今日のテーマは、『アフター・コロナ、世界経済の二極化はさらに進展する』です。
数年前、某公共放送局の番組で、素晴らしいものがありました。
『欲望の経済史』
常日頃から問題提起する、『現代版:資本主義経済』の膨張を、
世界各国で顕在化した、凡ゆる事例を用いて紹介する番組です。
私自身、
『個人投資家』という立場で、その利益を享受していますが、
それ(現代版:資本主義)を、全肯定する訳ではありません。
正直、よく分からなくなる時も有りますね。
例えば、
『歪を出し抜く』という投機的手法(ギャンブル)をしなくても、
時間をかけて、堅実な資産形成に取り組めば『元手』は増えます。
そして、
『元手』が大きくなるほど、雪玉が転がる速度も増しますから、
それにより生み出される『利益』も、必然、大きくなっていく。
ビッグ・ビジネス・オーナーという立場の方々は別として、
現代日本でも、月収数百万円稼げる人間は、1%未満です。
中には、
その分野では、卓越した『達人レベル』の技能を持ちながら、
常識的な収入レベル(月収数十万円)の方々も多いですよね。
しかし、
前述の通り、時間をかけて、真っ当な資産形成に取り組めば、
上記水準以上の収入が、極論、寝ていても流れ込む事になる。
この不思議な感覚が、実体験として分かるでしょうか??
話を戻すと、
某公共放送局が『欲望の経済史』の番組を通して伝えたのは、
一度有利な立場に立った者は、その後も優位性を保ち続ける。
ここで言う『有利な立場』とは、単純に『資本家』です。
つまり、
言葉を変えるなら、完全に、元も子もない話なのですが、
『お金』を持っている者が、今後も経済的に勝ち続ける。
この辺り、
信用創造における『ネットワーク経済学』にも通じますが、
一旦構築された優位性は、相当な衝撃なくして覆りません。
巷では、
それは、『格差』という言葉で表現されることもあり、
現代版:資本主義経済では、常に拡大し続けています。
兎に角、
『善・悪』の話は抜きにして、一度優劣がついてしまえば、
その後の『挽回』が厳しいことをご理解頂けたら幸いです。
そのような事例は、経済的観点以外も世の中に溢れています。
2020年、
突如、出現したように感じた『新型コロナ・ウイルス』ですが、
身体に対する影響力以上に、世界経済にダメージを与えました。
しかし、
製薬各社が凌ぎを削ってワクチン開発に尽力した為か(?)、
ここに来て、身体的にも、経済的にも回復の兆しを見せます。
事実、
本日(5月31日)付、OECD(経済協力開発機構)公表によると、
2021年の世界経済成長見通しは『年率プラス5.8%』に引上げ。
昨年(2020年)、
世界全体としても、前年比『▲3.5%』だったことを考えると、
その減少分を、カバーしても余りあるほどの上昇を見込みます。
更に、
来年(2022年)も前年比『プラス4.4%』を予測しており、
順当に行けば、世界経済は、もう一段階の上昇が期待できます。
先日、
公式ブログで『年率10%運用』は可能とご紹介しましたが、
直近数年間、本当に、投資家には『追い風』が吹き続けます。
しかし、
この『楽観的観測』には、残念な予測ポイントは含まれており、
前述した世界経済成長(回復)見通しは、一様ではありません。
端的に言えば、国別に大きな『経済格差』が生まれます。
例えば、
アルゼンチンやスペイン等、元々、経済基盤の脆弱な国は、
『コロナ前』の水準を取り戻すのに『3年以上』がかかる。
反対に、
震源地であるはずの中国や、一時期、感染大国となった米国は、
それを取り戻すまでには、『1年ほど』の時間しか要しません。
事実、
中国などは、『パンデミック元年』となった2020年すら、
国家全体として、年間プラス2.3%の経済成長を記録します。
更に、
今年(2021年)については、前年比『プラス8.5%』で、
来年(2022年)も、前年比として『プラス5.8%』予測。
一時期、
『目覚めた獅子』の経済成長減速が、囁かれていましたが、
一瞬の準備期間を経て、完全に、力強さを取り戻しました。
そうなると、
覇権国・米国も、ただ黙って傍観しているはずなどなく、
自国の優位性を顕示するため、猛烈に中国を追随します。
OECD予測では、
今年(2021年)の経済成長は『プラス6.9%』を記録し、
来年(2022年)についても『プラス3.6%』の続伸予想。
更に、
欧州圏全体のそれは『プラス4.3%』『プラス4.4%』を予測し、
英国に至っては『プラス7.2%』『プラス5.5%』と盤石な推移。
こうなると、我らが『日本国』の数字が気になりますよね(笑)
早速、見ていきましょう。
先ず、昨年(2020年)ですが、日本の経済成長率は、
『年率▲4.7%』のマイナスと、世界の経済減速を牽引。
記憶では、
欧米諸国の方が『ロックダウン』で厳戒態勢だったはずですが、
経済活動の落ち込みは、日本も、相当だったことが分かります。
更に、
今年(2021年)の成長率は『プラス2.6%』に限定されて、
来年(2022年)に至っても『プラス2.0%』と微妙な上昇。
仮に、
『東京五輪』が開催中止されれば、更なる落ち込みを見せるので、
前述したスペイン・アルゼンチン・コースも、十分に有り得ます。
最近では、
ようやく、東京・大阪の大規模接種会場が稼働し始めましたが、
世界を相手にした『ワクチン戦争』の敗北も、記憶には新しい。
当然、
『経済回復』も、海外の先進諸国と比べて、取り残されつつあり、
ここで付く『経済格差』は、挽回不可能なものになる恐れもある。
アフター・コロナ、世界経済の【二極化】はさらに進展する。
果たして、『日本国』はどちらのサイドに付けるのか??
私たちにとっての正念場は、暫くの間、続くことになります。
井上耕太事務所
代表 井上耕太