『資産形成スペシャリスト』、井上耕太です★
昨日のblogで、
最近の『原油安』の原因を簡単にご紹介しました。
昨日の『サウジアラムコ』に続き、
今日はマレーシア国営の石油・天然ガス企業、
『ペトロナス』も厳しい見通しを発表してます。
同社の見解では、
『1バレル=30US$』程度の低価格は、
今後3年ほど続くことが予想されます。
しかし、同社はこれまで超高収益企業だったため、
余剰キャッシュは潤沢にあるようで、
今後5年間で約『10兆円』規模の設備投資をするそう。
今後の供給過多が見込まれる時代にも、
さらなる生産性向上で対応するようです。
さて、ここでいきなり話が変わりますが、
今回の『原油安』は世界にどのような影響を与えるでしょうか??
1つの超短期的視点で見たら、
原油安による『コスト減』は、企業・個人に関わらず『追い風』のように見えます。
この予定外でアンコントローラブルな『恩恵』を背に、
厳しい局面をなんとか回避できている企業・家庭は多い。
実際、日本での『物価』は、
言うほど上がってないように見えるでしょ??
ここ数年で、貨幣価値はこれほど下落したのに、
『物価』が変化しないのは、その商品に『原油安』の影響が絡むからです。
所得は変わらないのに、
生活にかかる『物価』は減る。
会社の売上げは変わらないのに、
『コスト減』により増益になる。
そして、この傾向は、
まだ少なくとも数年は続く見通しである、と。
なんだか、
『原油安』は『良いことづくめ』のようですよね(^_^)
でも、残念ながら、
それだけではなさそうなんです。
ここ数年、『原油安』の問題が出始めてから、
少しずつ話され始めてることがあります。
それが、『石油関連デリバティブ』の問題です。
今回の『原油安』の主因は、
『供給過多』にあることはご紹介しました。
そして、さらにその一因が『増産』にある、とも。
『シェール革命』により、
多くの『シェールガス』企業が新たに市場に加わっています。
それを迎え撃つ石油企業も、
新規参入の『シェールガス』企業自身も、
『供給過多』による『価格下落』は百も承知です。
じゃあ、それを指をくわえて眺めてるか??
答えは、『否』。
自分自身が『増産』することで、
さらなる『価格下落』が進むことになります。
自分で自分の首を絞めることもわかってる。
でも、掘らなければ相手に負けてしまう。
そんな時、どうやって『リスクヘッジ』しますか??
原油価格下落に対応した、
『デリバティブ』という金融商品を買ってるんです。
『デリバティブ』の説明をここでし出すと、
今日のblogが終わらなくなってしまいます。
なので、簡単に(^_^)
例えば、現在『1バレル=30US$超』の原油が、
今後でさらに値下がりしていくと考える場合。
将来のある時点において、
『1バレル=30US$』で売る権利を先に買っておくんです。
『デリバティブ』自体は、
差金取引の『ゼロ・サムゲーム』。
そのデリバティブが『買える』裏側には、
必ず逆サイドの『売る』側の存在があります。
皆さん、『売る』時はいいんやけど、
将来の権利行使の時に、果たして支払い能力があるかどうかは別問題です。
この、デリバティブの不履行が、
そろそろ限界に来てるんじゃないかと言われてる。
実際、昨年中の破綻を予想してた人もいます。
『デリバティブ』
世界ナンバーワン投資家ウォーレン・バフェットは、
『金融界の最終破滅兵器』と呼んでいます。
『実体経済』とは相関しない、
『数字ゲーム』としての要素があるからです。
正しく用いられれば『リスクヘッジ』の有用なツールですが、
強欲になれば、本当に『金融界の核兵器』になります。
現在、世界のデリバティブ市場は、
日本円換算で約『7京円』とも言われています。
世界の実体経済とも乖離した、
天文学的な数字まで膨らんでいます。
『石油関連デリバティブ』に関しては、
そのうち数兆US$規模まで膨らんでいるそう。
日本円換算で『数百~1000兆円』規模。
全体から比べたら微々たるものですが、
1つの『スイッチ』としては十分です。
これが、いつ弾けるか。
その複雑系から、
もしかしたらリーマン級は来るかも知れません。
時代の『転換期』には、必ず『痛み』は伴うものです。
時代は、いつも繰り返す(^_^)★