『資産形成スペシャリスト』、井上耕太です★
CNNで、興味深いニュースが出てました。
『国営サウジアラムコ、株式上場か』
世界最大の石油企業である、
『国営サウジアラムコ』が民間投資の受け入れを検討していると言います。
現在、世界の原油生産量の12%、
確認済の埋蔵量では世界の15%を占める巨大企業です。
なぜ、そんな事態になったのでしょうか??
背景には『サウジアラビア』の財政問題があります。
石油関連収入は、この国の財源の『75%』を占めます。
そんな中、今回の世界的な『原油安』です。
過去18ヶ月の間に、原油価格は、
『1バレル=100$超』から『1バレル=30$超』に下落しました。
実に、約『70%』の価格下落です。
単純に計算してみると、
『75% × ▲70% = ▲52.5%』
実に、サウジアラビアは、
国としての収入の『52.5%』を失ったことになります。
絶望的な数字ですよね。
日本でもしこれが起こったら、
どんな状況になってしまうんやろ??
既に皆さんご存知かもしれませんが、
この世界的な『原油安』の理由も整理しておきます。
理屈は単純です。
『供給量が、需要を上回っているから』
それだけです。
どんな『物』でもそうですよね。
『欲しい人』が多かったら、価格は上がる。
『欲しい人』は少ないのに大量供給なら、下がる。
今回の『原油』の場合は、
双方向からこの動きを加速させています。
①世界の『需要』は、減少している。
これも、先日から言ってる『混沌』が原因です。
世界全体として、暫く景気の先行きが思わしくない。
景気が良くて、バンバン物建てて開発したり、
大量消費で物がどんどん売れて作られるとき、
『原油』は要りますよね。
その動きが、今は鈍化しています。
世界の需要は、今は一時的に減ってる。
②逆に、『供給量』は増えてる。
これも、今回の大幅下落の要因です。
『シェール革命』
言葉は、聞いたことある人も多いでしょう(^_^)
昨今、アメリカを中心に、
新しいエネルギー採掘技術が開発されました。
今まででは産出出来なかった、
地下深い岩盤のシェール層(頁岩)から原油や天然ガスを採掘する技術。
これが、現在では、
日量『200万バレル』も採掘されているそう。
実に、世界生産量の15%ほどにのぼります。
技術開発当初の10年前から、10倍以上に跳ね上がりました。
そして、その採掘国のトップが、
世界トップの石油消費国『アメリカ』です。
シェールオイル全体の『80%』を、
『アメリカ』が産出していると言われます。
これを受けて、アメリカは、
石油『輸入国』から『輸出国』へと変貌しつつあります。
まさに、『エネルギー』の主導権を、
『中東』もっと言うなら『イスラム』から取り戻しました。
また、本来は価格調整のためにも、
『減産』の意思決定が必要なOPECも、
今回はまったく機能していない状況です。
『想定外』の事態に慌てていることと、
各国とも『シェアを奪われたくない』という、
短期的視点が先行しているものと思われます。
そんなこんなで、サウジアラビアだけでなく、
今まで『オイルマネー』で潤ってた国の財政は厳しい。
今回の『サウジアラムコ』の場合、
もし仮に上場した場合の時価総額は、
『数兆US$』と試算されています。
実に、全サウジアラビア企業の合算を上回り、
『アップル』さえ凌駕する超巨大企業です。
しかし、これだけの巨額IPOとなると、
サウジアラビアの市場で本当に可能なのか、
システム上での疑念もあるようです。
世界を騒がしている『原油安』。
今、1つの歴史の転換期に来ているようです(^_^)★