今日のテーマは、『遅延の代償という言葉を無視して、資産形成を成功に導くことは出来ない』です。
似たような印象を持つものとしては『先行者利益』という言葉がありますね。
新規市場に誰よりも早く入ることで、その市場全体の利益を独占してしまうか、若しくはより多くの利益を獲得する様を表現している言葉です。
直近の事例で最もイメージし易いのは、暗号資産(仮想通貨)でしょうか。
代表通貨であるビットコインが誕生したのは2009年ー2010年頃と言われていますが、創世記は1BTC=約0.07円と1円にも到底満たない価格で取引(?)されていました。
それが、2025年6月現在は1500万円超で(実際に)取引されている訳ですから、わずか15年ほどで1000『億』%もの天文学的リターンをもたらしたことになります。
しかし、私自身、現時点で他の暗号資産(仮想通貨)はもちろん1ビットコインすら保有していませんが、それに対する後悔は1ミリもないというのが本音です。
何故なら、ビットコイン(その他上昇した暗号資産)は結果論として爆発的に上昇しただけで、同時期(2010年頃)に同様のポテンシャルを秘めていた対象は無数に存在していたはずだから。
つまり、運よくそれ(BTCを始めとした暗号資産)を選択できた人は良いですが、その背後には、他の対象を選択して保有資産を溶かしてしまい、市場を退出していった人たちが何万倍もいるのです。
対して、タイトルにある『遅延の代償』が意味するところは、それ(先行者利益)と少し異なります。
簡単に説明すると、すでに確立された物ごと・方法に対して、自分軸を参照点として早くアクションを起こしたほうが得られる利益が大きいことを指しています。
当然ですが、私がクライアントに対してビットコイン(その他の暗号資産も含めて)を保有することや、次なる『BTC』を発掘するようアドバイスするようなことはありません。
わずか15年ほどで1000『億』%ものリターンを記録する対象はギャンブル性が高すぎて、タイムリープしてきた未来人でもない限り、リスクを超えるリターンを享受することなど出来ないからです。
それよりも、収入から一定の割合(少なくとも20%)をコンスタントに確保して、それを元手資金に10ー20年かけて4ー5倍に成長させていく方が、現実味・再現性とも圧倒的に高くなります。
裏を返せば、資産形成を成功へと導くには10ー20年ほどの時間が必要不可欠であり、それをどのタイミングで確保できるかにより、それぞれの人生は大きく異なるものになるということです。
当たり前の話ですが、スタートが50代になれば70代でようやくゴールを迎えることになり、20代半ばからスタートを切れば、20年経ってもまだ40代半ばと十分な時間が残されています。
価値観は人それぞれかも知れませんが、どちらが良いかと問われれば自明でしょう。
また、資産形成の世界においては、過去に存在していた『アドバンテージ』のある手段・方法が、時間の経過とともにアクセス不能になることも日常的にあります。
守秘義務があるため詳しく書くことは出来ませんが、先日もあるクライアントさんにお伝えしていたアドバイスが、無事に実行して頂いた翌日から活用不能になるという事態に遭遇しました。
一週間はおろか、行動するのが一日遅れただけでも実行不可能だったんですね。
人生がより良く展開しない人たちの特徴として、フォーカスの視点が『出来ない言い訳』を探すことに集中していて、それを無限に続けているというものがあります。
アクションは早いほうが良い。資産形成の世界も、確実にその真理に支配されています。
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太