今日のテーマは、『目紛しく情報が飛び交う現代社会、あなたは本質を見抜けますか』です。
日々飛び交う情報に翻弄されて、マーケットが乱高下していますね。
日本市場に目を向けると、日経平均株価は今週8日の急上昇から一転、昨日(9日)は再び急降下して、前日終値から1300円近く下げて取引を終えています。
月曜日(8日)の歴史的暴落を即座に取り返せたと思えたのも束の間、その上昇分をわずか一日で吐き出してしまう結果となりました。
米国マーケットも、粗い値動きが続いていますよね。
昨夜(日本時間4月9日)は寄り付きをチェックして、微増・微減を繰り返す様子を確認してから眠りに就きましたが、朝起きて、NYダウが約3,000ドルも上昇していることに驚きました。
株価爆上げの理由は、世界185の国・地域に及ぶとされる米国発の相互関税が、上乗せ部分については90日間(約3ヶ月間)停止するとの公算が高まったこと。
恐らく、今後も市場はフェイク・ニュースを含めた『情報』に踊らされ続けて、落ち着きを取り戻すには、少なくとも数ヶ月間を要するものと考えます。
日々、時に相反するように思える『情報』も無秩序に流れてくる現代社会において、私たちはどうすれば物ごとを正しく判断できるようになるのでしょうか。
それには、本質を捉えて、大局を掴む能力が不可欠です。
先ず認識すべきは、米・トランプ政権が目指すものは、大統領選の公約から一貫して述べられているアメリカ・ファースト。つまり、米国の利益を最優先して追求することです。
識者の中には、『トランプ氏は関税(が社会に与える影響)を理解していない』と述べている方々もいますが、私見ではその認識は正しくありません。
確かに、大統領自身がどこまで聡明な人物かは分かりませんが、実質的に政策を立案するブレーン(側近)たちは優秀な人物たちで固められているはず。
その優秀なチームが、関税が世の中(世界)に与える影響を理解しないまま、具体的な数字を示して『相互関税』を実行することなどあり得ないのです。
話を戻すと、トランプ大統領自身、自らが発動した『相互関税』を恒久的なルールとしては、社会全体が機能しなくなることは理解しているでしょう。
それ(攻撃的な相互関税)は、あくまで『製造業』の覇権を米国内に取り戻すための手段として活用されています。
新たな関税を課すことで、世界各国に対してアピールしているのは『もっと米国製品を買ってくれ(輸入してくれ)!』ということ。
ご存知の通り、覇権国・アメリカは財政と貿易の双子の赤字に苦しんでいますが、先ずは、解決が容易と判断した後者(貿易赤字)の解消に最注力しているというのが現在の状況です。
今回、関税の上乗せ部分は90日間停止される流れになりましたが、本体部分についても、実現可能性がどこまで高いかと言えば疑わしいもの。
なぜなら、トランプ政権の真の目論見は、関税収入の底上げではなく、それを一つのカードとしてディール(取引)を仕掛けて、二国間協議で自国の利益を最大化していくことにあるからです。
私の予測では、砲弾として『関税』を活用した経済戦争は1年後には決着しており、アメリカ・ファーストが実現するか否かについても大勢が判明しているものと考えます。
今は、それに至る変遷のとき。
焦って短絡的な行動を起こすことはもちろん、一喜一憂することも得策ではないため、落ち着いてマーケットを静観する覚悟が求められています。
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太