今日のテーマは、『私達が、快適年金ライフを送る事が出来ない理由』です。
昨日の公式ブログでは、
『私達は、快適年金ライフを送ることが出来るのか??』と題して、
読者の皆さんに、自身の『年金』について興味を持って頂く注意喚起をしました。
その上で、
『公的年金(国民・厚生・企業年金含む)』1つの流れに頼った、
リタイア後の『ライフ・プランニング』が、いかに危険かをご紹介させて頂きました。
そもそも、
未だ財源的に『恵まれている』はずの、現在、年金支給を受けている方々でさえ、
昨今では、『下流老人』なる言葉で、老後生活の『リスク』が喚起されています。
先日ご紹介しましたが、
日本政府が定めるところの『モデルケース(?)世帯』でさえ、
現在、年金受給している方々の平均世帯収入は『月22万円』程度に限られます。
確かに、
『地方都市』であれば、この金額で豊かに暮らせるかも知れませんが、
医療・公共サービスの集約を考えると、『大都市圏』で生活する高齢者は、今後も増大します。
その中で、
『月22万円』という収入で、生活を維持していく事は『至難の業』で、
インフレ率等も考慮すると、上記の『貨幣価値』は、今後、一段と効力を落とします。
そもそも、
前述した『モデル・ケース』は、将来的に当てはまらない可能性も高く、
『生涯未婚率』が、年々上昇し続けている『日本国』では、
『シングル・インカム』の年金しか受給出来ない方々も多く存在します。
そうなると、
仮に、現行制度が維持・継続できたとしても、10年後、20年後の日本では、
『年金』としての世帯平均収入は、『月10万円』程度になるのではないでしょうか。
かなり、厳しい状況です。
更に、
迫り来る『消費増税』に話題をさらわれていましたが、
1ヵ月少し前の8月末、厚生労働省から『財政検証』なるデータが発表されていました。
猛暑を極める頃だったので、
皆さん、恐らく、意識も朦朧としていて、マークされていないですよね(笑)
これは、
『公的年金』の持続可能性を点検する意味で、5年に1度実施されるもので、
『経済成長』や『就業形態』のパラメータ(変数)を何パターンか作成して、
それぞれのケースで『年金財源』がどのように推移するかをシュミレートしています。
今回の調査では、
前回(2014年)比較で、厚生年金適用拡大により『保険料収入』増加に加えて、
『出生率向上』『高齢化率低下』『労働参加進展』が寄与し(?)、年金の財政状況『改善』が示されました。
しかし、
その上で、『経済成長』『高齢者就業』が進むことが前提とされる標準ケースでも、
前述『モデル世帯』の年金収入は、30年後、実質『2割減』が示されたのです。
ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、
上記『モデル世帯』の年金収入『月均22万円』の内訳としては、
『夫:厚生年金16.5万円』『妻:国民年金5.5万円』が基準になっています。
そして、
『月22万円』の2割に相当する『4.4万円』が減額されるという事は、
『妻:国民年金5.5万円』一人分の年金支給がストップする事と、ほぼ同義です。
なかなか、事態は深刻ですよね。
更に、
『年金財政検証』では、もう1つ大切な指標も調査されているのですが、
それは、現役男性平均収入額(*)を基準値とした『所得代替率』というデータです。
*『ダイバーシティ(多様性)』が進む現代の中では、『モデル世帯』同様に、
この『基準値』が、果たして、『正しい』のかという疑問も生まれています。
2019年時点、
上記『所得代替率』は、現在、年金給付を受けている方々で『61.7%』であり、
この数字は、前回(2014年)調査『62.7%』から『1ポイント』下落しました。
直近で見れば、
次回(2024年)調査時点においても『60%超』を維持すると見込まれますが、
『団塊の世代』が後期高齢者を迎え、『超少子・超高齢化』が顕著になると、事態は一変します。
私自身、
政府試算の『標準的なケース』でも、かなりの『楽観論』が含まれると考えますが、
その試算においても、30年後の『所得代替率』は『50%』まで低下しています。
更に、更に、
『経済成長横ばい』と仮定した場合、現在20歳を迎える世代の方々が、
現在の65歳世代と同じ『所得代替率(60%超)』を確保する為には、
『68歳9カ月』まで働く必要性があるとの試算も示されていました。
勿論、
この試算についても、『現行年金制度が維持出来れば』という大前提が付きます。
この発表に対して、
民間エコノミストも手厳しい評価をしており、
『日銀金融緩和終了後でも、経済成長が継続する』ことが前提条件とされており、
その状況で『年金資産運用利回り:3−4%』実現は、厳しいと指摘しています。
また、
『マクロ経済スライド』なる爆弾スキームによる調整も進む中では、
考えられる様々なケースで『所得代替率:50%割れ』が予想され、
総合的に見て、『年金財政の持続可能性は危うい』と判断されています。
これが、『現実』です。
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井上耕太事務所
代表 井上耕太