今日のテーマは、『日米金利差が縮小すれば、本当に日本円の強さは復活するか??』です。
先日も触れましたが、日本円に対しては劣勢が続きます。
午前の相場では、『1米ドル=149円台半ば』で推移。
本日(9月29日)は、
国内企業にとって月末・期末が重複するのを考慮すると、
午後の相場では『米ドル』を調達する動きが更に加速し、
『150円』の大台を突破する可能性も十分にあります。
(*9月29日12:00から原稿を執筆しています。)
何れにせよ、
過去30年に私たちが経験しない水準にあるのは確かで、
今後の展開も含めて『未知の領域』にあるのは事実です。
約1年半前、
2021年初めよりスタートした『円安進展』の主因は、
日米間における『金利差拡大』にあると言われています。
ご存知の通り、
この期間、米国では一貫して『利上げ』が継続しており、
現行の政策金利は『5.25−5.50%』の水準まで上昇。
翻って、
直近は柔軟に対応するものの、日本のそれは1%未満で、
両者の差は、歴史的に見ても大きく開いている状況です。
原則で言えば、
高金利通貨は、その本質的な価値も低減するはずですが、
あらゆる物ごとに共通して『事実は小説よりも奇なり』。
現実には、
ミセスワタナベに例えられる投資家は目先の利益に走り、
高金利通貨は、理屈に反して高くなる傾向が強まります。
話を戻すと、
原理に反するにせよ、来年以降『金利差』が縮小すれば、
それは即ち『円高傾向』への回帰を意味するでしょうか。
果たして、現実はそこまでシンプルに展開していくのか。
これについて、本日(9月29日)付で公営労働省から、
少し気になる(気掛かりな)データが発表されています。
それは、
2023年の労働経済分析(労働経済白書)で、日本人、
1人あたりの労働生産性が、1996年時点と比較して、
ほぼ横ばいで推移していて、変化していないというもの。
補足すると、
名目労働生産性は、GDPを就労者数で除したもののこと。
*GDP(国内総生産):算出された付加価値の年間総額。
これを、
1996年を『100』として比較した時、四半世紀後、
2021年の日本のそれは『101.6』に停滞している。
同じ期間、
米国(241)英国(200)倍増した事を考慮すると、
25年間で大きく水を開けられたことが理解できますね。
この辺り、
深刻に受け止める方々がどれほどいるか分かりませんが、
個人的には、日本にとって致命傷レベルと考えています。
何故なら、
他の要素(国土、天然資源)に恵まれない国家において、
創出できる価値の総量が、そのまま『国力』を表すから。
そして、
冒頭から話題にする『通貨』と『国力』が相関する以上、
後者の衰退は、そのまま前者の影響力低下を意味します。
もし仮に、
来年以降、日米の『金利差』が今の水準より縮小しても、
それがそのまま『円高回帰』を意味しないかも知れない。
現実を直視して、概念をアップデートしていきましょう。
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今後の【資産形成セミナー】の開催は、完全に未定です。
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