今日のテーマは、『日本の財政ファイナンスは、いかなる結末を迎えるか??』です。
『前置き』無く、さっそく本題に入ります。
先日、興味深い報道が出てきました。
『日銀の保有資産、GDPを超える!』
世間的にはあまり注目されていませんでしたが、
皆さん、このニュースを見られた方はいらっしゃいますか??
少しだけ解説すると、
日本の中央銀行である『日本銀行』が保有する資産が、
『GDP(国内総生産)』を超えて、『553兆円』を突破した、と。
最新の情報で、
日本のGDPは、2018年4−6月期を年率換算して、
『552兆8207億円』まで増大していました。
最近は、
『算出方法』なんかも、知らない間に変更されたりして、
以前の数字と比較検討する際、信憑生に欠けますが、ここでは論じないでおきます。
兎に角、
『中央銀行:日本銀行』が保有する資産合計額が、
世界第3位を誇る日本国の『GDP』を超えたことは確かです。
ただ、
ブログ読者の皆さんも感じられていると思いますが、
ここだけ『定点観測』しても、どう評価して良いかわかりませんよね。
それならば、少し時間を巻き戻して、日銀の保有資産推移を見てみましょう。
実は、
約20年前の2000年頃から、干支が一周する2012年頃まで、
日銀の保有資産は、『100–150兆円』程度を並行推移していました。
内訳は、
『日本国債』がいつの時代も総額『50兆円』前後で推移し、
その他を、『有価証券』等の流動生が高い資産が占めていました。
善い・悪いは別にして、その年代は、安定して推移していたんですね。
2008年に起こった『サブプライム・ショック』時でも、
保有量・資産保有バランスを大きく崩す事なく、中央銀行の役目を果たしてきました。
それが、『2013年』を境に、一気に潮流が変化したのです。
記憶にある方もいらっしゃるでしょうが、
この時は『第二次安倍政権』が誕生し、日銀総裁も『白』から『黒』に変わった時です。
それまで、
世界の潮流に『逆行』していた『金融引き締め政策』を改め、
各国が『金融緩和』を終えていく中、またも『逆行』する形で、
日本は『異次元レベル』の『金融緩和』をスタートしました。
本当に、『天邪鬼(あまのじゃく)』な性格な国です(笑)
今日のテーマ、『日銀保有資産』が一気に増大し始めたのもこの頃で、
2013年末時点で『200兆円』を突破したその数字は、
その後も『年間約100兆円』に近いペースで増加していきます。
そして、
今月(11月)13日に日銀発表の『営業毎旬報告』では、
10日時点の保有資産が、総額『553兆5923億円』を突破したというのです。
このように20年ほどの期間の『推移』を見ていくと、
ここ『5年間』ほどの間に、急増している事がわかりますよね。
日銀の『理屈』としては、
『物価上昇目標2%』を達成すべく、景気循環をよりよくする為、
市中資産を購入する形で、『金融緩和』を推し進めたという事になります。
しかし、これは本当なのでしょうか??
私がこの質問をする時は、『決して、そうは思っていない』という時ですよね(笑)
まず、
『日銀』と『政府』は、『物価目標を達成出来ていない』と言いますが、
普通に生活していて、『物価上昇』を肌感覚で感じるのは私だけでしょうか??
事実、
ここ数年間だけでも、生活必需品が『値上げ』という報道は聞いたとしても、
『デフレ経済なので、値下げする』という報道は全く耳にした事がありません。
この時点で、議論はすでに『詰ん』でいます。
じゃあ、何故、日銀・政府は、
『物価上昇目標達成出来ない作戦』を延々と喧伝し続けているのでしょうか??
それには、違った理由があるということを、
『日銀保有資産』の推移状況を眺めていて、最近、気が付きました。
『物価上昇目標達成出来ない作戦』を喧伝している理由、
それは、『日本銀行』が延々と『日本国債を購入し続ける理由』として、それが最適だからです。
実際、
日本銀行の『保有資産』が、ここ数年間で爆発的に増加した事は述べましたが、
実は、『保有資産総額』から『国債保有額』を差引いたギャップは、大きく変化していません。
これが、何を意味するかわかりますか??
『勘』が良い方々は、このヒントだけで気付かれていますよね??
そう、前述の『日銀保有資産』の推移において、
その増加分は、ほとんどが『国債購入』において増加している数字なのです。
その額、実に『450兆円』です!!(驚愕)
公式ブログでは何度も繰り返し述べていますが、
現在の日本経済の状況は壊滅的に悪く、
積み上げた『累積債務』は、返済できる可能性はほぼありません。
『日銀保有資産』が『GDP』を超えた事が今日のテーマですが、
『国家累積債務』においては、対GDP比『260%』を記録しているんですね。
過去の歴史において、
『累積債務対GDP比200%』を超えた国家で、
『債務不履行(デフォルト)』若しくは『金融危機』がなかった国はありません。
そして、
そういった国家が『有事』を迎える際、『国債』の信用が暴落し、
『価格下落』『利回り急騰』が顕在化してくるのが常なのです。
にも関わらず、
世界的な『超低金利時代』を脱出しようとする現代において、
未だに『日本国債』の利回りだけが、先進諸国から遅れを取り、ほぼ0でキープされている。
この事に、もっと早く気付くべきでした。
要は、『日本銀行』が『国債』を市中から引き取り、
積極的に買い支える事で、実態が見えないように『金利コントロール』していたのです。
それを実行する為、『物価上昇目標達成出来ない作戦』の喧伝を繰り返し、
着々と、膨大な量の『日本国債』を日銀内に積み上げ続けていたのです。
『財政ファイナンス』
公式ブログコア読者の方々はご存知でしょうが、
『国家債務』を『中央銀行』が直接引取るこの操作は、経済界の『禁じ手』です。
しかし、
一度、市中(金融機関中心)に引き取らせるとは言え、
最終的には『日銀買取』が暗黙の了解となっている今の状況は、
『間接財政ファイナンス』と表現せざるを得ません。
そして、
その『禁じ手』に手を出したとしても、
いつか原資が尽きるのは必然で、宴も近い将来『終焉』を迎えます。
様々な状況から考えて、
『日本経済』は、私たちの多くが想像する以上に近い将来、
とても大きな『ターニングポイント』を迎える事になります。
その時、
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『貧富の差』は、今の時代のそれどころではないレベルで拡がると考えるのです。
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井上耕太事務所
代表 井上耕太