今日のテーマは、『日経平均株価10万円時代の到来は、日本市場にとって夢物語なのか』です。
先週末の公式ブログでは『通貨発行権を持つ国家は、どれだけ借金をしてもデフォルトしないは真実か』と題して、近年流行の兆しを見せるMMT(現代貨幣理論)に対する個人的見解を示しました。
改めてお伝えすると、仮に自国通貨の発行権を保有している国家であったとしても、無限に債務(借金)を積み上げることが出来るという考え方は馬鹿げています。
もちろん、個人・法人よりも寿命が長いためより長期的視点でファイナンスが出来ることは事実ですが、それは『理性的なコントロール能力が働いていれば』という前提条件が成立してこそ。
国家と言えど債務(借金)はいつか返済しなければならないのが大原則であり、現在のようにコントロール能力を失った状態では、将来的に『痛み』を伴うかたちでツケを支払わされる時はきっと来る。
現代の日本が、国家財政として危機にある(少なくともそれに向かっている)ことは事実であり、私たち日本国民が有事を経験することなく人生を終えることは不可能だと感じています。
それでは、私が日本の株式市場に対しても完全に否定的に考えているかと言えば、決してそうではありません。
実際、国内資産については実質ゼロ金利の銀行預金に見切りをつけて、新NISA制度がスタートして以来、約20年ぶりに個別銘柄を選択して配当収入を得る生活に突入しています。
また、神様・バフェット氏が2020年に公表したように、海外投資家からみた掘り出し銘柄・業界は日本国内にまだ残されていて、今後も大きく資金流入する可能性も十分にある。
もちろん、中長期の視点で人口の大幅減少が既定路線にある日本において、純粋な国内の市場規模自体は縮小することが確定しています。
しかし、国内だけでなく、海外市場も視野に入れて魅力的な製品・サービスを提供する企業が複数存在すれば、国家としての経済規模・財政を切り離して資金を集めることも可能になるのです。
例えば、現在は4万円前後で推移する日経平均株価が『10万円』の大台を突破する時代が来るなどと言えば、現実味を持ってくれる人もまだまだ少数派ですよね。
ただ、私たちが平成以降に経験した『失われた30年間』こそ資本主義経済下では異常事態であり、事実、米国市場の代表指数・NYダウ平均株価は同時期に約17倍にも大きく成長しています。
それと比較すれば(異なる指数なので単純に同一視することは出来ませんが)10年の時を経て、日経平均株価が2.5倍になったとしても少しも不思議ではありません。
日銀・植田政権下で市場のマスキング機能が少しずつ外されさえすれば、私自身、株式市場がそれに近い数字を達成することは十分にあり得ると見ています。
経済成長率(リターン)の観点から見て、投資家にとって優先順位の高い行動かは分かりませんが。
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太