今日のテーマは、『堅調すぎる米・不動産市場は、新たな金融危機を生み出してしまうのか』です。
日本の例外を除き、
海外諸国では、金利が歴史的高水準にあるにも関わらず、
北米の不動産市場は活況で住宅価格も堅調に推移します。
先月2月27日、
S&Pダウジョーンズ・インディシーズ公表の住宅指数は、
前年同月比5.5%上昇し、6ヶ月連続で過去最高を更新。
都市別では、
サンディエゴ+8.8%や、デトロイト+8.3%を筆頭に、
全米の全20主要都市で前年同月比プラスを記録します。
仮に、
今世紀がスタートした2000年を基準点に考えたとき、
前述した主要都市の住宅取引価格は3倍で推移している。
この事実だけでも、過熱感を想像するには十分ですよね。
また、
FHFA(米・連邦住宅金融庁)から公表された住宅指数も、
前年同月比6.6%と、同等水準の底堅さを示しています。
どうやら、不動産市場の熱狂ぶりは間違いなさそうです。
今回、
米国の不動産市場、特に住宅市場が高騰するロジックは、
サブプライムの時とは異なり、想像以上にシンプルです。
原則、
住宅の取引価格は、需給バランスにより決定されますが、
現状、低金利ローンの保有者は買い替えに踏み切り難い。
これが、
中古住宅の供給が不足する要因に直接繋がっている一方、
新規取得者の購入意欲は、依然高い水準をキープします。
それ故、
市場に流通する数少ない物件に購入希望者が群がる結果、
取引価格を継続的に押し上げている要因になっています。
ご存知の通り、
前回は信用のない人間にほぼ無審査で融資し続けたため、
需給バランスが大きく崩れて、バブルを生み出しました。
加えて、
その債権を対象としたジャンク債にも高い格付が付され、
金融機関を通して市場全体にばら撒かれてしまっていた。
例えるなら、
身体中に爆弾を巻かれた状態でそれが弾けてしまった為、
文字通り一夜にして金融市場がメルトダウンしたのです。
繰り返しますが、現時点では、今回はそれとは違います。
それでも、熱狂がそのまま続いて閾値を超えてしまうと、
新たなバブルを生み出す火種になり兼ねないことも事実。
今は未だ、適切な水準に留まっているように見えますが、
新たなトリガーにならないか、注視する必要はあります。
私はいつも『人間万事塞翁が馬』の言葉を心に留めます。
調子が良いと思う時ほど、次なるリスクに備えましょう。
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2023年1月より【セミリタイア生活】に入っており、
オープン形式の【資産形成セミナー】の開催は未定です。
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代表 井上耕太