今日のテーマは、『想定を上回るペースで上昇する株式市場に、私がポジティブになれない理由』です。
日本では多くの方々がお盆休みに突入していた8月第3週、奇しくも、株式市場が活況を呈し始めました。
元々、米国市場は先月(7月)から株高水準にありましたが、関税、ロシアーウクライナ、イスラエルーハマス、そして米国内の政策金利と、何一つ問題は解決されないままその位置をキープしています。
経済状況として、ポジティブ要素に比してネガティブ要素が優勢にも関わらず、全体として堅調すぎることに不気味さを感じてしまいますね。
また、米国市場に牽引される形もあってか、前述の通り先週からは日本市場も大きく上昇。
今月(8月)初め、ジャスト4万円付近を推移していた日経平均株価は、8月13日に終値ベースで初めて4万3千円の大台を突破し、約1年1ヶ月ぶりに過去最高値を更新してみせています。
必然、それ(日経平均株価)の構成銘柄にも広く投資マネーは流入しており、為替相場もほとんど変動していないことから、新NISAの主役・オルカン関連ファンドの評価額も順調に上昇している。
恐らく、コロナ・ショックが和らぎ始めた2022年以降に投資をスタートした『初心者』の方々も、大半が少なくない含み益を抱えており、ウハウハという状態なのではないでしょうか。
しかし、私自身はこの状況をあまり歓迎しておらず、どちらかと言えばナーバスに感じています。
と言っても、波(上昇相場)に乗り遅れて恩恵を受けていないという訳では決してなく、むしろ、保有資産の評価額は順当に上昇して過去最高値を更新しています。
ただ、想定を超えるペースで上昇している、その順調さゆえ頭を抱えているのです。
古くから、投資(特に、株式マーケット)は『パーティー』に例えられてきました。
そこで恩恵を受けられるのは、少し先の未来を見通して行動できる少数派であり、今のような上昇相場が形成されていない、いわば『凪』の状態からどれだけ粛々と仕込めるかが鍵になります。
当然ながら、その『仕込み』の時間が長くなればなるほど、宴がスタートしてから受け取ることのできる恩恵(利益)は大きくなるという相関関係が成立している。
そして、上昇相場に熱狂して世間一般の人たちがパーティー(株式市場)に流れ込んできたら、それは『終わりの始まり』を意味しており、私たちは気付かれないようにスッと会場を後にするのです。
後は、踊り狂う人たちが(実は)音楽が流れていないことに気付いた時、一斉に慌てて退場しようとすることで『暴落』がスタートするのを静観しながら待つだけ。
この時、次なるパーティーに向けた『仕込み』が始まることになり、経済循環を意識して一連の『基本動作』を繰り返していくことで、再現性を高めた資産形成が可能になります。
はっきり言って、今回の立ち上がり(株式市場の上昇)は早すぎると感じています。
仕込み期間がそれほど長くない分、必然、受け取るリターンは想定より小さくなる。
市場全体を浮かれた雰囲気が支配していますが、その熱狂に反比例して、私自身の『酔い』はどんどん醒めてしまっているというのが実際です。
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太