今日のテーマは、『金融機関所属の人間は、果たして金融のプロか??』です。
先日、ある週刊誌に掲載されている記事で、興味深いものを見つけました。
『知識の無い高齢者を狙い、メガバンクがハイリスク投信を売り捌いている』という旨のもの。
何でも、
『有料老人ホームに入居を検討する』ほどの年齢の方に対して、
『外貨建』『毎月分配型』という投信が販売されていたのだとか。
驚くことに、
その金額、実に、『3000万円』(購入時)です。
先日の公式ブログでもご紹介しましたが、
『毎月分配型』『毎月決算型』投信は、投資対象に関わらず、
『資産形成』という観点から見たら『粗悪品』としか言いようがありません。
詳しい説明は、その記事の繰り返しになるので避けますが、
投資家が『運用益』だと勘違いして受け取っている分配金は、
実は、自身の投資元本から取り崩された『特別分配金』です。
投資家は『元本』が確保されていると考えて、それを使いますから、
本当に無意識のうちに、自身の『投資元本』を溶かし切ってしまいます。
更に、
今回の事例は、投資対象が『外貨』という事なので、
金融機関お得意の『ローカル通貨』での『為替手数料詐偽』もセット販売です。
事実、
投信保有中、計上手数料が『50万円』を超える期間があったそうですから、
確実にこのスキームは活用されており、いよいよ当該金融機関の責任は重いです。
結果、
この記事の事例で取り上げられた女性も、
自身は『3000万円(購入時)』あると思っていた資産が、
蓋を開ければ『1000万円』まで目減りしていたとの事でした。
しかも、
本人は、金融機関(銀行)で『預金』していたと勘違いしたそうですから、
販売時点で、担当者が何かしら『嘘』をついた可能性が高いと考えます。
このような事は、実は、往往にして起こり得るのです。
ここまでも、なかなか衝撃的な内容だったと思いますが、
私自身、記事を読み進めて、特に注意を引かれた部分がありました。
それは、
金融機関の『公共の詐偽』に気付いた、該当女性の娘さんが、
親を何度も説得しようと試みたけど、信用しなかったという事。
娘さんはある程度知識がある方だったようで、
前述の『特別分配金』等の仕組みと、金融機関の『保有残高』を、
自身の親御さんに丁寧に説明したというのです。
しかし、
親御さんとしては、娘の言葉を全く信用せず、
いざ引き出す時点になり、金額を自分の目で見て『夢』から覚めた、と。
まず、
第一に断っておきたいのは、背景から考えて60歳を超える人物に、
こんな『ハイリスク粗悪品投信』を進める人間は『悪』だという事。
勿論、
私のところに面談にきてくださる方々にも、
年齢相応に『リスクヘッジ』して頂くよう提案していて、
60代以上の方々に、『リスク』は取らせられません。
私の目から見れば、
上記事例に関する金融機関担当者は、自身の営業成績だけを考え、
金融機関にとって『手数料収入』が高く、成績評価される商品を、
金融知識が低く、説得しやすい高齢者を狙って販売したとしか考えられない。
彼らの時代(親御さん世代)には、
金融機関が販売する『定期預金』等での相応の利回りがありましたから、
その年代には、金融機関サイドを頭から信用してしまう方々も多いです。
その『信用』を完全に利用し、とんでもない商品を売り捌いたのです。
実際、
この事例でも、当事者女性は娘の言葉を信じず、
最後、眼が覚めるまで、金融機関担当者の言葉を信じていました。
これは、なかなか『闇』が深いですね。
この事例に関わらず、一般的に『金融のプロ』と呼ばれる方々に、
資産形成上の『粗悪品』を売られているケースは、散見されます。
『銀行』だけに限らず、『証券会社』『保険会社』に所属の人間は、
『金融機関』に勤めていることで、『金融のプロ』と見なされがちです。
しかし、
実際は、彼らは『金融機関』に所属している『会社員』であり、
それは、他の業界に所属する『会社員』の方々と全く同じことです。
何が言いたいかと言うと、
彼らは、どこまでいっても『会社員』であり、保有資産は持たず、
あくまで『金融』の業界に身を置く『一般人』であるということ。
更に言えば、『お金』を持っていません。
そのような人間に、『資産運用』の相談をする事は、
自身が、『摩訶不思議な行動』を取っていると思いませんか??
『野球』は、『野球』の上手い人から習う。
『お金』の事は、『お金』を持っている人から教えてもらう。
『当たり前』と言えば、とても『当たり前』な事です。
皆さんが金融機関(銀行・保険・証券)営業マンにアプローチされた時、
何か提案を受けた時点でして頂くと、とても効果的な質問があります。
それは、次の2フレーズです。
『あなたは、実際にそれ(投資対象)に投資していますか??』
『その投資対象に、いくら(金額)ほど拠出しているでしょうか??』
ここで、
自ら資金拠出していない投資対象を提案してくる営業マンは、門前払いです。
更に、拠出資金が少額すぎる営業マンも、即決で捨ててしまって良い。
このポイントだけで、決して『全て』ではありませんが、
かなりの数の『詐偽提案』を蹴散らして行くことが出来ます。
金融機関所属の人間は、『金融のプロ』では決してありません。
自ら『金融リテラシー』を身に付けることにより、
自分の身を(周りの家族の身も。)守って行くことが出来ると考えます。
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井上耕太事務所
代表 井上耕太