今日のテーマは、『普通に考えて、社会保障制度は破綻します』です。
久しぶりに、『お金』に関する話をしたいと思います。
発表されてから早1ヶ月近く経ってしまいましたが、
先月21日、政府は2024年度における『社会保障費』の推計を発表しました。
日本の新聞各紙はじめ、ネットニュース等でも大々的に取り上げられていたので、
この報道を目にされた方々も多いかも知れませんね。
経済成長率が年2%前後で推移していく場合の基本ケースですが、
約20年後の2040年度、日本の『社会保障費』総額は『190兆円』になります。
もう、金額が大きくなり過ぎてよくわかりませんよね。
この金額がどれほどのものかと言うと、
現時点の2018年度と比較して『6割』を超える数字。
『22年間』の間に数字が『160%』に跳ね上がるというのは、
『投資』の世界でもなかなかのリターンを求めるレベルです。
市中金融機関が提供する大口定期の利率が、
『0.30%(税引き前)』の日本においては、到底達成不可能なリターンですね。
30代半ば以降の方々は実感持たれると思いますが、
『20年』なんて時間は、気が付いたらあっという間に過ぎてしまいます。
私も、高校時代なんてつい最近のように考えていましたが、
気が付けば、それから『約20年』の時が経ってしまっていました。
どうりで、最近は、原因不明の筋肉痛があるはずです(笑)
それだけ一瞬で過ぎ去ってしまう『20年』という期間に、
日本の社会保障費は『110兆円』ほどから『190兆円』へと跳ね上がる。
理由は簡単に想像つくでしょうが、
『ベビーブーム世代』『団塊世代』と呼ばれる方々が、
65歳の後期高齢者を超える2020年から、保険の『高齢者給付』が劇的に伸びるから。
また、
85歳以上の方々の介護サービス必要率50%を考慮すると、
介護給付は、この20年ほどの間に2018年比『240%』まで膨らみます。
さらに、
『社会保障費の給付者』急増同様に簡単に想像がつくのは、
少子高齢化の進展に伴う、『生産年齢人口』の歯止めの効かない減少です。
推計では、
2040年時点で65歳以上の人口は『4000万人』近くに達しピークを迎え、
15歳以上64歳以下の生産年齢人口は、現在より『1500万人』減り、
その中でも、税・保険料を負担する就業者数は『930万人』減ります。
要は、
社会保障費の『給付者』が急増してピークに達し、
社会保障費の『担い手』が減少していき、底を打つということです。
もう、この際、『数字』はどうでも良いです。
『大枠の流れ』だけ理解できれば想像がつきますが、
普通の思考回路で考えて、既存の『社会保障システム』は行き詰まるということです。
一見矛盾しますが、
『社会保障システム』が破綻してしまったら、
それは、『国家システム』の存在意義が問われる自体ですから、完全には無くしません。
では、どうするのか??
シンプルな話、システム維持に十分な『原資』がないのであれば、
『給付者』への支払いを薄くし、『担い手』の負担を増加させれば良い話です。
あくまで推計の域を出ませんが、
2040年時点、大企業の会社員の方々が負担する医療・介護の保険料率は、
合計で年収比『約14%(労使折半)』まで増加すると言われています。
この数字は、現状より3.2%ほども高い値です。
現時点でさえ、負担率増加を感じられている方もいる中で、
今後、まだまだ上昇を見せていくことが予想されています。
ただ、
この数字もまだまだ『甘い算段』かも知れなくて、年率2%前後で経済成長し続け、
2040年にはGDPが『790兆円』になる予測のもとに成り立っているからです。
『失われた20年』を過ごし、今も停滞ムード漂う日本経済において、
その成長率の見通しは、あまりにも『楽観視』し過ぎていますよね。
兎に角、ここまでの話で、壊滅的な状況が伝われば良いです。
決して間違って伝わって欲しくないのは、
私は、このような状況を嘆いている訳でも、悲観している訳でもありません。
一人もがいたところで状況が変化する訳ではないですし、
『大きな流れ』を変えるより、『自分のスタンス』を変える方が得策だからです。
このような時代の流れにおいて大切なことは、
私を含めて、国民一人一人が、『社会保障システム』をあてにせず、
来たるべき時に向けて、自助努力で『資産形成』を進めていくことです。
現時点で給付がスタートしている『私たちの親世代』の方々は、
ギリギリ、この状況を逃げ切れるかも知れません。
しかし、
その子世代である『私たちの世代(20代、30代、40代)』が、
親世代と同様の『社会保障』の恩恵に預かれるというのは見込みが甘過ぎます。
この状況において、
世間一般的には『資産形成していない人』の方が多数派を占めますが、
その方々は、一体、何を考えながら日々を過ごしているのでしょうか??
月々の生活コストを、毎月の収入で賄うのが精一杯なのか。
同世代であっても、資産をほとんど保有しない人にも出会いますが、
この方々は、一体、いつになったら『資産形成』するつもりなのでしょう??
あと20年も時間が経てば、私自身50代の半ばを迎えます。
その頃になると、なかなか想像もつきませんが、
きっと、到底、今と同じ働き方は出来ないというのは予想できます。
自身が働けなくなった時、勿論、労働収入も途絶える。
現行レベルの『社会保障』も期待できず、自らの資産状況が生活の質に直結する。
そに場面において、
精神的・経済的に安定した人生を送れる方が、
2040年後の日本に、一体、どれだけいらっしゃるのでしょうか??
『リスク』は、先延ばししていても、全く何も解決はしません。
今のあなたが『資産形成』しなければ、今後もすることはきっと無いでしょう。
今から約20年後の2040年、日本はきっと、
『持つ者』と『持たざる者』の格差が、想像以上に広がっていると考えます。
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井上耕太事務所
代表 井上耕太