世界的な【金利指標】廃止に関して、【日本市場】が抱えている問題。

今日のテーマは、『世界的な金利指標廃止に関して、日本市場が抱えている問題』です。

 

 

コロナ禍、

 

 

世界的に注目を集めるニュースが多く存在することもあり、

重要なニュースが、1つマスキングされてしまっています。

 

 

それが、本日取り上げるテーマです。

 

 

『LIBOR(*ライボーと読みます。)』

 

 

皆さん、この言葉をご存知でしょうか??

 

 

金融機関関係者は、『常識』レベルの話ですね。

 

 

『ロンドン銀行間取引金利(London Interbank Offered Rate)』のことです。

 

 

言葉としては、

 

 

ロンドン市場の金融取引における銀行間取引金利のことですが、

英国内に留まらず、世界中の金融取引の基準とされて来ました。

 

 

現在、

 

 

主要5通貨(米ドル・英ポンド・スイスフラン・ユーロ・日本円)公表されており、

日本円に連動させたものは、そのまま『円LIBOR』と呼ばれて利用されています。

 

 

それが、

 

 

LIBOR運営機関『ICE Benchmark Administration』より、

2021年12月末を以て、公表を停止する旨が発表されました。

 

 

これにより、

 

 

日本の凡ゆる『金融取引』についても、代替指標が求められますが、

廃止まで9ヶ月を切った現時点、未だ、明確に定められずにいます。

 

 

LIBORは、

 

 

主に、金利スワップ等のデリバティブ契約で用いられますが、

法人向け貸出や社債の発行条件として使われるケースも多く、

事業法人や機関投資家など、その利用者は多岐にわたります。

 

 

本当に、市場の隅々まで浸透してしまっている指標なのです。

 

 

分かり易くイメージするとしたら、『水』の存在に似ています。

 

 

地球上、隅々に分散・浸透している『水:H2O』という物質を、

全て分離する困難さを想像して頂けたら、重要性が分かります。

 

 

それが、今年(2021年)末を以って公表廃止される為、

日本に限らず、世界各国対応を迫られているのが実情です。

 

 

ただし、

 

 

本国・英国には、既に、20年以上前の『1997年』から、

LIBORの『代替指標』となり得る金利が存在しています。

 

 

また、

 

 

基軸通貨『米ドル』も、代替指標の公表が3年前から始まっており、

こちらについても、公表停止から、問題なく移行できる状況にある。

 

 

その中で、

 

 

未だ、『代替指標』を明確に決定・公表できないのが日本市場で、

世界的『懸念スポット』として、密かに注目を集めているのです。

 

 

格付け大手:フィッチ・レーティングスは、

 

 

日本に現存する『約3000兆円』のLIBOR参照・金融派生商品のうち、

少なくとも『16兆円超』は、来年まで代替指標切替ができないと予想。

 

 

何故なら、

 

 

LIBOR廃止まで、新指標に切替不能な『タフレガシー契約』があり、

来年以降に満期を迎える債権等は、身動き取れない状態にあるから。

 

 

希望的観測では、

 

 

年越しタイミングで、済し崩し的に移行する可能性もありますが、

『少しでも間違いを犯せば、危うい』との見方も広がっています。

 

 

その点、日本の金融庁も、警戒感を強めています。

 

 

日銀との共同声明によると、

 

 

企業は『円LIBOR』基準のローンや、債券発行を6月末に停止し、

証券保有割合も、9月末目処に大きく減らすように求められています。

 

 

しかし、肝心の『代替指標』については、未だ、沈黙を保ち続けます。

 

 

また、

 

 

米英と異なるのは、日本の金融当局は『LIBOR』代替金利について、

現時点、『単一指標』で採用することを市場参加者に求めていないこと。

 

 

更に、

 

 

日本版LIBORであるTIBOR(東京銀行間取引金利)を、

存続させるという決定が、新指標移行を、一層複雑化させます。

 

 

もしも、

 

 

このまま、日本市場が抱える『課題』が解決しないまま進めば、

国内デリバティブ市場は、相当不安定な時期を迎える事になる。

 

 

世界からは、金利切替時の『実験場』として見られています。

 

 

『コロナ禍』がそうだったように、1つの『潮流変化』が起こる際、

新たな市場創出や、流動性移行には少なからず『痛み』が伴います。

 

 

海外諸国の方々からすれば、『高みの見物』かも知れませんが、

私たち当事者・日本人は、関心もって注視する必要があります。

 

 

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井上耕太事務所

代表 井上耕太

ABOUTこの記事をかいた人

井上 耕太

・独立系FP事務所【井上耕太事務所】代表。
・1984年4月21日生まれ。岡山県津山市出身。
・2008年 国立大学法人【神戸大学】卒業。

【保有資格】
・CFP®(国際ライセンス:認可番号 J-90244311)
・1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格:認可番号 第F11421005598号)

【活動実績】
・個人面談【人生を変えるお金のセッション】受講者は400組を超えており(*2022年4月時点)、活動拠点・大阪のみならず、全国から面談依頼が舞い込む。

【クライアント】
・経営者、医療従事者(医師、看護師、薬剤師 etc.)、会社員(上場企業勤務、若しくは、年収500万円以上)

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