今日のテーマは、『日経平均が5万円を突破した日本市場に、更なる上昇の余力は残されているか』です。
最近は抽象的な話が続いていたので、久しぶりに投資の話をしましょう。
先月(10月)末に記録したピークからは若干下落しているものの、日経平均株価は現時点(13日13:00時点)で5万1000円を超えて推移しており、未だ過去最高水準にあります。
私見では、NYダウ平均株価が4万8000米ドルを突破した米国市場はバブル景気に足を踏み入れていると推測しますが、ほぼ同様の挙動を示す日本市場もそのように判断できるのでしょうか。
少しだけ過去を振り返ると、平成以降の日本経済は『失われた30年(35年?)』と称されていました。
1980年代後半、バブル景気で日経平均株価は3万8,915円87銭(1989年12月29日)と当時の最高値を記録しますが、30年以上も更新されなかったことは資本主義経済の異常事態です。
元々、ジパングは東洋のガラパゴスと揶揄されることもありましたが、本当に『時空の歪み』に迷い込んでしまったのか、知らぬ間に『精神と時の部屋』に閉じ込められたのかと思いましたよね。
それでも、30年超の呪縛を解かれてからは約1年半で(日経平均は)1万円以上の上昇を見せており、ようやく、資本主義本来の姿が戻ってきたことを日々実感できるようになりました。
日本の株式市場が大きく上昇する転機となった出来事は幾つかあり、その一つは間違いなく、投資の神様ウォーレン・バフェットが日本マーケットへの参戦を表明したことですよね。
2020年、自らがCEOを務めるバークシャー・ハサウェイを通じて5大商社株(伊藤忠、三菱、三井、住友、丸紅)を取得したことが公表されましたが、神様の方針転換を受けて、該当銘柄に留まらず市場全体が世界から注目を集めました。
その後も、バークシャー社(バフェット)は該当5社の株式を順次買い増しており、その動きがマーケット全体にとって追い風になっていることは疑う余地がありません。
また、直近では日本がアクティビスト(物言う株主)天国になっているという話もありますよね。
要は、特に海外勢のアクティビスト(物言う株主)が積極的に経営に参画するようになり、その企業が持つ本来の価値、引いては株価そのものが大きく引き上げられるというものです。
元々、PBR(株価純資産倍率)が1倍を割れる企業がプライム市場にも多く存在していることは、内外問わずすべての市場参加者から問題視されてきた過去があります。
何故なら、それ(PBR:株価純資産倍率1倍割れ)は極論すれば、事業を継続せず、今すぐ会社を清算して保有資産を配分していくほうが株主にとっては1番得をする状態を意味しているから。
驚くべきことに、日本にはそのような(保有資産の価値より株価が低迷している)企業がまだまだ存在しており、恐らく、アクティビスト天国の傾向はしばらく続いていくものと見ています。
また、これまで連動していた米国市場との相関関係も確実に薄れつつあり、米国でバブル崩壊が起きた場合、溢れ出た投資マネーが日本国内に流入する可能性も少なからずあると予測します。
30年を超える異次元の呪縛に囚われた日本ですが、それから解放された今、まだまだマーケットが全体として上昇する余力(可能性)は残されている。
個人的には少し早めに手仕舞いしてしまいましたが、引きつづき興味深くその動向を見守っています。
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太





