今日のテーマは、『お金により引き起こされる問題は、決してお金では解決できない』です。
以前から、
繰り返し、定期的に同じテーマを取り上げてきましたが、
お金に関する問題の解決を、それで試みるのは愚策です。
この真理は、法人であれ、個人であれまったく同じこと。
有名な格言に、
借金の申し出のある友人・知人・親族に対して、実際に、
『お金』を貸してみれば良いというものがありますよね。
予め断ると、
現実世界では、絶対に『お金』を貸してはいけませんが、
お金とその人物との信頼関係を両方失うことになります。
以前、
MR(医療用医薬品営業職)として働いていた20代の頃、
担当した医師から、興味深い話を伺う機会がありました。
それは、
ある時、旧友から50万円程の借金の申し出があったが、
熟考した上で、その申し出を断ることにしたというもの。
情報を補足すると、
その方は開業医として地域トップクラスに成功しており、
『50万円』という金額は、完全に端た金というレベル。
しかし、
スタッフを雇い家族を含めた人生の責任を持つ身として、
『50万円』がもつ負の意味を熟知していたと言います。
繰り返しますが、お金の問題はそれ自体で解決しません。
他の事例を挙げれば、とても分かり易く理解できますね。
例えば、
運転技術が未熟で、車を事故で廃車にしてしまう人物に、
あなたは、自らの車を貸して問題解決を図るでしょうか。
そんなことをすれば、最悪の場合、死者まで出てしまう。
しかし、
なぜか、対象を『お金』として引き起こされる問題には、
未だに、人はそれ自体を貸すことで対処しようとします。
コロナ禍、
生活困窮者を対象に貸し付けをしていた特例貸付制度で、
昨年スタートした返済実績が厚労省から公表されました。
それによると、
2023年に予定されていた返済額1047億円のうち、
実際に返済されたのは37%相当の387億円とのこと。
裏を返せば、
昨年1年間だけ見ても、返済予定額の63%に相当する、
660億円ものお金が回収不能に陥っていると言います。
ちなみに、
同制度により貸付された総額は1兆4431億円に上り、
返済は、2034年頃まで続くことが見込まれています。
厚労省では、
現時点、6000億円規模の泣き寝入りを試算しますが、
昨年の実績から算出すると約9000億円が回収不能に。
悲しき哉、国家全体からすれば端た金かも知れませんが。
このあたり、
『返済能力を審査すべきだった』との意見もありますが、
私見では、結果はそれほど大きく変わらないと考えます。
何故なら、
経済的な意味で健全な人は、原則、無借金経営しており、
仮に1円であっても借りようとする時点でおかしいから。
経営の神様・松下幸之助さんは次のように話しています。
経営とは、上手くいっている時に『お茶漬け』をすすり、
上手くいかない時に『フレンチ』を食べられるのが理想。
要は、
問題なく、万事順調に思えているときから余力を蓄えて、
危機でも経済的・精神的余裕を持つことが大切という事。
お金の問題は、自らが改心して解決するしかありません。
それ故、
もし、親しい友人・知人・親族等から申し出があっても、
『お金』を貸すようなことは、絶対にあってはならない。
さもなければ、
冒頭の格言の通り、あなたは『お金』と『信頼関係』を、
相応の痛みを感じながら、失うことを経験するでしょう。
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2023年1月よりセミリタイア生活に入っているため、
今後の主催セミナー(オープン形式)の開催は未定です。
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井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太