今日のテーマは、『米国株独り勝ちの時代は、いつまで継続するか??』です。
昨日の公式ブログでは、
『パリ協定離脱に見る、米国が覇権国であり続ける理由』と題して、
『アメリカ・ファースト』を貫く、米国の『凄み』についてご紹介しました。
『環境問題』に限らず、あらゆる分野において、
『アメリカ・ファースト』を掲げ、『利益追求』する同国の姿勢は徹底しています。
本来、
真の意味での『リーダー』とは、自身の『利益』だけを考えるのではなく、
人類・社会全体にとっての『最適解』を見出す『抽象度の高さ』が求められる。
しかし、
現在、世界の覇権国に君臨している『米国』は、
前文ご紹介の『理想像』と比較して、その『実像』は駆け離れていますよね。
こちらについても、
それが『善い』『悪い』という話をするつもりは全くなく、
ただ、シンプルに『そうである』という事をお伝えします。
前述の通り、
『自国の利益追求』を最優先命題に掲げている『米国』ですが、
それは、同国の本業『金融』の分野においても、顕著に現れています。
約10年前、
不動産市場に起因する『CDO』という大量破壊兵器を市場に仕込み、
世界資本主義市場を、言葉通り『死の淵』へ追いやった同国ですが、
時間の経過とともに、ものの見事に『復活』を遂げています。
実際、
昨日(現地:11月4日)NY株式市場の終値ベースでは、
ダウ工業株30種平均株価が『2万7,462.11米ドル』の過去最高値を更新しました。
これだけ、
世界市場に『リセッション(景気後退)』の警鐘が鳴り続ける中、
正に、タイトル通りの『米国独り勝ち』という状況が続きます。
『ダウ平均株価』の話に戻ると、
2008年の金融危機勃発直後から、2009年3月にかけて、
同株式指数は『7000米ドル』の基準値を割り込む『大暴落』を起こします。
暴落直前、
同指数が付けていた値が『1万4000米ドル』付近の推移ですから、
極短期間のうち、『過半数』の資産が市場から吹っ飛んだ計算になります。
確かに、
その後の結末を知っている『今』から見れば、客観視出来ますが、
その渦中にあっては、どこまで『下落』が継続するかは分からず、
流石に、この時は『資本主義メルトダウン』が叫ばれました。
しかし、
そこから『10年余り』の歳月が経過し、米国経済はかつて以上の勢いを復活(?)、
『ダウ平均株価』は、金融危機時の『底』から起算して『4倍』に迫るほど増大しています。
『例え』としては良くないかも知れませんが、
第二次世界大戦時に原子爆弾の投下を受けた『広島』が、
『今後100年、草木は生えない』と言われた言葉を跳ね返し、
見事、直ぐに100万都市として復活している事に似ています。
ただ、『米国市場』の話に戻った際、
その『復活』を演出しているのは、明らかに『まやかし』であり、
単純に、市場の『通貨供給量』を増大させて『底上げ』しているに他なりません。
先日、
米国の某著名経済学者(作家・実業家)の方の著書を読みましたが、
そこで紹介された『過去100年間:市場通貨供給量』のグラフは、
2008年を境に、流通総量が『急騰』している事を示していました。
要は、
元々、共同幻想の上に成立する『通貨』の実質的価値を下落させる事で、
数字上での『経済指標』の過去最高値更新を演出しているという事です。
当然、
私たちが居住する『日本』始め、世界各国で同様の『操作』は行われますが、
『世界経済』を巻き込み、これだけの規模で行えるのは『米国』が唯一です。
また、
それほど天文学的な『リスク』を取り続け、仮に『弾けた』としても、
それを『責任転嫁』してリセット出来るのは、『覇権国』だからこそと言えます。
米国に、
某GSという世界トップクラスの投資銀行が存在しますが、その富裕層顧客に対しては、
現時点でも『米国株、オーバーウェイト』をアドバイス根幹に置いていると言います。
なかなか、『強気』な姿勢ですよね。
個人的には、2012年に起こったユーロ危機の際、
『ギリシャ・デフォルト』の発端を作った同社の事を、
どこまで信用して良いのか、甚だ疑問な気もしますが。
確かに、
月初(11月1日)発表の『雇用統計』は、市場予想を上回り、
未だ、堅調で『底堅い』動きを継続していることも事実です。
加えて、
『米中貿易戦争』についても、一旦、自体は落ち着きを見せており、
識者の中には、『リスクを悲観し過ぎた』との意見をいう方々もいます。
しかし、
それらだけでは『過去最高値』を維持する理由としては不十分で、
現在の市場は、10年前経験した金融危機を超える『リスク』を、
孕み続けながら『綱渡り』で進み続けています。
それが『弾けた』際に起こることは、私たちの想像を超えます。
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井上耕太事務所
代表 井上耕太