今日のテーマは、『富裕層に対する課税強化は、世界経済のトレンドとなり得るか??』です。
人物が交代してからは、メディアでの取り上げられ方も様変わりしました。
確かに、『新型ウイルス』報道の方が、優先順位が高いのかも知れません。
或いは、単純に、私がテレビを視聴してないので、そう感じるだけなのか。
世界の覇権国・米国の『大統領』についての話です。
日本でも昔から、『便りがないのが、良い便り』という言葉があります。
米国大統領についても、それがそのまま当てはまるのかも知れません。
本日、
『新型ウイルス問題』を巡る、日本政府の対応について、
『評価しない』が国民の65%を占める報道も出ました。
私も含めて、
彼ら・彼女らが展開する劇場型パフォーマンスにはうんざりしますが、
メディア的には地味なほど、実際の仕事は進んでいるかも知れません。
しかし、ここに来て、1つ『話題』になりそうな動きが出て来ています。
元々、
民主党・バイデン候補が、大統領選を戦う『公約』スタンスは、
富裕層や、大きな利益を上げる法人への課税強化が主軸でした。
第一弾として、
連邦法人税率を現行の『21%』から、新案では『28%』まで、
一気に『7%』も増税することを打ち出したのは、記憶に新しい。
そして、
今回の『第二弾』は、もう一方の『富裕層』がターゲットとなり、
株式等の売却・譲渡益について、大幅な増税が検討されています。
所謂、『キャピタル・ゲイン』というものですね。
現在、
米国では、個人所得に対する最高税率は『37%』ですが、
先ずは、これを、40%目前の『39.6%』まで引き上げ。
更に、
年収100万米ドル(約1億円)を超える『富裕層』については、
株式等の譲渡益についても、この最高税率を適用すると言います。
因みに、
現行制度では、この譲渡益は『20%』で設定されている為、
草案がそのまま可決されれば、一気に税率は『倍増』します。
もしも、
これが実現することになれば、米国籍の『富裕層』を財源として、
10年以内の『1兆ドル:約110兆円』財源確保に成功します。
バイデン・民主党は、
この財源を基に、『米国家族計画』なるものを画策しており、
子育て支援・教育拡充・格差是正を掲げてプラン展開します。
仮に、これがそのまま成立すれば、実現可能性は高まりますね。
記憶が確かならば、『日本国』も同じ課題があったと思うので、
本気で解決を望むなら、これくらいの『実行力』が欲しいです。
余談ですが、
米国の税制上、一定以上の所得者には、投資利益に対しては、
前述とは別途『3.8%』もの積み増し課税が存在しています。
更に、
州・市が独自に行う『キャピタルゲイン課税』も存在しており、
草案が実現すると、トータルの税率は『60%』にも迫ります。
ここまで『富裕層』が敵視されると、逆に清々しいですね(笑)
トランプ・共和党政権下では、絶対に有り得ない政策展開です。
しかし、
流石に、ここまで『大胆』な増税案は、民主党内でも物議を醸し、
この数字(約40%)が、そのまま成立する可能性は、高くない。
もちろん、
バイデン大統領も、そんなことは『百も承知』というところで、
現実的な着地点を『29%前後』に設置していると見られます。
それでも、
現行制度と比較した時、『10%』近くの増税に成功するので、
新たな『財源確保』という観点では、そう悪くはないですよね。
2021年、
『経済格差』のトップ・ランナーをひた走る覇権国・米国ですが、
上位1%を占める富裕層の保有資産は『40兆ドル』に迫ります。
これは、
下位50%を占める『一般国民』の保有資産総額に対して、
実に、『15倍』にも相当すると推定されているんですね。
なかなか、『えげつない』と表現できる格差です。
数年前、
世界的富裕層トップ『9人』と、下位50%『約36億人』の、
保有資産総額が釣り合うという、衝撃的なニュースが出ました。
それは、世界トップの先進国でも、相違ない『事実』のようです。
『格差是正』の観点でも、バイデン政権の『公約通り』に進みます。
そして、
今回、米国で展開されている『増税案』の動向如何によっては、
その『増税トレンド』が、世界的に拡大する可能性を秘めます。
1つの『判例』のようなものですね。
私たち『日本人』にも、(富裕層を中心に)大いに関係あります。
当然、成立直後の『ドタバタ局面』においては、
株式市場のボラティリティも高まるでしょうが。
覇権国・米国で展開されている、富裕層標的の『増税案』、
私たちも、きちんと注目しておいた方が良いと考えます。
井上耕太事務所
代表 井上耕太