今日のテーマは、『イラン経済制裁発動に見る、米国経済最強の理由』です。
速報でも順次報道されていたので、目にされた方もいらっしゃると思います。
日本時間の本日(11月5日)午後、米国現地時間11月5日午前0時、
米国による『イラン経済制裁:第2弾』が発動されました。
今回、
経済制裁の対象としては、同国の主要産業とされる『石油』『金融部門』が挙げられます。
特に、
世界トップクラスの埋蔵量を誇り、主要輸出品目筆頭の『石油』が、
対外的に『輸出禁止』となると、同国の経済に大打撃を与え兼ねません。
日本でも行われた、
戦国時代の『兵糧攻め』宜しく、
これを現実に実行されたら、城が陥落するのは『時間の問題』と言えます。
もし、
本当に『石油』の輸出が完全ストップされてしまったら、
『イラン』という国の経済は、想像以上に一瞬で崩壊してしまうでしょう。
『息』をしていないのと、同じ事になってしまいますからね。
ただし、
現実には『完全輸出停止』は不可能で、今回の『禁輸措置』については、
日本を含む8カ国・地域を一時的に対象外とする方向で調整が進んでいます。
いつも『強行スタイル』を貫く米国としては、
珍しく、かなり『譲歩』した形での『経済制裁』となりましたね。
若干、周辺環境も絡んできますが、
代替する石油増産地として考えていた『サウジアラビア』が、
政府に批判的発信をしていた記者殺害が国際的関心(非難)を集め、
同国に頼る事が出来なくなった事が1つ目の理由。
そして、
『そもそも論』的な話になりますが、本当に『完全禁輸措置』を取ってしまうと、
世界マーケットでの『石油価格』が高騰し、『米国経済』に大きな影響を与えるからです。
年間『GDP:約2000兆円』を稼ぎ出す同国は、
『石油消費量』においても、世界ダントツのナンバーワンを継続しています。
経済制裁のターゲットとする『イラン』の息の根を止める事で、
『米国』自らの首も絞めてしまう事になるのが、皮肉なところです。
一昔前、
『シェール・ガス革命』が声高に叫ばれていた頃、
『数年後、米国はエネルギー輸出国になる』と言われていたのも、どこ吹く風です。
それで、
ここまで長々と話を続けていましたが、公式ブログ読者の皆さんは、
今回の『イラン経済制裁』について、米国が掲げる『命題』をご存知でしょうか??
当然の話、
何も批判する事がない状況で『経済制裁』を実施すれば、
『イラン』ではなく、世界の覇権国家『米国』に批判の声が集中するでしょう。
これだけ大々的に実行するのであれば、何か、それ相応の『理由』が必要です。
今回、
『イラン経済制裁』実行に向けた『米国』サイドの命題としては、
同国が原油輸出や金融分野で獲得した『外貨』を、
自国内での核開発や、周辺国のテロ組織支援に回しているというものです。
もしも、
これが『真実』であるとしたら、(それでも正義の振りかざしに過ぎませんが。)、
『経済制裁』する理由としても、国際的に、それなりに認められそうですよね。
しかし、
『これは、本当に真実なのか??』という事が、私が言いたい事です。
少しだけ、記憶を巻き戻してください。
以前、米国はブッシュ政権時代、同様の理由で『イラク』に介入し、
『独裁者』として同国を統制していた(?)サダム・フセイン大統領を、
数年間の先頭の末、拘束しました。
その後、
残念ながら同氏は死刑に処されてしまいましたが、この後判明した事実は、
イラク国内に『核開発施設の建設』等は認められなかったという事実です。
これ、個人的には『衝撃的』な事だと思うんです。
『主権国家』に介入した事自体、国際法に照らし合わせて重大な違法行為ですが、
それに加えて、冤罪で人命を奪っておきながら、『間違いでした』、と。
これ、自分自身や、親族であれば、たまったものでは無いですよね。
この圧倒的劣勢を『もみ消す力』がある事が、
『米国ファースト』の証明のように映りますが、今振り返ってみても、なかなか凄い出来事です。
それで、
実はこの時、『米国』は『イラク』が核開発などしていない事を、
軍事介入に入る以前から、把握していたという話があります。
『え!?』、と思いますよね。
そもそも、『イラク』介入の第一命題に挙げていた核開発阻止が、
同国に戦争を仕掛ける前から、『米国』サイドは無意味と分かっていた、と。
では、何故、それでも介入したのか??
それは、国際的な『石油決済通貨』として流通する『米ドル』の掟を破り、
サダム・フセイン氏が『ユーロ決済』をしようと画策した為だと言われています。
何の世界にも、『表の理由』と『裏の理由』が存在しますね。
*完全なる余談ですが、その出来事の数年前、
アフリカ某国でも全く同様の事態が起こり、権力者が暗殺されてしまいました。
今回、同様に『米国』が『イラン』に経済制裁を加えていますが、
どことなく、これらの出来事に『雰囲気』が似ていると感じるのは、私だけでしょうか??
今日のタイトルですが、
今回の件に見る、『米国経済最強』の理由は、
『米国は、覇権固辞の為なら、言い掛かりで戦争(経済戦争含む)を起こす国だから』、です。
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井上耕太事務所
代表 井上耕太