今日のテーマは、『果たして、日本は金利ある正常な世界を取り戻すことが出来るのか』です。
久方ぶりに長期金利が1%の大台(?)突破しています。
もちろん、
政策金利が6%に迫る米国と比較すれば低い基準ながら、
実質0%で長期低迷した日本にとって相当高い水準です。
メガバンク各社も、
住宅ローン・預金等の金利引上げを一斉に公表しており、
日本人の大半は忘れていた概念が復活の兆しを見せます。
元々『金利』が存在することはファイナンスの基本原則。
冷静に考えて、
『借りたお金』をそのまま返済してことが済む訳がなく、
色(利息)を付けることは義理人情の点でも正しい行動。
それ故、
私たちが慣れ切ってしまった『金利のない世界』の方が、
世界的にも、歴史的に見ても異常事態だったと言えます、
果たして、『金利ある正常な世界』は戻るのでしょうか。
結論からお伝えすると、私見では厳しいと考えています。
1つの理由は、
以前から指摘する、日本が抱える巨額過ぎる累積債務で、
社会全体の金利が上昇すれば、必然利払いも増えるから。
現時点ですら、
国債費(償還・利払)は一般会計の3割程を占めており、
金利が上昇すれば、国家財政がますます逼迫してしまう。
もう一つは、
中央銀行・日銀が大量に保有している日本国債の問題で、
金利が上昇すれば、相対して、債権価格は下落していく。
こちらも、
現時点、10兆円規模の評価損(含み損)を抱えており、
安易に金利を上げて、損失を拡大するのは得策ではない。
海外と足並みを揃えたいものの、理屈通りに行きません。
巷では、
現在、歴史的に見ても安値にあるとされる為替の水準は、
日米両国の金利差拡大に起因していると言われています。
もしも、
仮説の通り、金利差縮小により円安が緩和されるとして、
日本サイドの金利水準はこれ(1%)以上動かせません。
つまり、受動的に米国側の動きを待つしかないという事。
個人であれ、国家であれ、人間は追い込まれてしまうと、
講じることのできる策の選択肢が極端に限られてしまう。
正常な世界を取り戻すのは、簡単なことではありません。
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昨年(2023年)よりセミリタイア生活に入っており、
今後の主催セミナー(オープン形式)の開催は未定です。
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