今日のテーマは、『世界の潮流と逆行する、日本国債の不穏な動き』です。
本日夕方から、再び香港に飛び立ちます。
いつもは朝一に関西空港を飛び立つ便を予約しますが、
今回、繁忙期の為、予約が取れず、ゆっくりしたスタートとなりました。
普段、
クライアントさんと一緒なので、前日は寝坊がないか不安になりますが、
流石に、16時過ぎのフライトでは、それが無いので良いですね(笑)
現地では、
少しタイトなスケジュールになりますが、
仕事をしながらも、束の間の『現実逃避』をして息抜きして来ようと思います。
世間的には、
『ファーウェイ CFO 逮捕』のニュースの方が注目度高い為か、
全く話題になりませんでしたが、週末、NY株式市場は大幅下落して取引を終えました。
一時は、
『2万6000ドル』を超える値を示した『NYダウ工業株30種平均』も、
前日比『550ドル超』下落し、『2万4388.95ドル』で終了しています。
つい先日、
『米中貿易摩擦』についても、一時的に緊迫感から解放され、
『株式市場』にも楽観が漂い始めていたので、ここにきての下落は意外です。
極論、
『未来』は、正確には誰にも『予測』が出来ませんが、
市場参加者の『メンタル』により、乱降下することを日々実感しています。
これを受けて、
最近まで堅調に上昇を続けていた『米国長期金利』も、
『年率3%』を割り込む値まで、一時的に下落しました。
ただ、
来年以降、『FRB』も順当に利上げしている予測を見ると、
世界経済全体として、『超低金利』の時代は終焉を迎えたと感じています。
約5年前、
日本に先駆けて『マイナス金利政策』を導入した欧州を中心に、
先進諸国も、歴史的な『超低金利』の時代が数年間続いてきました。
そもそも論として、
『お金』を借りる時、
『債務者(借り手)』が『債権者(貸し手)』に対して金利を支払うのは当然で、
それを否定してしまったら、『経済学』自身が成立しなくなってしまいます。
もしも、
これが現実世界で起こるのであれば、『債務者』が圧倒的有利になり、
長期的に返済する事を口約束し、多額の融資を引き出した者が『勝ち組』になる。
これに対抗し、
『多額融資』を受けることへの『抑止力』として働くのが、
『金利』として、『元本』に加えて『債権者』に返済する仕組みなのです。
ただし、
この『経済学の常識』が、ここ数年間成立しておらず、
ほぼ0%(実際は1%未満)の金利で『融資』が受けられる、
『借り手』有利の異常事態が巻き起こっていたのです。
この状況に対して、
私自身、これが『定常状態』となることは決してあり得ず、
その『歪み』は、必ず近い将来に修正されると言い続けてきました。
そして、
『当然の話』ですが、この『異次元ワールド』も終焉を迎え、
世界的にも、『適正金利』を得る時代が戻ってきた状況なのです。
、、、、ところで、という話。
皆さん、私がここまで長々と話をしてきた内容ですが、
日々の生活の中で、『実感』として感じることが出来ていますか??
私がこういう聞き方をする時、その回答は『NO.』ですよね(笑)
そう、
世界は『適正』な状態に戻ろうとしているにも関わらず、
『日本』においては、その潮流に逆行して、異常事態が継続しているのです。
どこでわかるか??
それは、海外諸国同様、『長期金利』の動向を見ればおおよそ分かります。
日本の『長期金利』の指針にされるのは、
『新発10年者国債の年率利回り』がそれですよね。
今、どれほどの『利率』かご存知でしょうか??
大阪、神戸で開催しているセミナーでもよくこの質問をしますが、
実際、これまで明確に答えられた方はいないのが実情です。
皆さん、その時々での日本の『長期金利』を、ご存知無いんです。
それはなぜかと言うと、、、、、、、、ほぼ『ゼロ』なので自分に関係無いから。
前述で、
『新発10年もの米国債』の金利が『年率3%』という話をしましたが、
これは言い換えれば、米国人は『無リスク』『年率3%』で運用可能な事を意味します。
『日本』の状況から考えれば、『夢』のような数字ですよね。
もし、『日本国債(長期金利)』がこれほどの値であれば、
皆さん、自身のポートフォリオに組み込む可能性が出てくるので、ウォッチします。
しかし、
現状、『ほぼゼロ』の状態が継続する『日本国債』では、
そんな事はあり得ないので、スルーしてしまっているだけです。
一時、
『年率0.100%』の水準を超えて来ていたその値も、
少し目を逸らしたうちに、『0.055%』付近を推移するまでに後退しました。
この数字こそ、正に『異次元』な訳ですが、
世界の潮流と逆行する状態が続いていても、是正される気配は全くありません。
何故、このような『異次元ワールド』が継続するかと言うと、
私たちの『国民資産』を有効活用し(?)、
せっせと国債の『国内消化』が行われているからです。
勿論、中央銀行(日本銀行)を通した大量購入も継続中です。
この『マスキング・スキーム』が発動しているからこそ、
日本国債は、『信用格付け』とは乖離した、『超低金利状態』が継続しているのです。
先日から、
『ゆうちょ銀行』における『預入れ限度額増額』の話題が散見され、
一時『倍増』との報道も出ましたが、『300万円増額』と無難な所で決着しそうです。
世間の方々はピンと来ないかも知れませんが、
『ゆうちょ銀行』の預入れ限度額が増額し、資金が集まるという事は、
『国債買入れスキーム』も、より活用しやすい状態になるという事です。
この状況が続く限り、暫く、『異次元ワールド』は継続しそうです。
ただし、
その『異次元ワールド』も、近い将来『終焉』を迎える事は、
私たち日本国民は、しっかりと理解して、行動しておかなければいけません。
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井上耕太事務所
代表 井上耕太