今日のテーマは、『なぜ、多くの人たちは未来が予測できるという虚言に騙されるのか』です。
2024年、
従来モデルを刷新した新型NISAが始動したことも手伝い、
資産運用に対して、国民の興味・関心も高まっています。
と言っても、
全体に占める投資人口の割合はまだ欧米に及びませんが、
公的年金制度が高い確率で機能不全に陥る時代において、
資産運用・投資に目が向くことは、シンプルに良いこと。
しかし、
メリットがあるなら、デメリットも確実に存在していて、
投資初心者を狙った詐欺案件も巷には溢れ返っています。
ここでは、
あえて『詐欺』という物騒な言葉を使っているのですが、
現実社会で『合法』と扱われているから尚更タチが悪い。
私たちは、
そういう情報に騙されず、真偽を見抜けるようになる為、
日々、金融リテラシーを高める努力が求められています。
私自身、
職業柄、玉石混交の金融業界で幅広く情報を集めており、
初心者を惑わす合法的詐欺の手口もリサーチしています。
プロの視点から見て、
騙される人がいることに驚愕する勧誘文も散見しますが、
恐らく、こういう類のものは将来的にもなくなりません。
例えば、
株式投資でも、為替取引でも対象は何でも構いませんが、
独自に編み出されたチャート分析の手法を用いることで、
『未来を予測できる』と言われたらどう感じるでしょう。
仕掛けるサイドは、
実際、この手法を活用して、新型コロナショックを始め、
日本の株式市場で日経平均株価が最高値更新したことや、
米国市場におけるNYダウ上昇が的中したと豪語します。
直近の予言(?)では、
2022年に投資をスタートすることで、翌2023年、
高確率で上昇が見込めることも見事に言い当てた、、、、
種明かしをすると、
これは占いや宗教勧誘等、洗脳の場で常套手段とされる、
『コールド・リーディング』と言われる初歩的手法です。
分かり易く言うと、
明確な数字・情報を示さず、曖昧に予言しておくことで、
受け手サイドが、勝手に正解と結び付けて考えてくれる。
ある人が、
『将来、南海トラフ地震が発生する』と予言したとして、
それが的中する確率は限りなく100%に近いですよね。
何故なら、
時期が『将来』という曖昧な言葉で濁されているし(*)、
南海トラフ地震の発生まで予言は繰り返され続けるから。
*『今後30年以内に』という表現になっても同じこと。
ストレートに言うと、
コールド・リーディングなる手法は、リテラシーが低く、
メンタル的に依存癖がある人たちほど嵌まりやすいもの。
先にも触れましたが、占いや宗教等、非科学的なものを、
盲信してしまう原理と基本的には同じことだと言えます。
ここで、念のため断っておくと、私も経済予測はします。
例えば、
欧米市場が『利上げ』に転換した後、株式市場は上昇し、
2030年までにNYダウ平均株価は5万ドルに肉薄する。
恐らく、
この予測(予言?)は相当高い確率で的中するのですが、
それを以って私は『未来が予測できる』とは言いません。
何故なら、
その程度は、金融・経済・歴史を学んできた者であれば、
大まかなシナリオとして予見する事が出来てしまうから。
しかし、
どれだけ情報を得ても、過去の歴史を熟知したとしても、
未来を完璧に予測できる人間は、この世に存在しません。
日常的にリテラシー(知性)を高める努力をしていこう。
それだけが、魑魅魍魎の現代を生き抜く唯一の方法です。
——————————————————————–
昨年(2023年)よりセミリタイア生活に入っており、
今後の主催セミナー(オープン形式)の開催は未定です。
*ビジネスに関するお問い合せは、直接ご連絡ください。
*井上耕太事務所(代表)michiamokota0421@gmail.com
——————————————————————–
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太