今日のテーマは、『異次元ワールド突入の時代、マイナス利回り社債発行という衝撃』です。
昨日の公式ブログでは、
『過去最大級の財政赤字に陥る、世界の覇権国・米国の憂慮』と題して、
米国が陥る『借金地獄』について、その一端をご紹介させて頂きました。
もしも、
経済の脆弱な『発展途上国』が同じ状況に陥れば、
即、デフォルト宣言を発動しそうな酷い状況です。
いや、
名も無い『発展途上国』までハードルを下げなくとも、
南欧諸国ですら、即刻、破綻宣言してしまいそうです。
それどころか、
私たちが居住する『日本国』は、それ以上の惨状にあるので、
決して『他人の心配』をしてる場合ではないかも知れません。
しかし、
覇権国・米国が、米国以外の諸国家と異なるポイントは、
『基軸通貨特権』という伝家の宝刀を保有していること。
これにより、
いざとなれば、米国は『無限ファイナンス』が可能な為、
毎年行われる、米国議会の『ポーズ』とは裏腹に、
現行のルール上は、米国は、破綻することは有りません。
*一部の方々の思惑が働き、『破綻』という選択をする可能性はゼロでは無いです。
また、
第二次世界大戦の十字架を、未だに背負う『敗戦国』が、
必死に国債を引き受けて、米国を支え続けていますよね。
この辺り、
WGIPにより、一方的な『責任意識』を埋め込まれた日本人は、
まったく意識することなく、利用されていることが辛い所です。
知れば知るほど、『お金』というものの存在が分からなくなります。
それで、
『リアル』と分離されて半世紀が経過した現代、
すっかり『バーチャル』な存在になった貨幣が、
いよいよ『異次元ワールド』に突入して来ました。
先日も、興味を惹かれる報道が出ていましたね。
『三井住友銀行、マイナス利回り債券を欧州で発行』
一見すると、意味が理解できない方もいると思います。
この度、日本トップバンクの1つ『三井住友銀行』が、
利回りマイナスとなる『ユーロ建て担保付き社債』を、
欧州市場で『10億ユーロ(1200億円超)』発行します。
これは、
『カバード・ボンド』という住宅ローンを裏付けに、
償還期間を『5年』で設定して発行される債権です。
金利は、
『年率0.01%』で設定されますが、額面『100ユーロ』に対して、
購入するにあたり、保有希望者の支払金額は『100.895ユーロ』。
結果、
数字上トータルでも『債権発行者(三井住友銀行)』が得する形になり、
『保有者(債権購入者)』は、端から損する仕組みになってしまいます。
金融・経済を『根幹』から揺るがす、大惨事ですね(笑)
基本的に、
『お金』は、現在が最も価値が高いという認識のもと、
将来の価値は、割り引いて計算されることになります。
これが、
『債務者(債権発行者)』が『債務者(購入者)』に対して、
償還額面にプラスして、『利回り』を支払う理由と言えます。
そもそも、そんな体系立てた話をしなくても分かりますよね。
仮に、
あなたが、友人に『1万円』を貸すというケースを考えた時、
約束した1年後の償還期限で、『1万円』だけ返済されても、
どこか『物足りなさ』を感じてしまうでしょう。
この時、
『債権者』のあなたは、『1万円』の流動性を放棄しているので、
それ相応の報酬(利払い)が無ければ、対等な取引と言えません。
このように、
感情的アプローチでも、その『正当性』が示されるのが、
『債券』と『利回り』という両者の間にある関係性です。
話を戻すと、
今回、三井住友銀行が発行する『マイナス利回り債券』は、
上記『前提』を覆し、欧州市場で相当需要が見込まれます。
一体、
どこの物好き(変態?)が『損する債券』を購入するのでしょうか??
理屈は、次の通りです。
現在、日本以上に『マイナス金利』の度が行きすぎる欧州では、
金融機関が、ECB(欧州中央銀行)に余剰資金を預け入れる際、
『▲0.5%』ものマイナス金利が発生してしまいます。
既に、
貨幣が『バーチャル』な存在になったことは前述しましたが、
『リアル』な存在だったと仮定した時、ECBに預け過ぎると、
『場所代(管理費)』を請求される感覚でしょうか。
そこで、
三井住友銀行が発行する『マイナス利回り債券』に需要が出て来て、
『単体』で考えた場合、損することは確定しているものの、
『損失幅が、相対的に小さくなる』という理由で購入されるのです。
もはや、意味が分かりませんね。
『草食系男子』を極めた平成世代が、
『1番好きな子には振られるのが嫌だから』という理由で、
『2番目に好きな子』と付き合ってしまう感覚でしょうか。
『昭和』に生まれ育った、私には理解できない思考回路です。
何気なく感じられるかも知れませんが、
今回、『マイナス利回り債券』が発行された出来事は、
経済・金融の原則を『根幹』から覆す異常な事態です。
恐らく、
『リアル』と『バーチャル』の歪みが増大するであろう今後、
このような『異常事態』は、どんどん出て来ると予想します。
『お金』の未来は、一体、どこへ向かってしまうのか??
『価値が無くなる』という可能性は低いと思いますが、
これからも、アンテナを張り続けることは、大切です。
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代表 井上耕太