今日のテーマは、『水面下で動き始めたチャイナマネー、世界を巻き込む不動産リスクの結末は』です。
先週の公式ブログでは、
『株式市場に燻り続けている1つの不安要素』と題して、
未解決のままである中国の不動産リスクを紹介しました。
2021年、
業界大手・中国恒大集団の経営危機で顕在化したそれは、
2024年を迎えて尚、何一つ課題は解決されていない。
と言っても、
これは、中国恒大集団という一民間企業の問題ではなく、
業界全体、ひいては国家全体まで拡大される重大リスク。
2007年、
米国を震源地としてサブプライム危機が起こりましたが、
その象徴のリーマン・ブラザーズ、AIGと同じ立場です。
2000年以降、
世界経済を牽引する、中国の年率2桁成長を支えるため、
国家プロジェクトとして進められてきた不動産開発事業。
しかし、
名目の経済成長を最優先した結果、需給バランスは崩れ、
長年の供給過剰により後戻りできない所まで来ています。
そして、
その影響はどうやら国内だけに限定されるものではなく、
ここに来て、世界全体に波及する様相を呈してきました。
どう言うことか?
ご存知の方もいますがサブプライム後の2010年以降、
世界の不動産市場はチャイナマネーにより席巻されます。
これにより、
世界各地で不動産価格は軒並み上昇し、住宅地に関して、
元々その国に居住する人たちのコストを引き上げました。
その結果、
各国はモンスター化したチャイナマネーへの対策として、
非居住者としての彼らの取得制限をした経緯があります。
この動きからも分かる通り、世界の不動産市場において、
法人を含む中国人投資家は大きな存在になっていました。
しかし、
タイトルにある通り、世界を席巻したチャイナマネーは、
今、水面下で中国本土に向けて『還流』をし始めました。
実際、
その流れの中で氷山の一角であるオフィス物件だけでも、
世界全体として、1兆ドルの価値が消失した試算もある。
また、
中国国内事業の立て直しや債務返済の必要性に駆られて、
手元資金の確保のため不動産物件が投げ売られています。
例えば、
中国奥園集団は60米ドル規模の債務返済計画の最中で、
カナダ・トロントの保有区画を、購入時の約半値で売却。
欧州でも、
中国富力地産がロンドンのプロジェクトを売却しており、
対価として求めるのは債務の一部引受と1香港ドルのみ。
文字通り、二束三文での投げ売りが散見されていますが、
その事実が、中国・不動産業者の窮状を鮮明に表します。
そして、この流れは簡単に収束することなく続いていく。
中国を震源地とする不動産リスクの結末はどうなるのか。
これから暫く、その動向から目が離せなくなりそうです。
——————————————————————–
2023年1月より【セミリタイア生活】に入っており、
オープン形式の【資産形成セミナー】の開催は未定です。
*ビジネスに関するお問い合せは、直接ご連絡ください。
*井上耕太事務所(代表)michiamokota0421@gmail.com
——————————————————————–
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太