今日のテーマは、『1米ドル=150円超の常態化が、日本に与えるもう一つの影響』です。
昨日の公式ブログでは、
『2発の銃弾は投機筋に傷を負わせられたか』と題して、
大型連休中の介入が空砲に終わる可能性を紹介しました。
事実、
本日付の米ドル円相場は『155円台』に突入しており、
大型連休明け2日目にして元の状態に戻りつつあります。
速報として、
政府と日銀が政策の連携強化すると報じられていますが、
ドラスティックな転換がない限り、現状は打破しません。
思い返せば、
1米ドル=110円台の水準をキープした時代が終焉し、
ドル円相場の150円台が常態化して、早くも3年ほど。
ここまで来れば、
当初の目論見通り、日米の政策金利差が縮小することで、
本当に、円高回帰が起こるかすら疑わしくなっています。
元々、
エネルギー・食料自給率とも低率に留まる国においては、
急激に自国通貨が安くなることは、死活問題を意味する。
実際、
直近3年の円安進展を1つの主因とする物価上昇により、
政治家が想像する以上に国民生活は疲弊していますよね。
また、
海外諸国からは『安い国・ニッポン』と見做されており、
インバウンド消費に依存する様は完全なる途上国化です。
しかし、長期的に受ける影響はそれだけではありません。
何を言っているかと言うと、
前述の通りすべてが『安い国』に成り下がった日本には、
観光客は訪れますが、働きたいという高度人材が来ない。
冷静に考えてみれば、当然です。
2023年時点、日本人の平均年収は450万円前後で、
現行の為替水準では、米ドル換算で3万ドルを割り込む。
この数字は、
G7中で断トツ最下位であるのはもちろん、アジア圏でも、
上位グループと中位グループの当落線上にある位置付け。
客観的に見て、労働者の視点でどのように映っているか。
仮に、
日本で働いた際の年収が『300万円』に留まるとして、
2万米ドルに満たない低賃金では、合理性がありません。
目的達成のため、
彼ら・彼女ら(海外出稼ぎ労働者)が、日本を見るのか、
韓国・中国を目指して動き出すかは、自明だと言えます。
ちなみに、
グローバス市場において、中国・インド等の高度人材を、
獲得する場合の報酬は年収10万ドルが最低ラインです。
現行の為替では実質的に2000万円前後が攻防ライン。
恐らく、
個別事案を除いた一定数以上の人材を集団採用する場合、
この初任給を準備するのは、大企業でも難しいでしょう。
ということは、
優秀な人材を確保するグローバルな競争でも劣勢に立ち、
中長期的な視点でますます国力低下に拍車が掛かります。
残念ながら、経済的観点で日本の魅力は失われつつある。
急激な円安進展は、長期視点でも大きな影響を与えます。
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昨年(2023年)よりセミリタイア生活に入っており、
今後の主催セミナー(オープン形式)の開催は未定です。
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井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太