今日のテーマは、『危機の最中、なぜ人は冷静沈着に行動することが出来なくなるのか』です。
今週も後半に入りますが、不安定な相場が続いています。
日経平均株価は、
少しずつ持ち直すものの3万5000円台前半で推移し、
ちょうど1ヶ月程前のピークから2割ほど下落した水準。
未だ、
今後の動向について先行きの見えない状況が続いており、
市場参加者は、各国の金融政策の公表を注視しています。
直近の状況について、
資産形成(投資)には明るくない親族に共有したところ、
『でも、待っていれば回復するんじゃないの?』という、
意外にも真芯をくったレスポンスがあり驚かされました。
結論からお伝えすると、この回答は唯一無二の真理です。
しかし、
それを理屈で理解している人たちは多いと想像しますが、
実際にその真理の通りに行動できる人は多くありません。
なぜ、そのような不都合な真実が存在するのでしょうか。
これには、行動心理学(行動経済学)が関係しています。
原則として、
ヒトの行動の動機は2つしか存在せず、快楽を求めるか、
痛みから逃れるべく、回避方向に動くかのいずれかです。
そして、
それらが同程度の場合、後者(痛みを回避する)の方が、
動機付けとして、より強く働くことも証明されています。
経済的観点では、
快楽を得ることは、得をする(利益を得る)ことであり、
痛みを避けることは損失を回避することと説明できます。
例えば、
株式投資を実行する場合、恐らくほぼ100%の方々が、
『利益を得たい』と考えたからこそ行動を起こしたはず。
もしも、
最初から『損をしたい!』と考える人間がいるとすれば、
経済的自傷行為を繰り返すマゾヒストとしか思えません。
しかし、
投資に臨む際、利益を得る可能性の対価として負うのは、
損失を被るかも知れないというリスク(不確実性)です。
そして、
実際に、含み損が発生し始める(痛みを感じ始める)と、
一気にパニックに陥り損失回避の衝動に駆られるのです。
さらに、
短期的な市場変動は予測不能なため、下落方向に動けば、
より強力な『痛み』を感じなければならない恐怖が襲う。
この時点で、既に『冷静な判断』などできる状態になく、
今ある痛みを取り除こうと、判断ミスを連発するのです。
経験者なら分かると思いますが、抗うことは出来ません。
これについて、
1つの解決方法は『変動する市場を見ないこと』ですが、
そもそも、投資戦略そのものが間違っているケースでは、
現実逃避した、ネバーランドの住人になってしまいます。
やはり、
ここでも最初に決定した投資戦略がキーポイントになり、
一発逆転思考を捨てた、リスク分散が鍵を握っています。
長期戦で資産形成に臨めば、危機には何度か遭遇します。
その際、
その場で『冷静な判断』が出来なくなることを想定して、
出口戦略と行動指針を明確化して臨むようにしましょう。
——————————————————————–
昨年(2023年)よりセミリタイア生活に入っており、
今後の主催セミナー(オープン形式)の開催は未定です。
*ビジネスに関するお問い合せは、直接ご連絡ください。
*井上耕太事務所(代表)michiamokota0421@gmail.com
——————————————————————–
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太