今日のテーマは、『NPBとMLBの壊滅的な経済格差は、いかにして生まれたのか』です。
一見、私たちには関係なさそうな話からスタートします。
11月も最終盤となり、
NPB(日本プロ野球)MLB(メジャーリーグ)ともに、
ポストシーズンが終了して続々とオフに突入しています。
先日、
世界ランク上位12国がグループ総当たり戦で決着する、
『プレミア12』なる国際大会も開催されていましたね。
惜しくも、
日本代表は台湾代表に国際大会の連勝記録を止められて、
準優勝という悔しい結果ですべての日程を終えています。
来年3月、
高校野球を含めて、新たなシーズンがスタートするまで、
野球好きとしては寂しい4ヶ月に突入してしまいました。
しかし、
その期間もメディア報道がないかと言えばそうではなく、
プロの世界では『契約更改』が話題の中心に上がります。
そして、
毎年、この時期にメディアを通じて痛感させられるのは、
NPBとMLBの間にある壊滅的とも言える経済格差です。
例えば、
メジャー契約の最低年俸が約4億円であることに対して、
NPBの支配下登録選手の平均年俸はおよそ4000万円。
数字を単純比較するだけでも10倍の格差がありますね。
しかも、
後者の数字は一部の高額年俸選手に引き上げられており、
二軍暮らしの支配下選手は1000万円以下もザラです。
つまり、
単純に、プロ野球選手という職業で括って見たとしても、
最低年俸では少なくとも40倍の格差が存在しています。
ちょうど1年前、
人類史上最高のプレーヤーで間違いない大谷翔平選手が、
ドジャースと交わした超大型契約が注目を集めましたね。
条件として、
10年総額で『7億米ドル』と報じられていましたから、
現行為替レートで1000億円超の天文学的な数字です。
単純計算、
スポンサー収入を除いて年間100億円の収入ですから、
もちろんそこまでの選手は日本プロ野球に存在しません。
また、
先日は花巻東高の先輩・菊池雄星投手の契約報道があり、
先発投手の一角として3年総額6300万ドルの高評価。
年俸に換算して約30億円ですから、もの凄い世界です。
他にも、
鈴木誠也選手(30億円)、吉田正尚選手(27億円)、
ダルビッシュ有投手、前田健太投手、今永昇太投手等も、
それぞれ20億円前後の年俸を稼いでプレーしています。
極端な話、
NPBでは未だ誕生していない『10億円プレーヤー』も、
MLBではそれほど珍しくない時代へと突入してきました。
なぜ、同種競技でここまで格差が生まれるのでしょうか。
結論から言うと、
同じ『野球』という競技でも両者(NPBとMLB)では、
収益を上げるビジネス・モデルが大きく異なるからです。
例えば、
大谷選手が活躍する報道を見ていて気付くと思いますが、
ホームラン映像の背景に映るスタンドは空席でガラガラ。
もしかすると、
球団あたりの『観客動員数』だけで勝負するのであれば、
NPBの人気球団がMLBを凌駕する可能性も十分あります。
それでは、なぜ、スター選手に高額年俸を支払えるのか。
それは、
NPBと異なり、MLBはファンに球場へ足を運んでもらい、
入場料を得る従来のモデルから早々に脱却しているから。
具体的には、
世界中からスーパースターが集う環境を整備することで、
70億人をターゲットにファンを獲得することを目指し、
世界中に売り捌く放映権で莫大な収入を得ているのです。
それ故、
スタジアムの観客動員数はそこまで多くなくとも、実際、
メディアを通して視聴する観客の数は桁違いに多くなる。
そうすることで、
グッズ販売を含め様々なビジネスチャンスも生み出され、
最終的にMLB全体が上げる収益もさらに莫大になります。
それが、
巡り巡って、プレーヤーにも還元されるシステムなので、
前半で紹介したような高額年俸が成立しているんですね。
もちろん、
MLBに挑戦する選手は、競技者としての高みを目指して、
安定を捨てて海を渡っていることに間違いはありません。
しかし、
挑戦に対する勇気の対価として得られる経済的な成功も、
エネルギーを生み出すため決して無視できない要因です。
これから、
少なくとも数十年間の人口減少が確定する日本市場では、
内向き思考では、限られたパイの取り合いに終わります。
NPBのように、
世界市場から取り残されてしまわない為にも、私たちは、
より広く視野を持って、未来を展望する必要があります。
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昨年(2023年)よりセミリタイア生活に入っており、
今後の主催セミナー(オープン形式)の開催は未定です。
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代表 井上耕太