今日のテーマは、『国家も個人も、一旦染み付いた負け癖を克服することは容易ではない』です。
年の瀬もいよいよ迫りつつありますが、2026年度の一般会計予算案の概要が速報されました。
来年度のそれは、今年度(2025年度)の115.1兆円を大きく上回る総額122兆円規模で調整されており、2年連続で過去最大を更新することは必至です。
少し気が早いですが、年度半ばで補填される補正予算が今年度と同水準(約18兆円)で入るとすると、日本国の運営コストはいよいよ年間140兆円を突破することになります。
マスメディアの中には税収が過去最大となることを好意的に伝えているところもありますが、それでも90兆円には大きく未達であり年間80兆円台半ばでの着地が現実的なところ。
必然、実際の運営コスト(140兆円超)とは大きな乖離が存在しており、予算案の時点で少なくとも30兆円規模の国債発行が見込まれて(決定して?)います。
日本政府は壊れたおもちゃのように『財政健全化』を唱えていますが、現実的には夢のまた夢ですね。
予算案については、スムーズに進めば近日中に詳細まで含めて正式決定される予定なので、その際に改めて情報配信できればと考えています。
私が関心を引かれたのは、奇しくも(?)同時期に公表されることとなった、赤字国債の発行に必要な特例法について、日本政府が来年度から5年間延長する方針を決定したという報道です。
この辺り、一般の方々は理解されていないかも知れませんが、そもそも論として、財政法では政府・与党が日常的に乱発している赤字国債の発行が認められていません。
百歩譲って、完結までに数年を要する公共事業等の建設国債の発行は可能ですが、単年度で解決する予算について『足りないから、赤字国債を発行する』という考え方はリスクが大き過ぎるからです。
個人で考えれば分かり易いですが、日常生活費がショートしそうになっている人間が借金したところで、その『お金』はほぼ100%返済されることはないですよね。
それ故、例外的に赤字(借金)を認める特例法が整備されることとなり、暫定的に(?)これまで延長されてきたという流れがあります。
この特例法は、東日本大震災が起きた2011年度までは毎年議論されていましたが、政治・政策の安定化を表向きの理由として、それ以降は複数年更新制の制度へと変貌しています。
これにより、実質的に日本では赤字国債の発行が常態化されることとなり、新たな借金を積み上げながら国家運営をしていくことが『当たり前』になってしまいました。
正直な話、勝負はすでに決してしまっていると感じています。
本来、(私も含めて)人間とはとても弱い生き物なので、気を緩めてしまうと簡単に易きに流れてしまいます。
いかに『国家』と言えど、突き詰めていけば運営しているのは『人間』なので同じことですね。
自然界のすべてに共通して、可能性がゼロ若しくは100%の事象は存在していませんが、日本が財政健全化を実現する可能性については限りなくゼロに近いのかも知れません。
一旦染み付いた『負け癖』を克服することは容易ではない。それは、国家であれ個人であれまったく同じことだと感じています。
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太





