今日のテーマは、『日本の年金制度は、益々、複雑怪奇さを極めていく』です。
予めお伝えしておくと、ニッチなニュースに注目しました(笑)
ただし、
『年金制度』という大枠で捉えると、
公式ブログ読者の皆さんは始め、日本人全体に関係のある話題です。
今朝(7月3日)の報道で、厚生労働省は、
中小企業向け私的年金制度である『iDeCo+(イデコプラス)』対象事業所を、
従来の『従業員100人以下」』から『300人以下』に広げる方針を固めました。
一般的に、
日本の年金制度は『3階構成』と言われていて、
全国民加入義務があり、基礎部分にあたる『国民年金(基礎年金)』、
会社員の方々が対象となる『厚生年金(公務員の方々は共済年金)』、
その上に位置する『私的年金(企業年金)』により構成されます。
『3階構成』と聞くと、なかなか豪華に聞こえますよね(笑)
常々、
公式ブログで『破綻』という言葉を用いて、危険性を指摘しているのは、
1階(基礎年金)、2階(厚生年金)に該当する『公的年金』の部分です。
各々、
資格取得試験等で勉強された方々はごぞんじことと思いますが、
この3階構成故(?)、日本の『年金制度』の受給額計算式は、
『複雑怪奇さ』を極めており、もはや『迷宮入り』レベルです。
私自身、
大学まで純粋理学を専攻していた人間で、『波動方程式』等も解いていた為、
それなりのレベルで、『複雑な計算』も解く能力は持っているはずです。
しかし、
意味なく『複雑怪奇さ』ばかり増す『年金計算式』を真野たりにした時、
それを解く『意義』を見つけることが出来ず、戦意喪失したことを覚えています。
恐らく、
日本人口『1億2000万人超』と言えども、現行の年金制度について、
その受給額を正確に計算できる方々は、そう多く存在していないと考えます。
兎に角、その『複雑さ』が少しでも伝われば良いです。
話を元に戻すと、
今日の記事で取り上げた『iDeCo+(イデコプラス)』は、
最も多様性を極める『3階部分(私的年金)』の年金制度に該当します。
『1階・2階部分』同様、
3階部分に該当する『企業年金システム』においても、
2019年現在、潤沢な財源を保有している企業は存在していません。
その証拠に、
かつて、存在していた『確定給付年金制度』の積立不足金は、
2009年時点で上場200社合計『年間21兆円』に上り、
10年経過した現在は、上記以上の深刻さを増しているはずです。
そもそも、
『給付年金制度』自体を維持できる企業が現在では少なくなり、大企業でも、
『拠出年金制度』に移行する事で、『不足金』の充当責任を転嫁しています。
それでも、
疲弊する『公的年金システム』に対して、『私的年金』の自助努力は必要ですから、
日本政府としても、可能な限り制度を拡充して、資産形成意欲を喚起しようとする。
『iDeCo+(イデコプラス)』の場合、
既に存在していた『拠出年金制度』と同様、掛け金や運用益は非課税扱いであり、
受け取り時点でも、『一括』or『年金』受給とも、税制的な優遇を受けられます。
これだけ聞いたら、良いように聞こえますよね??
ただ、私自身は、単純にそうは思えません。
一度、『年金システム』のイラストをご覧頂きたいのですが、
日本の『年金制度』はツギハギだらけで、本当に『混迷』を極めています。
日頃から、
私は、年金制度を『政府主導のポンジ・スキーム(ネズミ講)』と表現しますが、
今回の『小さな動き』も、新規財源確保の一環としか考えられないと思うからです。
『ポンジ・スキーム』
常に、『資金』を新規調達し続けることで成り立つ『無限連鎖講』であり、
実際には、『無限』に成立するはずもなく、『詐欺』の代名詞として使われます。
繰り返しますが、
日本の『年金制度』は、まさにそれだと私は考えていますので、
今回含め、新たな『制度対象拡大』等イベントが起こった際は、
『新規資金調達』を確保したいが為に過ぎないと感じています。
正に、『自転車操業』です。
実際、
もう数年前の出来事になりますが、近年の『大きな変化』としては、
比較的財源が潤沢な『共済年金』と、『厚生年金』との財源一体化が成されました。
また、
上記『2階部分(厚生・共済年金)』部分の財源の一部から、
事業者対象『1階部分(基礎年金)』の原資拡充が成されているのも、『周知の事実』です。
つまり、
日本の『年金制度』は、構造的にも、資金の流れ的にも『ツギハギ』であり、
その『原資』は、『有るところから、使う』という『どんぶり勘定』になっています。
これに、
更に制度拡充して『ツギハギ』を増していく、この流れは止まらず、
今後も、その『複雑怪奇さ』は、混迷を極めていくと考えられます。
生命保険会社等も、
保険契約者の『内容理解』がスムーズにいかないように、
敢えて、『約款』等は、分かりにくく、分かりにくく書かれています。
それと全く同様に、
現在でさえ、誰も正確に把握できない『年金制度』は、
これからも、私たちの『理解』を遥かに超えるレベルに展開していくと考えます。
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井上耕太事務所
代表 井上耕太