今日のテーマは、『スルガの暴走の事例から、私たちが学ぶべき事』です。
昨日は、地元民から絶大なる信頼を寄せる地銀2社から、
8月明るみに出る事となった『不祥事』の2事例をご紹介しました。
その中でも名前が挙がりましたが、
『スルガ銀行』は、もっと世間を賑わすニュースを連発していますよね。
世間的には、お盆の長期休暇が終わって一週間ほどですが、
『スルガ銀行』の名前を見ない日は、かなり遡らないと無いのではないでしょうか。
静岡の第二地銀でありながら、何故、全国的にここまで名前の知れる存在になったか??
今回の『スマートデイズ社』関連の『不適切融資』で注目される前から、
私個人的には、かなり身近な存在に思える金融機関でした。
と言うのも、
私が開催する『交流会』で、以前、20名ほどのキャパで開催していた当時、
『スルガ銀行』にお勤めの方も参加された事があったからかも知れません。
その当時は、
その方も『高利貸しで悪名高いスルガ銀行です』と自虐的に自己紹介されていましたが、
今となっては、このフレーズも全く笑えない『ギャグ』になってしまいました。
ある時から、
『スルガ銀行』の名前が良くない方向で世間に知れ渡るようになると、
その方もお忙しくなったのか、めっきり顔を出されなくなりましたが、
『会社員』としても『企業』としても、かなり厳しい状況にある事は想像に難くありません。
今回の事例、
詳細をあまり理解されていない方々に対して、
簡単に状況整理させていただくと、次のような流れになります。
杜撰なビジネスモデルで都内に『シェアハウス』開発を進めていた企業が、
投資家に説明していた話とは異次元の状況で、倒産してしまった事が発端です。
その時、
その『詐欺投資話』にタッグを組んで、投資家への積極融資を進めていたのが、
今日、公式ブログで話題に挙げさせていただいている『スルガ銀行』です。
同行は、
前述の通り、静岡の第二地銀の立場ではありますが、
静岡銀行、横浜銀行に挟まれて、自身の『ポジショニング』を模索していた。
そこで目をつけたのが、
他行では『リスクが高い』として融資を受けられなかった方々に、
『独自基準』で審査を行い、融資を実行するという『活路』です。
*勿論、『独自基準』で審査したとしても信用リスクに問題ある事は変わりなく、
以前、スルガ銀行職員が言っていたように『高利貸し』になるのは当然です。
ただし、
この『独自基準』というのは、つまりは組織で常態化した『改竄』で、
具体的には、審査対象者の『保有資産額』等を水増しして『不適切融資』を実行していた、と。
何故、そのような事をしたかと言うと、
そもそも、『スルガ銀行』内での営業マンに対する『ノルマ』が厳しかった事に加え、
同行は『融資額』に応じて、金額が直結する『賞与制度』を採用しており(*)、
その偏差は、年間で月給換算『4ヶ月分』から『12ヶ月分』まで幅があったようです。
(*現在は、この賞与制度も廃止されたようです。)
確かに、
(表向きで)『月給換算8ヶ月分』のボラティリティー(変動幅)がある場合、
銀行内の営業マン間でも『過当競争』が起こる心情はわからんでもないです。
『組織的改竄』が明るみに出た当時、
『スルガ銀行』全体としての総融資額『約3兆円』に対して、
『投資用不動産』関連での融資額は、3分の2の『約2兆円」に上ります。
さらに、
この『投資用不動産』関連融資の総額『約2兆円』のうち、
ほぼ半分の『1兆円規模』が、今回話題になっている『不適切融資』の対象でした。
なかなか、笑えないほど悪どいですよね(苦笑)
子供の頃から見てきた『水戸黄門』の登場人物、
『お代官様』と『越後屋』の実写版を地で行く金融機関と言えるかも知れません。
当然の話ですが、
今回の事例を受けて、金融庁は、同行に対して『一部業務停止命令』を検討しています。
また、
株式市場も敏感に反応しており、週明けから同行の株価は連日下落。
今日は久しぶりに落ち着いて取引を終えたものの、
8月22日は『ストップ安』で取引終了、翌23日も前日比『約10%』の下落を見せました。
この事例はまだまだ解決したわけではなく、
『第三者委員会』を置いて、原因究明、今後の再発防止が講じられています。
それで、
長々と事の経緯を説明してきて、今日の本題、『この事例から学ぶべき事』は次の通りです。
『金融機関(関係者)を、信用し過ぎない。』
どうしても、一般市民の方々、特に、地方に行くほど『人が良く』なり、
『金融機関(地銀)』と『その関係者』を信用し過ぎる傾向があります。
それは、明らかに間違っています。
その点、自身で事業をされている方々に認識は真逆で、
『晴れの日に傘を貸し、雨の日に取り上げる』が金融機関のイメージです。
私のメンターは、
金融機関(銀行、保険、証券)をまとめて『悪の枢軸』と呼んでいますが、
少し極端な事例にせよ、今回の事件はそれを明確に示した事案ではないでしょうか。
繰り返しになりますが、
『金融機関』を、あまり、頭から信用し過ぎてはいけません。
私自身、彼らから『融資』を受けた事はありませんし、
そのスタンスは、これから先も変わる事はないと考えます。
日本一の実業家・斎藤一人さんが提唱する、
『無借金経営こそ、経営の真髄』と言う考え方があるからです。
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井上耕太事務所
代表 井上耕太