今日のテーマは、『投資市場でも、誰もが楽観的になる局面ほど、危うい』です。
昨日、一昨日の公式ブログでは、
『楽観性』というテーマを取り上げ、ポジティブな響きと裏腹に、
その言葉が孕んでいる『リスク』について、ご紹介してきました。
これは、
あらゆる『投資市場』においても、まったく同じです。
例えば、
日本国内の話で言えば、1989年まで栄華を極めた、
『バブル景気』をイメージして頂けたら分かりますね。
当時、
『株式市場』『不動産市場』ともに、上昇の一途を辿り続けて、
『ジャパン・アズ・ナンバーワン』の時代を謳歌していました。
今、
冷静に考えれば、『絶対に無い話』なのですが、当時の日本は、
『株、不動産は永遠に上がり続ける』と信じられていたのです。
この辺り、
『バブルの最中、誰も、その熱狂に気付けない』とは言われますが、
本当に、当時、日本人の殆どが陶酔している状態だったと言えます。
別に、『日本』だけでは無いです。
それ(バブル崩壊)から10年後、
今度は、世界市場において『ITバブル』が沸き上がりますが、
『2000年』を境とした暴落は歴史が示している通りです。
確かに、
『IT技術』の革新は、その後の世界に『革命』をもたらしますが、
当時は、その『ポテンシャル』以上に、評価が高まる状況でした。
そして、
2007年後半から2008年にかけて顕在化した、
米国・不動産市場のサブプライム・ショックも然り。
当時、
米国・不動産市場は『右肩上がり』の成長を続けており(?)、
誰も、その『暴落』を予想するものなどはいない状況でした。
加えて、
サブプライム(低信用層)にも融資が下りるガバガバ状態で、
低収入層が、自身の年収の『何十倍』もレバレッジを掛けて、
『不動産投資』に流入する状況が『常態化』していました。
当時を描いた映画、
『THE BIG SHORT(邦題:マネー・ショート)』の1シーンで、
ストリッパーが、5件もの『不動産』を所有する姿が出て来ます。
当然(?)、
彼女自身に、取り立てて『蓄え(預貯金・保有資産)』はなく、
借主から賃料支払いが滞ったり、ローン返済金利が上昇すれば、
一瞬で『資金ショート』してバースト(爆発)してしまいます。
しかし、
その『現実』もまったく理解していなかったサブプライム層は、
全米に『爆弾』をばら撒き、その後、世界に飛び火させました。
まあ、
『金融機関』も一緒になって仕組んでいたことなので、
決して、彼ら・彼女らだけを責めることは出来ません。
その状況にも関わらず、
その時期の『米国』は、バブル期の『日本』とまったく同様に、
『不動産市場は、今後も上がり続ける』と信じ切っていました。
その証拠に、
ヘッジファンド・マネージャーである、ジョン・ポールソン氏が、
某投資銀行で『不動産市場のCDSを売ってくれ』とオファーした時、
担当者は、笑いを堪えるのに必死だったとの逸話が残っています。
それほど、
当時は、『不動産市場の暴落は有り得ない』と信じ切られていたのです。
因みに、
上記のヘッジファンド・マネージャー:ジョン・ポールソン氏は、
『世紀の大暴落』を初期段階で見抜いていた人物の一人で、
金融市場がメルトダウンしたこの年、天文学的リターンを上げます。
要は、
どのような市場においても、誰もが『楽観的』になり、
現状を把握できなくなる時が、危ないということです。
近年では、
2020年に『東京五輪』の開催が決定したことで、
東京エリアの不動産神話が生まれかけたタイミングが有りますよね。
確かに、
世間的なバッシングを受けたとしても、五輪開催されれば、
世界から『人』は流入し、その地域の不動産は高騰します。
このように、
誰でも理解できるようなシンプルなロジックなのですが、
だからこそ、誰も疑わなくなった状況こそ本当に危ない。
いつの時も、
『油断』が生まれる場面にこそ、『リスク』は潜んでいるものです。
直近の『株式市場』でも、その兆候が見え始めました。
一時期、
『ビフォー・コロナ』水準で推移していた株式市場ですが、
ここに来て、連日『失速感』が見え隠れしている状況です。
実際、
米国市場・NYダウ平均株価は『2万9000ドル』を射程圏に捉える状況から、
連日、ジワジワと下げ始めており、現時点『2万7000ドル』を割り込みます。
昨日、
9月23日の市場取引では、実に、株式時価総額として、
『6500億ドル(*)』が吹き飛んだことになります。
(*日本円換算:約70兆円にせまる金額です。)
また、
S&P500インデックスも、前日比『▲2.4%』を記録し、
今年7月以来の『最安値』を更新するまで落ち込んでいます。
しかし、
この状況でも、市場にはまだまだ『楽観ムード』が漂っており、
オプション市場では『底堅い動き』に賭ける考え方が主流です。
欧州では、
『新型ウイルス』による、本格的な『第二波』が始まったものの、
5ヶ月間続いた『強気相場』を打ち消すまでには至っていません。
そして、
各国政府・中央銀行が金融緩和する中、市場参加者の殆どが、
『株式市場は、まだまだ上がり続ける』と、予測しています。
誰もが信じて疑わない時こそ、本当に、危うい。
私たちは、その事実を、これから経験するかも知れません。
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