今日のテーマは、『既存の公的年金制度は、果たして、永続可能なシステムか??』です。
久しぶりに『年金』をテーマとして書こうと思います。
一般的に、日本人の多くは『年金制度』を知りません。
事実、
『定年退職』を射程圏に捉えた50代後半の方々すら、
3分の2以上が、自らの『年金受給額』を知りません。
そもそも、
自らの『年金受給額』を知らない程のレベルですから、
『制度』としての理解などしているはずがありません。
しかし、それも、一概に責められないと考えています。
何故なら、
公的年金は、『ツギハギ』だらけの制度となっており、
誰一人、正しく理解できる人間など、居ないからです。
私自身、
FP資格試験の勉強をしたのは、10年ほど前ですが、
当時から『年金制度』の理解は難解を極めていました。
勿論、
当時のルールに該当する公式から、数字を嵌め込めば、
求めたい人物の『受給額』は、算出すること可能です。
しかし、
定期的な『年金改正』により数式は変わり果てており、
その算出方法は、年々迷宮化していく印象があります。
イメージ的には、『ハウルの動く城』くらいツギハギ。
そこまで来れば、『カオス』として美学が生まれます。
ご存知の通り、
現行『年金制度』は、大戦後に再整備した制度ですが、
半世紀を超えて維持できたことすら奇跡かも知れない。
何故か、
日本人は『国家』という組織へ信仰の強い国民ですが、
国家が運営することは、未来永劫を意味していません。
自然の摂理として、
『民間企業』が、社会の中で、適宜淘汰されるように、
『年金制度』も、衰退する可能性は十分にあり得ます。
実際、
現存する『公的年金制度』の中には、2021年時点、
既に、全く時代にそぐわなくなったものもありますね。
例えば、
元々、共働きの2倍存在していた『専業主婦世帯』は、
今の時代、絶滅危惧種に指定される勢いで減少します。
1980年代、
世界を牽引する経済大国として闊歩する時代と比較し、
現在は、共働き世帯が専業世帯の2倍を超える水準に。
こうなると、『前提条件』が大きく揺らぐことになり、
当然、『年金制度』にも多大なる影響が出て来ますね。
一例を示せば、
『加給年金』という制度は、世帯主が年金受給した際、
配偶者(妻)が、65歳未満であれば貰えるものです。
*そもそも、世帯主(夫)の年齢より妻が歳下という、
基礎部分の『前提条件』すら、時代に合致しません。
が、
この制度のサブ・ルールとして、夫婦2人が共通して、
厚生年金に20年以上加入すると受給資格が無くなる。
果たして、何を目的にしたセーフティ・ネットなのか、
それとも、インセンティブ的な位置付けなのか謎です。
また、
遺族年金には『性差』が残る、由々しき自体も存在し、
配偶者が死亡した際、受給開始年齢が異なっています。
*妻の場合、夫死亡で30歳以上なら即受給開始ですが、
夫の場合、綱が死亡しても55歳まで受給できません。
令和の時代突入にも関わらず、目を疑うような光景です。
ここに来て、
メディアで『年金制度』について語られる際、積極的に、
『繰下げ(繰延べ)受給』を斡旋する報道を目にします。
確かに、
受給開始年齢を繰り下げる(繰延べ)ことで、受給額は、
65歳から受給開始する場合と比較して、順次増えます。
しかし、
単純な『数字』としての損益分岐点も遠退くことになり、
必ずしも『繰り延べ=お得』という結論には至りません。
恐らく、
日本政府としては、そちらを主導したいのでしょうから、
メディアを使い、民意コントロールしていると考えます。
一見、
『厚生年金制度』の対象が拡大しつづけていることは、
上記の議題とは、まったく『別件』のように映ります。
しかし、
私の目から見れば、両者は『同じ方向』を向いており、
要は、『入り』を多くして『出』を控えたいのだなと。
つまり、
前述した『前提条件』や、『人口構成』の変化により、
年金原資は、将来的には枯渇するリスクを孕んでいる。
そして、
その『将来』は、私たちが想像する以上に近い未来で、
既に、対症療法の『緩和ケア』にあるかも知れません。
勿論、
今後も『延命措置』は続いていきますが、何れにせよ、
将来的に『公的年金制度』は破綻へと追いやられます。
栄枯盛衰、時代の必然、決して避けられないものです。
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