今日のテーマは、『金融のプロ(銀行・保険・証券)の助言を聞くほどお金を失う金融界のジレンマ』です。
先週末の公式ブログでは『資産形成の第一原則を遵守するには、金融業界の常識を知る必要がある』と題して、FPパートナーズとネクステージが金融庁から業務改善命令を受けたということを紹介しました。
少しだけ振り返ると、両社とも顧客に最適な保険商品を提案するかのように装い、便宜供与(金銭提供)を多く受けた保険会社の商品を優先的に顧客に紹介・契約締結していたというもの。
必然、契約により保険会社は多額の手数料収入を得ることになり、顧客サイドからは分からぬよう(?)テーブルの下で保険会社と乗合代理店が握手をして、Win-Winの関係を築いていたということです。
冷静に考えてみると、金融という世界ほど摩訶不思議な世界は他にありません。
例えば、身体的な不調があるときは医療機関を受診して、プロフェッショナルである医師の診察を通して適切な処置・治療を受けることで、健康体に戻れる確率は格段に高くなりますよね。
*正診率の限界や、完全に排除(ゼロ)できない医療過誤・医療事故等の問題はありますが。
しかし、世間一般では『金融のプロ』と目されている銀行・保険・証券マンに助言を求めてそのままに行動すれば(先ほどの医療分野と真逆で)ほぼ100%の確率で『お金』を失うことが出来てしまいます。
先週末の記事中では、保険業界を例にそのことを紹介し、彼ら・彼女ら(営業マン)が常に手数料収入を得ることを念頭においた営業活動しかしていない事実について述べました。
実は、銀行や証券会社も基本構造はまったく同じで、結局は会社員に過ぎない窓口担当者・営業マンは自らの評価が最も上がるもの、つまり会社(銀行・証券)の利益が最大化される商品ばかり勧めてくるのです。
2025年現在、銀行員であればその筆頭は米ドル・豪ドル等に代表される『外貨建保険』ですね。
もちろん、他の選択肢(投信販売・外貨預金等)でも手数料収入は発生しますが、一括でまとまった資金を預かることができ、分かり易く2桁(10%)超の手数料が得られるそれは最も評価される手段です。
確かに、世界マーケット全体の運用環境が良かったり、為替の変動によりメリットを享受することが出来れば、それ(外貨建保険)は顧客サイドにとって絶対に儲かることのない商品とは言い切れません。
しかし、一括で2桁(10%)超の手数料を徴収されていることには変わりなく、運用開始時点の大きなディスアドバンテージにより、顧客サイドが恐ろしく利益を上げ難い構造になっていることも事実です。
そして、銀行サイドはそんなこと(顧客サイドが不利益を被ること)など更々気にしてなく、相手に分かり難い形で商品に内包された(多額の)手数料を獲得できれば何でも良いというスタンスで営業しています。
私たちからすれば『常識レベル』の話ですが、果たして、一般の方々はどこまで認識されているでしょうか。
仮に、あなたが自らの保有資産を増やしたいと考えるならば、皮肉な話ですが、先ずは金融のプロ(銀行・保険・証券等)たちの助言を聞かないことからスタートすることをお勧めします。
それが、40歳目前でセミリタイアを実現した私が、自らの投資経験から得た最大の教訓だと言えます。
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太