今日のテーマは、『投資の神様ウォーレン・バフェットのCEO退任宣言、ひとつの時代が終焉する』です。
米国・現地時間5月3日に開催された投資会社バークシャー・ハサウェイの株主総会において、投資の神様ウォーレン・バフェット氏が年内にCEOを退任する意向であることが発表されました。
後任候補は現・副会長を務めるグレッグ・アベル氏で、CEO退任に伴う自動昇格という方向で取締役会に提案を進めると言われています。
1965年当時、斜陽産業だった繊維会社のバークシャー社を買収し、その後、保険事業をはじめとした多角経営に成功して、自らが率いる60年間で世界有数の投資会社へと変貌させてきたバフェット氏。
現時点、同社の時価総額は1兆1000億米ドル(約160兆円)を超えて世界第8位の規模にあり、同氏が保有する個人資産も1700億米ドル(約25兆円)に迫り世界第5位に君臨しています。
この(超)巨大帝国を、わずか一代でゼロから築いたというのですから驚愕ですね。
最も、1930年8月30日生まれ、(健康とは言われるものの)今年で95歳の高齢を迎えるという事実から、投資判断の第一線を退く意味で『Xデー』が近く訪れることは分かっていました。
しかし、それ(退任が想像されること)と実際に起こることは全くの別物であり、潜在的なもの(直後に顕在化しないもの)も含めて、今回の発表が市場に与える影響は計り知れません。
元々、冒頭に紹介したグレッグ・アベル氏(62歳)は2021年に後継者に指名されており、バフェット氏の退任(第一線からの引退)に伴い次期CEOへの昇格は既定路線としてありました。
グレッグ氏自身は、現CEO(バフェット)自らが手掛ける保険事業以外の事業を担当しており、現場とバークシャー社全体を熟知している人物ということに間違いはありません。
株主総会の席上、バフェット氏も『私よりもグレッグの方が会社は良くなる』と発言しており、自らより30歳以上若い人物の有能さと、人として全幅の信頼を寄せていることを明言しています。
もちろん、グレッグ・新CEO候補が非凡な才能の持ち主であることは疑う余地のない事実でしょうし、バフェット氏が第一線を退いたとしてもバークシャーの本質的な企業価値は損なわれません。
ただし、同社の株主とその他多くの市場参加者にとっては『バフェットか・そうでないか』が重要なのであり、このイベントは後々大きなインパクトとして市場全体に波及していくと想像します。
年内でCEOを退任しても同氏の命は続いていきますが、一つの時代が終焉しようとしている。
バークシャー・ハサウェイの株主か否かに関係なく、市場参加者(投資家)という広義において、私たちは歴史的に大きな意味を持つ節目を迎えようとしています。
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太