今日のテーマは、『金融業界もガラパゴス化した日本に、世界標準が導入される日は訪れるのか』です。
金融の世界に限った話ではありませんが、日本はよく海外諸国から『東洋のガラパゴス』と揶揄されてきました。
ご存知の通り、その本家は太平洋上に位置するエクアドル領・ガラパゴス諸島ですが、大陸から約1000キロも離れている立地(?)故、周辺環境から隔絶されて独自の進化を遂げています。
一時期、日本国内で普及していた携帯電話もガラケー(ガラパゴス・ケータイ)と呼ばれていましたが、日本人自らもその呼称を何の違和感もなく使ってしまっていたことに皮肉を感じますよね。
21世紀に入ってITテクノロジーが急速に進化したことにより、国境や物理的な距離というものの価値は希薄化していますが、それでも尚、様々な分野において日本がガラパゴス状態にあることは確かです。
こと金融業界に関しても、特にグローバル・スタンダード(世界標準)を知っている人たちからすれば、日本国内で提供されているサービスに物足りなさを感じる方々は多いですよね。
例えば、海外の主要銀行であれば他国の金融機関(事前登録していれば確実)に一日数千万円単位の資金をネットバンクで容易に送金出来ますが、邦銀しか知らない人たちはそれが理解すら出来ません。
海外先進諸国の人たちからすれば(特別な理由・日本に居住する等でない限り)邦銀は利用価値のない銀行ですが、大半の日本人はそのことを理解せずに違和感すら持たずに生活しているのが実情です。
先日も、個人的には少しショッキングな出来事がありました。
口座開設の容易さから子どもたち名義で某・ゆうちょ銀行の口座を開設していたのですが、端数(1000円未満)を含む出金をしようとしたところ、ATMでは手数料が発生することが分かりました。
*ゆうちょ銀行のATMでは、硬貨の出金は最初の1枚から手数料対象とのことです。
当然、そのような不要なコストは支払いたくないため手数料の掛からない方法を調べたところ、ネット検索の結果ではゆうちょ銀行(郵便局)の窓口であれば手数料フリーで出金できると言います。
冷静に考えて、ATM(Automatic Teller Machine)で手数料が掛かり、人間対応(窓口)で手数料が掛からないというのは摩訶不思議な現象ですよね。
にわかには信じ難いAIの回答に、実際にゆうちょ銀行の窓口に足を運んで確認したところ、局員は起きている現象の不可解さを理解すらしてない様子で『そうなんです』と回答してきます。
邦銀の預金額最大はUFJではなくゆうちょ銀行なのですが、トップバンク・JPバンクですらこのような独自進化を遂げていることに、日本金融のガラパゴス化が想像以上に根深いことを実感しました。
2026年初、国際送金を一手に担うSWIFT(国際銀行間通信協会)は世界17ヵ国・32行が連携して、個人等の少額送金(現時点の目安は1万米ドル以下)を即時着金させる仕組みを作ることを発表しました。
SWIFT自体のシステムを大きく変更する必要がないため早期導入が可能で、2026年内の実現を目指しています。
近年、フィンテックの台頭により既存金融機関は自らの存在価値に危機感を募らせています。
実際、英系・フィンテックとして有名なワイズ(国際送金サービス)は昨年一年間で30兆円を超える送金を手掛けており、その市場規模は年々増加の一途を辿っています。
今回の動き(SWIFT経由の即時着金システム)は確実にそれらを意識したものですが、BOA、JPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、BNPパリバ、ソシエテ・ジェネラル等の海外有名金融機関が参加を表明する一方、邦銀の参加は現時点でみずほ銀行のみとなっています。
そもそも、東洋のガラパゴス・日本では国際送金に縁のない人間が大半を占めるのかも知れませんが、その背景を考慮したとしても、非常に寂しい結果だと感じざるにはいられません。
果たして、日本に『世界標準』が導入されるときは訪れるのか。
金融機関だけの問題ではなく、私たち日本人が内向きである間はそれも望めないのかも知れません。
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太





