今日のテーマは、『原理・原則から乖離する【金融市場】は、この先どこに向かうのか??』です。
昨日の公式ブログでは、
『【量的緩和】による株式市場の膨張は、今後も【長期継続】か??』と題して、
堅調に推移する、覇権国・米国市場に鳴り続ける『アラート』をご紹介しました。
実際に、クリスマス・イヴの市場も堅調でしたね。
本日(12月25日)付、日本市場は若干下落しているものの、
まだ来週にも取引を控えているので、問題なく推移しそうです。
その他、
市場にも、目立った『ネガティブ要因』は見当たらず、
2020年内はこのまま平穏に過ぎるかも知れません。
投資家としては、
『変動要因』の存在こそ、将来的な『利益』をもたらすのですが、
市場の安定は、社会の安定も表すので、ひとまず善としましょう。
昨日の記事中でも、
世界中の『経済活動』が、コロナ前水準に回復しないにも関わらず、
『投資市場』が活況呈する理由について、ご紹介させて頂きました。
一言で説明するならば、
世界各国政府が『金融緩和』を強力に推し進めている為、
継続的に、『通貨価値』が下落していることが原因です。
要は、
日本人の多くが、絶対視してしまう『数字』自体が持つ、
『実質効力』が、継続的に弱まり続けているんですよね。
実際、
米国市場・代表指数『NYダウ平均株価』は、前回の金融危機前、
2007年には、『1万3000ドル台』で推移していました。
それが、
『サブプライム債権』の顕在化により、金融メルトダウンに陥り、
翌年から翌々年には、半値の『6000ドル台』へと突入します。
その後、
『米国政府』の強力なバック・アップの甲斐あり急速に回復し、
12年経過した今年、『3万ドル』の大台突破を果たしました。
それでは、
2020年現在『米国市場』の経済規模が、純粋に、
当時の『5倍』かと言えば、決して、そうでは無い。
メディアは、
『過去最高値更新!!』というトピックスで盛り上げますが、
そもそも、評価するモノサシの『尺度』自体が変化している。
『単純には比べられない』というのが、偽らざる『真実』です。
このような状況で、
私を含めて、長期視点で市場に資金投入している『投資家』は、
ごく珍しい、一部の方々を除いて、保有資産を増やしています。
しかし、
数字上、『含み益』を抱えている保有資産も、上記の理由から、
『実質効力』は抑えられている為、喜んで良いのかは疑問です。
それでも、
『資産形成(投資)』という概念から『無縁』の人生を送り続け、
『数字上』の保有資産すら増えていない方々よりは、マシですが。
以前から、
本公式ブログにおいても、節度なく、肥大化し続けている、
『現代版:資本主義』についての問題提起をして来ました。
今年が典型的事例ですが、
私が『現代版:資本主義』と表現している、20世紀終盤からの世界は、
『金融危機』が起こる度、一辺倒の『金融緩和』で乗り切って来ました。
本当に、
『金融危機→金融緩和』『金融危機→金融緩和』の繰り返しです。
その度、
現存していた『貨幣価値』は、継続的に下落するのですが、
資産価値の『見えない目減り』に疎い方々は反応しません。
その結果、
数年前、『21世紀の資本』の世界的流行で名を博した、ピケティ氏が、
同著の中で提唱した『g<r』理論は、現実世界で正当性を示しています。
『アフター・コロナ』の時代、
覇権国『米国』が最も顕著なことは間違いありませんが、
『日本』をはじめ、その他の世界各国・地域においても、
『経済格差』は、『コロナ前』の時代よりも拡大します。
先日もご紹介しましたが、
市場参加者の『投資熱』を刺激する目的もあってか、
FRB(米連邦準備理事会)は早々に『金融緩和』維持を決定・公表しました。
その中で、
本政策継続時期については、明言することを避けましたが、
『完全雇用・物価安定に近づくまで』と表現したことから、
暗に、2023年末まで、『2年以上』の継続を示します。
具体的には、
中央銀行(*厳密には異なる、)による債権購入が主ですが、
これは、現在、日本政府が推し進める行動と、全く同じです。
しかし、
米国、日本に限らず、各国中央政府の原資は『無限』ではない為、
現在用いられている『常套手段』には、必ず『終焉』が訪れます。
これは、
一種の『時限爆弾』が仕込まれていることと全く同義なのですが、
世界は、そのことを完全に無視して、今尚、膨張し続けています。
私自身、
この『大前提』を遵守する形で、投資市場でプレーをし続けていますが、
『結末』が、果たして、どれほどインパクトを持つか理解していません。
それでも、
『私たちの世代』が一生涯をまっとうする時までには、
何かしらの『答え』が市場を通して示されるでしょう。
どこまで行っても、完全に『お金』を理解することは不可能。
私自身、『お金』という対象に関心を惹かれる理由が、そこに有ります。
井上耕太事務所
代表 井上耕太