今日のテーマは、『日本市場から個人投資家が消えてしまう日』です。
一昨日の公式ブログでは、
『日本市場の魔法は解けてしまうのか?』と題して、
2019年、『日本市場下落』に潜む『リスク要因』について述べました。
明るい方はご存知の通り、
先週までの世界マーケットは、特に12月に入ってから大幅下落が続き、
『米国市場』などは、週間としては『サブプライム越え』の下落に見舞われました。
この流れを受けて、世界的に『リスク資産』を避けて、
保有資産を『キャッシュ(現金)化』する動きが加速。
それは、
そのまま『株式・債券市場』からの資金流出を意味しますから、
必然的に、その流れの加速に伴い、市場は冷え込んでいったのです。
加えて、
『日本市場』に限定して考えを進めていくと、
ここ数年間の『含み益』を清算する為、『利益確定』の流れも同時加速。
これは、
中央銀行『日銀』の度を超えた市場介入を逆手に取られた戦略であり、
大幅売越しでも『価格下落』が限定的な今、『外国人投資家』から仕掛けられたものです。
この攻勢は終わったとは考えられず、
『外国人投資家』の保有資産『10兆円』が未だに残る現状を考えると、
来年、2019年以降も、日銀のスタンス次第では継続が見込まれます。
『いざなぎ越え』の報道とは少し乖離して、
個人的に、ここ1、2年に限定して『活況』を実感していた市場ですが、
数年ぶりに、また『混沌』とした時代に突入する事が見込まれています。
長期的な視点で考えた際、
市場が低迷する時期は、絶好の『仕込み時』と理解していても、
実際、自己資金を投入している『投資家』としては、面白くないですよね。
ただ、
『上昇し続ける相場』『下落し続ける相場』共に存在しないのが真理で、
どちらも受け入れるからこそ、将来的に『大きなリターン』が享受できます。
その事を再確認しながら、混沌とした時代も乗り越えていきましょう。
話を元に戻します。
『日本市場』という限定されたマーケットに注目した時、
それが抱える独特な『リスク要因』がある事がわかります。
それは、
『株式』『債券』に限らず『キャッシュ(現金)』においても共通しますが、
国民全体の保有分に対する、『高齢者保有率』が極めて高く偏っている事です。
現在、
日本全体の、世帯平均貯蓄額は『約2000万円』と言われていますが、
これは『高額保有』している方々が『平均値』を押し上げている結果で、
間違っても、決して『中央値』ではありません。
また、
上記は『世帯貯蓄』がある方々の『平均値』である事から、
『貯蓄ゼロ世帯』は除外されており、そこまで考慮すると、
日本の『実情』は更に『悲惨な結果』になると予想します。
わかりやすく言うと、
現時点で『年金受給』がスタートしている高齢者世代は潤い、
『ポンジ・スキーム』の被害者世代は、全く『お金』を持っていないのです。
これからの時代、日本全体で『貧困』は大きな社会問題になります。
これは『株式・債券市場』でも同様で、
『キャッシュ(現金)』を保有しているのが高齢者世代なのですから、
現在、市場参加している『個人投資家』も、大部分はその層の方々になります。
事実、
日本に推計『1900万人』いると言われている『個人投資家』の中で、
その平均年齢は、『60代後半〜70代』と証券各社は見込んでいます。
そして、
この層が中心的に市場を構成している『リスク要因』としては、
高齢化により『リスク回避思考』が今後は高まることに加えて、
『相続』の発生により、相続人が清算して市場退出する事が挙げられます。
経験された方々は分かるでしょうが、
『相続』発生時、その課税に対しては『現金』で支払う必要がり、
その際、分割の利便性も高い『キャッシュ』に転換される動きは納得します。
そう考えると、
いくら『人生100年時代』と言えど、『不老不死』は有り得ないわけで、
順次、相続が発生する度に、『日本市場』からの資金流出は避けられません。
『日本』『米国』を比較したデータで、興味深いものがあります。
今から20年以上前の1990年代、
『日本』『米国』共に、シニア層の『リスク資産保有額』は、
どちらも『約2000万円』と同水準で拮抗していました。
しかし、
時は経ち2010年代中盤を迎えると、日本の『横ばい』に対して、
米国は『3倍』の、保有額『6000万円』まで差が開いています。
これは、
海外が常に『インフレ・ベース』で物事を考える習慣があるのに対して、
上記期間、日本は長期安定(低迷?)していた為、その概念が無かった事も考えられます。
ただし、
今後、そのような時代が継続するとは考えにくく、
現在と同じ考え方のまま、日本経済が進み続けていくのは、まずい。
『個人投資家』の大半を占める『高齢者』が大量市場退出する流れが続くと、
『日本市場』から『個人投資家』が消える事も、大袈裟ではなく起こってくると思うのです。
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井上耕太事務所
代表 井上耕太