今日のテーマは、『証券会社が提供する広告のトリック、見抜けますか??』です。
昨日に続き、『金融機関』を斬ります(笑)
今日のターゲットは『証券会社』です。
現代人の『テレビ離れ』が叫ばれて久しい昨今、
スマホ・タブレットの普及にも伴い、『ネット』と接する時間は劇的に増加していますよね。
CNNの記事にも、欧米はじめとした先進諸国平均で、
就学前(7歳未満)の子供の『ネット』接触時間は、『1日48分』あると出ていました。
私自身(今月で34歳)を考えると当然それ以上にある訳で、
おそらく、公式ブログ読者の皆さんも、1日数時間は接していますよね。
通勤・帰宅時間のスマホチェックに始まり、
仕事で見られる方もいらっしゃるでしょうし、帰宅後も欠かせない方もいる。
その中で、
私たちは様々な個人情報(単に情報だけでなく、趣味嗜好まで。)を抜き取られ、
それが第三者に提供されることにより、無意識に宣伝攻勢を掛けられています。
無論、
それを意識したところで、現代では実用的な防御策もなく、
『攻勢を受けている』という事を常に意識し、自ら身を守るしかありません。
私は、
ファイナンシャルプランナーとして活動していますので、
チェックするニュース・報道は、自然と『投資』分野に偏ったりましす。
なので、
私のSNSタイムフィードやネット広告欄には、
必然的に『投資』(中には、『投機』も。)関連のものがよく出現するようになります。
私としては、見抜く『眼力』を持っているので良いのですが、
一般の方々については、気をつけなければいけないポイントですね。
『当たり前』の話ですが、
その商品紹介サイトの文言には良い表現が並び、
『見抜く』ことが出来なければ、そのまま購入に傾きそうなものも多々あるからです。
先日も、興味深い宣伝広告を発見しました。
某内資系トップの証券会社が作成したもので、
世界トップクラスの債券運用会社が提供するファンドの『提携品』を紹介するものでした。
某証券会社の案内ページが言うには、
このファンドに投資すべき『合理的理由』は大きく3つあるようです。
①世界の債券市場から『質の高いインカム(*)』を発掘している。
②『機動的に』資産配分を調整する機能がある。
③これまでも『安定した運用実績』を誇っている。
以上です。
この時点で、既に『購入』に向けて腰が浮き掛けている人はいませんか??(笑)
当然の話ですが、とても良さそうな表現が並んでいますよね。
ただし、
私は、この某内資系証券会社が提供する、『提携品ファンド』を購入しないんです。
何故か??
投資対象の『細部』を調べた訳ではないので正確には言えませんが、
そんな事をしなくても、次の2つのポイントを見れば判断出来ます。
(1)『質の高いインカム』という表現がよく分からない。
この証券会社が説明する『質の高いインカム』とは、
『返済能力が高く、かつ利回りが高い債券投資』のことを言っているそうです。
一続きの文章で表現されたら分かりにくくなりますが、
『返済能力が高く』の主体者は『債務者(借り手)』であり、
『利回りが高い』ことは『債権者』が得られるメリットです。
もう、この時点で、『投資』に詳しい方なら疑問符がつきます。
果たして、
『返済能力が高い』方々に貸し出した債券が、
『高い利回り』を叩き出すことなどあるのだろうか??、と。
債券市場において、
『信用』と『利回り』は、一般的には相対する『反比例』の関係です。
これは日常で考えれば自然なことで、
債務者の『信用』が高ければ、返済される可能性は高いので、
『債権者』は急がずとも、気長に返済猶予を設けることが可能です。
しかし、
債務者の『信用』が低い場合、返済には『リスク』が伴いますので、
『債権者』は利回りを高くし、回収を急ごうと考えるのが当然です。
『返って来るか分からない相手』に融資を実行する訳ですから、
それ相応の『リターン』を求めないと、割が合いませんよね。
国の財政状況を反映する『国債』はそれを顕著に表していて、
国家財政が健全な、つまり、国債的な『信用』の高い国の債券は、
『リスク』を負う分が少ない為、『利回り』も当然抑えられます。
反対に、
国家財政が危ぶまれる国(『信用』のない国)に融資する場合、
『償還リスク』が多分にあるので、『利回り』を上げないと出資者が現れません。
実際、
国家がデフォルトする際の1つの『シグナル』として『国債利回りの上昇』がありますが、
『リスク』が顕在化し『信用』が失墜した時点で、『利回り』も急激に上昇が見られます。
このように、
『質の高いインカム』というと耳に聞こえは良くなりますが、
『リスク』『リターン』の平衡関係が破綻したそのような投資対象は、
この世界状にどこにも存在しないという事を知っていれば済む話です。
*それでも、某日本国のように、中央銀行の介入により、
『リスク』と切り離されて、『利回り』が意図的に抑えられている国も存在します。
(2)大切なことは、『小さな字』で書かれている。
この部分は、実際、背景情報を『知らない』と判断は出来ないと思います。
この『提携ファンド』を紹介する案内ページ上で、
ファンド運用成績を示すデータがいくつか掲載されていますが、その上に共通した文章が並びます。
もちろん、『小さな字』で(笑)
紹介されている運用成績データでは、
直近10年間の運用成績が各資産クラスごとに比較されており、
2007年時点を1とした時、昨年時点での評価額は『2.5倍』を超えています。
*『2倍』を超えるタイミングは2014年時点なので、
複利運用で考えた際の利回りは『年率10%』を超えていますね。
更に、
2008年に底を打った『サブプライム・ショック』でも大きく負けておらず、
これを見たら、本当に『安全で、利回りが高い』商品に見えてしまいます。
しかし、
前述させて頂いた通り、そのグラフの上方には、
『小さな字』で、次のような文言が記載されています。
下記の『▲▲▲▲ファンド(提携品ファンド)』は、投資対象とする外国投資信託と同様の運用体制・方針の米国籍のファンド『◉◉◉◉(世界トップクラス債券ファンド)』のデータです。
よって、ファンドの運用実績ではありません。ファンドでは信託報酬等の費用がかかります。あくまでご参考としてご理解ください。
この文章、皆さんは、何を言っているか分かりますか??
どうやら、下記に掲載している『グラフで表されているファンド』は、
この案内ページで『紹介されているファンド』と異なるようです。
(*じゃあ、何で掲載しているんだという疑問が再燃しますが。)
私が冒頭から『提携ファンド』という言葉を使っていたので、
既に、気付かれている方もいらっしゃるかと思います。
そう、これ、データ紹介されているファンドと全く異なるものなのです。
この辺りの『構造』を知っている方々には常識でしょうが、
ここで紹介した証券会社始め、内資系の多くの証券会社では、自社内でファンドを組成していません。
分かりやすく言うと、
内部育て上げでも、外部から引っ張ってきても良いのですが、
『ファンドマネージャー』を雇い、投資対象を自ら選別する形のファンドを形成ていないという事。
今回の案内ページで紹介されている商品のように、
海外から優秀な成績を収めた『ファンド』を引っ張ってきて、
その団子をこね直し、信託報酬を入れ直して販売しているのです。
つまり、
『名称』の面影はかろうじて残していますが、
中身は当然同一ではなく、必然、『運用成績』も異なった数字で現れてきます。
*『異なる』と言っても、『手数料』が新たに加算される訳ですので、
『リターン』は減少する方向に動くと考えるのが自然です。
私は、20代の『会社員』時代、製薬業界に所属し、
医師の方々を対象とした営業の仕事をしていました。
その時、
自社製品を紹介する場面で、他成分のデータを用いて情報提供すると、
罵声を浴びせられるどころか、場合によっては社会的責任を負うことになります。
しかし、
ここがどうも『摩訶不思議』なポイントなのですが、
全く同じことをしても、『金融業界』であれば、何故かまかり通ってしまいます。
事実、
今回ご紹介した事例の案内サイトを提供しているのは、
皆さんも良くご存知の、内資系トップクラスの証券会社です。
決して、
見たことも、聞いたこともない、
『ポンジ・スキーム社債』を売りさばいている幽霊企業ではありません。
なぜ、このようなことが、堂々とまかり通ってしまうのでしょうか??
ただ、
それが成立してしまっている以上、いくらそのことを嘆いても始まりません。
金融機関が、顧客の目を欺いて自社利益商品を売る傾向は続きますので、
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代表 井上耕太