今日のテーマは、『2度目の喜劇は繰り返されるのか??』です。
あえて、『喜劇』という言葉を使いました。
この表現に、『経済』『金融』分野に明るく、
『勘』の良い方は気づかれたかも知れません。
本当は、『悲劇』と表現されるべき部分です。
しかし、
歴史的な経済学者『カール・マルクス』は、
経済危機についての言及で、次のような有名な言葉を残しています。
『歴史は繰り返される。』
『1度目は悲劇として、2度目は喜劇として。』
1度目の『悲劇』は、2008年に起きました。
もう『10年間』もの時間が流れるので、記憶が薄れつつありますが、
世界的投資銀行の破綻に象徴される『サブプライム・ショック』です。
この時は、米国の住宅市場を舞台にして、信用力の低い人にも積極的に融資。
もともと返済能力なんて無い方々ですから、金利上昇につれて、
一気に『リスク』が顕在化した時には、世界経済がシャット・ダウンしそうになりました。
日本も、バブル崩壊と共に金融機関が不良債権を抱えましたが、
10年前は、それこそ世界経済自体が焦げ付きかけた訳ですね。
更に、
この時は、元々の『債券』自体だけではなく、
そこから派生した『デリバティブ商品』が世界中にばら撒かれていました。
その『デリバティブ』が生み出される際も、
『信用格付け』のイカサマが入っていたので、相当悪質なものとなったのです。
日本もバブル期に『土地神話』なるものが存在していたと聞きます。
『(狭く、人口の多い)日本の土地は、一生値上がりし続ける』
今、この言葉を聞くと、『何を馬鹿な?』という人がほとんどですが、
『バブル』の中に身を置くと、誰しも思慮・分別を失ってしまいます。
実際、
1980年代の日本のバブルを横目に見ていた米国ですが、
2008年(実際は、それより以前数年間)には、
ほとんど同じような『考え方』でバブルを生み出してしまいます。
奇しくも、日本と同じ『不動産市場』で。
『マイホームローンは、誰もが必死になって返済する。』
『サブプライム(返済能力が低い人達)でも、問題ない。』
当時の米国の貸金業者の方々も、本当にこのように考え、
審査も殆どか全くせずに、『融資』を繰り返していました。
そこに、格付け会社や投資銀行まで入り込み、
複雑怪奇な『デリバティブ商品』を作り上げてバンバン売っていたので、
返済が滞り、逆回転が起こると一気に経済崩壊間際まで行ったんですね。
世界の株式市場は、『約2分の1』まで落ち込みました。
こんな事が、本当にあるんです。
間違いなく、
数十年したら、『世界恐慌』『ブラックマンデー』宜しく、
小中学校の社会科の教科書にデカデカと取り上げられますね。
今は、まだ直近すぎるので、
学期末に授業で飛ばされてしまうくらいの位置づけしかないと思います。
『人』の記憶とは本当に不思議なものだと感じていて、
当時、あれほど大パニックに陥った世界経済も、
『10年』も経つとその感覚を殆ど(全く?)覚えていません。
人は、自身の『記憶』『体験』からしか判断できないと言われますが、
この『痛み』を忘れるからこそ、何度でも同じことを繰り返すんですね。
『忘却』という能力は、時にとても重要な『機能』ですが、
メリットだけでなく、デメリットにも働くことを覚えておかなければいけません。
『サブプライム・ショック』から、ちょうど10年。
『世界経済は混沌』と言われながらも、
2016年、2017年と、米国を中心に順調に伸びてきました。
今年(2018年)年初は少し過熱気味でしたが、そこから少し一服、
現在、日本・米国市場とも一進一退の日々が続いていますが、
それでもプラスマイナス0のような状態で、どこか『平穏』な空気が流れます。
でも、
そんな平穏時にこそ、『リスク』は潜んでいると思うんです。
業界関係者はご存知のことと思いますが、
昨年(2017年)辺りから、米国の新車販売市場に異変が見られるようになりました。
内資系現地法人(トヨタ、日産)も、
目に見えて販売台数が減少に転じてきているんですね。
なぜか??
もしかしたら、『これまでが好調だった』と表現すべきかも知れません。
今回の理由も、実は十年前とほとんど同じで、
新車購入に際して組む自動車ローンにおいて、
『サブプライム(信用力のない人たち)』層への融資が厳しくなってきたからです。
私たちの記憶もまだかろうじて残っている通り、
ここ数年間というのは、世界的に見ても『歴史的超低金利』の時期を過ごしてきました。
信用力の高い国家の『国債』はマイナス金利に入り、
FRB(連邦準備銀行)が定める政策金利(世界金利の基準点)も、ほぼゼロを推移していました。
それを受けて、
世界ではあらゆる融資に対する『金利』が軒並み下落。
上記の米国自動車ローン業界も例に漏れず、誰もが後先考えず『借金』もし続けました。
その結果、
昨年(2017年)第3四半期時点いおいて、
ノンバンクが提供する自動車ローン全体に占める、延滞債券比率は『約10%』まで上昇。
実に、
融資を受けた『10人に1人』が、返済を延滞し始めているという事実があります。
この公式ブログ読者の賢い方々はお分かりでしょうが、
例え『1日』でも、債務は遅延し始めたら『危険』のサインが点灯します。
この時点で延滞している『10%』の方々が、
今後、経済状況持ち直し、順調に返済し始める確率はほとんど無いでしょう。
更に、
昨年(2017年)第3四半期時点から、世界的な『金利』も上昇傾向が続いています。
つまり、
『債務者』にとって、好ましくない状況が続いてますから、
この数字(延滞比率)は、現在はより深刻なものになっていると考えます。
『バブル』は、自分が渦中にいれば実感できないのと同様、
側から見ていても、崩壊のタイミングは誰にも正確には感知できません。
この低金利時代に仕込まれた『時限爆弾』、
日本では、『変動金利で組んだ住宅ローン』として、今も市場に存在しています。
こういった分野に目を光らせながら、
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