回発表されたデータで、注目したポイントは別の所にあります。
それは、
『毎月分配型・毎月決算型ファンド』が、いくつ含まれているか??
注目ポイントは、本当に、これに尽きます。
国内で販売される上位売り上げファンドの性質を見るだけで、
その『国』全体として、平均的な『金融リテラシー』はある程度把握出来ますね。
公式ブログの『コア読者』の方々はご理解頂いていますが、
前述した『毎月分配型』『毎月決算型』のファンドというのは、
投資・資産運用の『真理』から考えると、全く『逆走』してしまう『有り得ない行動』です。
簡単に説明すると、
長期で、安定的な『資産運用』をし湯と考えるのであれば、
特に、資金投入初期は『元本』を取り崩さず、運用で『元手』を大きくする必要があります。
『勘』の良い方は、この説明だけで十分で、
上記の『常識的ルール』から考えると、投資初期から『配当?』を吐き出す、
『毎月分配型』『毎月決算型』のファンドは、『選択肢』に挙がらなくなります。
しかし、
『東洋の神秘』『ガラパゴス』を地でいく『日本』は、
何故か、このような『資産形成の迷走商品』の売り上げが上位を占めていました。
金融機関サイドも、
海外から引っ張ってきた『優良ファンド』を『毎月分配・決算型』に転換する事で、
『投資家』に対して売りやすく、『手数料』も確保しやすくなったので言う事なしです。
結果、
長らく、彼ら(金融機関)を支える『ドル箱商品』として君臨するのですが、
現在の金融庁長官・森信親さんという『救世主』が出てきて、状況は一変します。
森金融庁長官は、
『金融機関は、真に、投資家利益になる商品を販売していない』として、
この『ドル箱商品』市場にメスを入れ、金融機関サイドに税制勧告をします。
国を司る偉い方々の中にも、このような立派な人物がいらっしゃるんですね。
私が知りうる限り、唯一、『誠実な官僚』だと認識しています。
それで、肝心の『その後』についてですが、
『投資家(日本国民』』は守られ、正しい『資産形成』をスタートしているのでしょうか??
結論から言うと、
この質問に対する『答え』は、残念ながら、『NO』と言わざるを得ません。
今日、
テーマとして取り上げた純資産総額ランキングでは、
『トップ20』の中に、実に『7』もの短期決済型(1年未満)ファンドが含まれます。
流石に、
一時期のように、『トップ20をほぼ独占』状態では有りませんが、
それでも、状況はさほど大きく変化していないと言わざるを得ません。
森信親金融庁長官の健闘虚しく、
未だ、日本国民は、『間違った資産形成』に邁進して、資産を減らし続けているのです。
私が日々情報発信する『公式ブログ』も、もちろん『微力』でしか有りません。
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井上耕太事務所
代表 井上耕太