今日のテーマは、『最低賃金をアップさせても、なぜ日本経済の課題は根本解決しないのか』です。
昨日7月24日、
中央最低賃金審議会は、今年度の最低賃金引上げ目安を、
47都道府県一律50円アップすることに合意しました。
今後、
8月中を目処として各都道府県の審議会で正式決定され、
スピード感を持って10月以降に適用される見通しです。
本来、
47都道府県はAからCの3つのランクに分けられていて、
其々の経済情勢に応じて増減額が決定される仕組みです。
しかし、
隣県との格差により労働力が奪われるリスクを考慮して、
今回は全国一律に『50円』のアップで統一されました。
これにより、
16都道府県で最低賃金は1000円の大台を突破して、
全国平均も『1054円』で過去最大に引き上げられる。
一見すると、
とても景気の良い話で、経済も上向きそうに感じますが、
果たして、日本が抱えている課題は解決するでしょうか。
百歩譲って、
今回の議論で多少なりとも労働収入がアップすることで、
一時的ながら、個人消費が上向く可能性はあるでしょう。
しかし、
社会全体として創出される価値の総量が変わらなければ、
単純に支払う企業サイドの人件費コストが増大するだけ。
当然、
利益が圧迫されたままでは、立ち行かなくなりますから、
上昇分の人件費は程なくして商品・サービスに転嫁され、
巡り巡って、私たちの日常生活へと返って来るでしょう。
結果、
『最低賃金上昇』という形で数字はアップしたとしても、
本質的に豊かにならないというスパイラルに陥ることに。
このあたり、
春闘で満額回答を連発し、給与の額面支給額が増えても、
社会保険料が上がり可処分所得が減少する論争と等しい。
実際、
某インターネット調査によると有効回答数約2万のうち、
約93%が景気感についてネガティブに回答しています。
日本政府は、
2030年代半ばまでを目標に、最低賃金の全国平均を、
『1500円』の水準にアップさせようと意気込みます。
ただ、実体が伴わなければ意味がないことは前述の通り。
もちろん、
社会全体として、『労働者』の立場を保護する観点から、
その(最低賃金)議論をすることが無駄とは言いません。
しかし、
日本経済を復調させて、成長軌道に導くことが目的なら、
カンフル剤にならないことも理解しておくべきでしょう。
——————————————————————–
昨年(2023年)よりセミリタイア生活に入っており、
今後の主催セミナー(オープン形式)の開催は未定です。
*ビジネスに関するお問い合せは、直接ご連絡ください。
*井上耕太事務所(代表)michiamokota0421@gmail.com
——————————————————————–
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太