今日のテーマは、『目先のインバウンド(訪日観光客)増加ではなく、日本が本当にやるべきこと』です。
4月から半年間続いてきた大阪・関西万博も遂に今週末(10月13日)で閉幕を迎えますが、結局、大阪市内に居住していながら一度も足を運ぶことはありませんでした。
それには諸々事情もありますが、私自身、万国博覧会(日本国際博覧会)というイベントに対して、そこまで強く魅力を感じられなかったということが最も大きな理由です。
前回、大阪で万博が開催された1970年であれば、まだ海外旅行が一般的ではなかったため(?)このようなイベントに一定のニーズがあったことは理解できます。
しかし、それ(海外旅行)が一般的になった今、高齢者や身体的ハンディキャップがあって厳しい方々以外は、本当に興味を惹かれる国があれば現地に渡航してしまえばいい。
恐らく、万博来場者も理解していると思いますが、トータルで数時間の行列に並んで30分ほどパビリオンを見学するだけでは、該当国について1ミリも理解できないというのが真実です。
先ほど触れた通り、海外(国外)旅行が一般化された現代ですが、それは日本人に限った話ではなく、世界中の人たちにとってボーダー(国境)はかつてないほど低いものになっています。
それは、資産100万米ドル(1.5億円)というボーダーを軽々と超える富裕層ほど顕著になり、某・外資系コンサル会社は年内に14万人超の富裕層の移動(居住地変更)が起こると試算しています。
ちなみに、富裕層の流入数トップ10を紹介すると、首位からUAE(アラブ首長国連邦)、米国、イタリア、スイス、サウジアラビア、シンガポール、ポルトガル、ギリシャ、カナダ、オーストラリアという順になる。
2025年の一年間だけで、トップのUAE(主にドバイ)は1万人規模、米国は約8000人、イタリアは約3600人もの『富裕層』が新たに流入すると推測されているんですね。
彼ら・彼女らを惹きつける理由は大きく3つあると言われおり、投資家・事業家に対する税制優遇、高度な社会インフラ(教育・医療を含む)、政治的安定性・治安の良さが挙げられます。
合理的に考えて、自国(現在の居住国)よりもメリットがあると判断したら、フットワーク軽く生活拠点(活動拠点)を移すことができるのも富裕層の特徴の一つと言えます。
近年では、自国にとってメリットある人物に対してゴールデンビザ(10年居住権)を発給する国も増えており、グローバル市場を舞台とした『富裕層』の獲得競争が確実にスタートしています。
もちろん、彼ら・彼女ら(富裕層)自身もメリットがあると判断するから居住地を変更する訳ですが、受け入れる側の国にとっても、彼らの流入により大きな恩恵を享受することが出来ます。
最もシンプルなのは彼らの保有資産も一緒に流れ込むというものですが、それ以外にも、多くを占める創業オーナーが国内で事業を興してくれることにより、確実に新たな雇用が創出されるでしょう。
目下、異次元レベルの少子高齢化に直面する日本ですが、仮に富裕層を一定数以上呼び込むことが出来たとしたら、社会保障制度を救うホワイトナイトとして機能してくれる可能性もありますよね。
目先のインバウンド(訪日観光客)を追うのも結構ですが、それは一過性の麻薬で効果は長続きせず、新型ウイルスが再び出現するようなことがあれば一気に吹き飛んでしまいます。
それよりも、国家としての課題を本質的に解決すべく、メリットある人たち(富裕層・企業)の獲得に舵を切ったほうが、長期的に繁栄していく建設的な方法になると考えています。
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太