今日のテーマは、『バフェットの四半期決算不要論から学ぶこと』です。
皆さんは、ウォーレン・バフェットさんを知っていますか??
この公式ブログでも度々取り上げていますが、
間違いなく、世界が認める『ナンバーワン投資家』の一人ですよね。
『紡績会社』として斜陽にあったバークシャー・ハザウェイを、
見事、『投資会社』として蘇らせた敏腕投資家(経営者)です。
バフェット氏が進める『株式投資』は一般人のレベルと一線を画し、
その企業オーナーと直接話し、『企業そのもの』を保有しにいくという投資スタイルです。
『1%』にも満たない株式を保有するのであれば『投資家』ですが、
ここまで来ると、もはや『事業家』『経営者』と呼ぶ方が適切かも知れませんね。
『ハンバーガー』と『チェリーコーク』が大好きで、一説によると、
それを我慢した場合と、好きなだけ食べ・飲みした場合、
自身の『健康寿命』がどれだけ差がつくか算出したことがあるそう。
その結果、
『有意差無し』と結論付けて(本当なのか??)好き勝手の食生活を続けた結果、
見事、推定通り、『87歳』を迎える現在でも現役で活躍し続けています。
*ちなみに、バフェット側近である『チャーリー・マンガー』さんは94歳現役でした。
『相続』によって、莫大な遺産を手にしたわけでもなく、
わずか一代で世界トップクラスの『資産家』まで駆け上った伝説の人物。
良い形容なのかわかりませんが、『生きる化石』の表現もぴったりですよね。
そんな『投資の神様』ウォーレン・バフェット氏が、
最近、メディアに対して発言した言葉が、じわじわと注目を集めてきています。
それこそが、今日のタイトル。
『企業の四半期決算は、不要』
・企業が『四半期決算』に縛られると、『数字合わせ』という操作に走り、長期的重要関心事に反する愚かなことをしてしまう。
・しかも、『この操作』は、一旦始めるとやめられなくなる傾向がある。
・最高経営責任者(CEO)が『四半期利益予測』を出し、その企業の業績が改善された例など見たこともない。
・結果的に、企業は『誤った情報』を発信し続けることになる。
・私はいつも、マネージャー達(経営陣)に、50年続く同族企業に居るつもりでやれば、正しい決定ができるものだと説いている。
・企業は目標達成が困難になる程、『数字を操作する』という悪癖に陥りがちだ。
(*IR部門が風評被害を恐れ口を挟み、愚かなことをしがちなのだ。)
このように述べています。
私自身、20代を『会社員』として過ごしたのですが、
その時所属したのは、東証一部に上場される大企業でした。
なので、
決して、不誠実な業績発表をしていたという訳ではなく、
『四半期決算』という短期視点に振り回される感覚は理解できます。
必然ですが、
規模が大きくなるにつれ、実際の活動と得られる結果は、
市場からのフィードバックにタイムラグが生じ、即座に反映されることはありません。
業界によっても『時間感覚』は千差万別だと思いますが、
場合によっては、『年』どころか『10年スパン』で考えないといけない場合もある。
そんな時に、
短期での評価指標のウェイトを大きくしてしまうと、
バフェットが言うように、『数字の操作』に走るしか策がなくなります。
具体的に言えば、
『売上』が急激に跳ね上がる事はそうありませんから、『必需経費の削減』や、
最悪の場合、『会計操作』を行って『利益』が出ているかのように見せる方法に走る。
数字上はしっかり『利益』が上がっているように見えますが、
その『数字』は『実態』を表してはいないので、全く意味を持たなくなります。
プロスペクティブに『売上』が上がっていく希望もなく、
それに向けた『経費』を削減してしまうので、
一気に『負のスパイラル』に陥ってしまいますよね。
いくら『机上』で利益が計上されていても、
現実問題としてビジネスが上手くいき、手元に『お金』が残らなければ全く意味ありません。
決して間違って伝わって欲しくないのは、
『四半期決算』そのものが、良くないものと言っている訳ではないことです。
いくら『長期視点』でしか成長しないビジネスがあったとしても、
仮に、『10年に1度』しか決算発表しなければ、
投資家利益が損なわれるばかりか、不正の温床になる可能性も大きくなります。
市場の『監視機能』を適切に作動させるためには、
『四半期決算』というものは、(本来の意味で活用されるなら)必要かも知れないのです。
しかし、
幸か不幸か、超高度に高速化された現代の情報社会では、
その指標を過度に評価し、『短期視点』で考える投資家を多く生んでいます。
実際、
『四半期決算』が市場予想より高くでた企業の株価は跳ね上がり、
反対に、市場予測を大幅に下回ると、大暴落も起こり得るのです。
それでも、
少し冷静に考えてみたらわかることですが、
『四半期決算日』を挟んで、企業価値がそんなに大きく変化するはずがありません。
結果が思わしくなくても、将来に対する『種』は撒かれているかも知れないし、
反対に、好調に見えても、大きな『リスク』がマスキングされている事もあります。
現時点の、一瞬の『数字』を見るだけでなく、
『実態』を見抜く眼力が大切になってきます。
これは、
何も『企業』だけの話ではなく、『個人』にも通じる所があります。
例えば、
普段から多くの方々の面談を受けていて目にすることですが、
バランスシート上でいくら『資産』の欄に保有するものがあっても、
『負債』と照らし合わせて『債務超過』に陥っている方々も多く存在します。
『収入』『保有しているもの』『社会的地位』『ステータス』etc.
外見上は理想的に見えている方々でも、
内面のキャッシュフローを見てみると、壊滅的な方々も相当数存在している。
他人に対しても、そして、自分自身に対しても、
『真実』『実態』をしっかりと見抜く『眼力』が大切になってくると考えます。
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井上耕太事務所
代表 井上耕太