今日のテーマは、『膨張し続ける官製相場は、果たして、どこに向かうのか??』です。
ここ最近、『金融・経済』分野の話をまったくしていませんでした。
理由は、大きく2つあると思います。
1つは、『ビジネス・ライフワーク』テーマにおいて、
興味を惹かれる報道が、立て続けに出て来ていたこと。
もう1つは、
ある一定期間、記事として取り上げることをしなくても、
『株式市場』が、比較的安定的に推移し続けていたこと。
実際、
『数値』を取り上げるのは、今月(10月)に入って初ですが、
放置プレイをして期間、日米市場共、大きく変動していません。
米国市場、
代表指数となる『NYダウ平均株価』は、最高値更新こそないものの、
『2万8000米ドル』台を彷徨いながらも、堅調に推移しています。
また、
日本市場における代表指数である『日経平均株価』も、
『2万3000円』台を推移して、こちらも盤石です。
来月以降に控える、
各選挙の動向にも、若干、左右されるかも知れませんが、
恐らく、年内は、何事もなく過ぎていく気配が漂います。
しかし、
冷静に考えれば、この『市場動向』には少し違和感を感じます。
何故なら、
先日まで、連続して話題を取り上げてきた通り、
社会を取り巻く『経済活動』に関して言えば、
なかなか『ポジティブ』な話題が有りません。
典型的なものを挙げれば、
『コロナ関連倒産・失業』は、徐々に増加傾向にあり、
国内の『経済活動』が、完全復活を遂げていない現状、
年末にかけて、これらの数値は増加すると見られます。
勿論、
『経済活動』が完全に復活していないということは、
国内を巡る『お金』の循環スピードも上がり切らず、
企業サイドとしても、業績悪化しているということ。
にも関わらず、
『株価』だけは、前述の通り、非常に堅調に推移しており、
その動向は、『理屈』という観点では整合性がとれません。
『舞台裏』では、何が起こっているのでしょうか??
これについて、先日、興味深い報道が出て来ていました。
『GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)と日本銀行、日本市場の大株主へ』
『GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)』
『日本銀行(中央銀行)』
公式ブログ読者の皆さんには、説明不要の『頻出ワード』ですね。
2020年3月時点、
『東証一部』に上場する大企業は、内資を中心に『2166社』を数えます。
一般的に、
株式市場では、発行株式全体の『5%以上』の保有者を、
『大株主』という言葉で定義することは、常識ですよね。
その基準で見た際、
現在、前述『2166社』中、約8割の『1830社』において、
公的機関(GPIF・日銀)が『大株主』となっているというのです。
普通に考えて、有り得ない状況です。
ご存知の方もいらっしゃる通り、
『GPIF』のポートフォリオにおける『国内株式』の割合は、
2020年現在『約25%』がターゲットとされています。
その数字から算出して、
『GPIF』が日本市場に資金投入している金額は『約36兆円』。
また、
中央銀行である『日本銀行』も、指数連動型の金融商品購入を通じて、
『約31兆円』もの巨額マネーを、市場に投入している形になります。
2020年時点、
東証一部上場企業、時価総額の累計値は『550兆円』ですから、
上記『公的マネー』を合算して、市場全体の『12%』占めます。
更に、
間接保有分含めて、TDKなどは『10%超』株式保有しており、
『公的マネー』に『20%超』の株式を保有されている企業も、
『28社』も存在していることになります。
これでは、『企業価値』の適正評価は出来ません。
『日本国』により、株価を買い支えられている、
該当企業にとっては、有り難い状況でしょうが。
ただ、
問題なのは、『株価の適正評価ができない』ことではなく、
公的マネーによる『上げ底』も、解消の時が来るという事。
前述した、
『大株主』になっている該当企業に限った話ではなく、
巨額の公的マネーが『日本市場』に入っているという、
前提のもとに、『市場全体』が買い支えられています。
『国債』の問題同様、
どこかの局面で、保有株式は解消に向かう時は、必ず来ますから、
その際、該当企業だけでなく、市場全体が大きく下落に転じます。
近年、
自国通貨建て公的資金については『錬金術』が可能という、
『摩訶不思議な理論』がまかり通っている感がありますが、
果たして、本当に、そんなことは実現可能なのか??
『自然の摂理』からは、大きく逸脱していると感じますが、
その結論は、また、近い将来明らかにされることでしょう。
個人的には、『好ましくない状況』として市場を観察しています。
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代表 井上耕太