今日のテーマは、『世界からお人好しのレッテルを貼られた日本人が速やかに獲得すべき常識』です。
元来、和を以って尊しとなす大和民族(日本人)は国民性として『お人好し』だと言われています。
大阪の都心部で生活する身としては日常的に世知辛さを感じる場面もありますが、それでも、世界の標準的な感覚からすれば少数派でも『親切なひと』が存在すること自体が素晴らしいのかも知れません。
ただし、それ(お人好しの国民性)がポジティブに働くことがある反面、以前から繰り返し指摘してきたように、現実世界ではネガティブな方向に利用されることも多々あることも事実です。
特に、魑魅魍魎が跋扈する金融の業界ではそれが常態化していて、完全クローズドで不定期開催する主催セミナーでは金融機関のことを『悪の枢軸』と表現するようにしています。
分かり易くお伝えすると、銀行・保険会社・証券会社等に代表される金融機関は、自らの利益を最大化することを最優先に考えていて、間違っても顧客利益を最優先するスタンスで運営されていません。
以前、社会問題に発展した日本郵政(ゆうちょ・かんぽ)の虚偽契約や違法転換などは完全に常軌を逸していますが、それよりもマイルド(?)な事例であれば常に世の中に溢れ返っているのが現実です。
先週18日、日本生命保険の子会社であるニッセイ・ウェルス生命保険は、同社の社員らが出向先の金融機関2社から計934件の内部情報を無断取得・持ち出し・社会共有していたことを公表しました。
以前には、日本生命保険の本体で約600件の情報の不正取得が判明しましたが、今回の事例も合わせてグループ全体で(少なくとも)1500件を超える不適切な情報の取得があったことになります。
今回(ニッセイ・ウェルス)の不正取得は2019年4月から2025年4月までの6年間、少なくとも9人が関わったとされており、この数字を見ても不正が個人の判断ではなく組織ぐるみのものだったことが窺い知れます。
にも関わらず、担当役員らを減給処分した一方で、社長・会長・(不正を犯した時期に在職していた)前会長らに対する処分を不問としたところに業界特有(?)の闇を感じてしまいますね。
それでも、決して日本生命保険を擁護するわけではないですが、一つだけ明確にお伝えしたいのは他の会社(銀行・保険・証券)も若干の程度の差こそあれ同様のことは確実にやっているということです。
そもそも、同様の不正を本気で阻止しようとするのであれば、保険会社から金融機関(銀行)に出向させること自体が誤りであり、その構造的な欠陥を改善しようと試みるはずです。
窃盗犯としての前科を持つ人間に、自宅の留守番を頼みたいと思う人などいませんよね。
システム(保険会社から関連銀行への出向)自体が変更されない限り、同様の不正はこれからも繰り返されると見るのが自然です。
今回の事例が分かり易く示してくれた通り、私たちは金融機関を簡単に信用してはいけない。
投資家フレンドリー(投資家・契約者に利があること)と企業利益は、原則として相反関係にある。
これらは世界からお人好しのレッテルを貼られた日本人が、速やかに獲得すべき常識だと考えます。
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太





