今日のテーマは、『債券(借金)で溢れ返る世界は、どこへ向かうのか??』です。
昨日の公式ブログでは、
『あなたは、キプロス・テストを知っていますか??』と題して、
2013年に起こった、『キプロス共和国』デフォルトの様子をご紹介しました。
少しだけ振り返ると、
キプロス自身の財政的綻びと、世界的金融危機の影響も相まって、
それまで『投資マネー』で潤っていたこの国は、一瞬のうちに衰退します。
当時、
GDPの大部分を『金融』という分野が担っていましたから、
この『血液』の流入がストップすれば、一瞬で瀕死に陥るのは当然です。
勿論、
海外の『富裕層・機関投資家』も、ある程度の痛手は被りましたが、
非居住者に関しては、自由度は確保されていた為、国外脱出が可能でした。
最終的に、
トロイカ(EU、ECB、IMF)管理下に置かれて復活したのですが、
その過程で、大部分の『痛手』を引き受けたのは、他ならない『国民』です。
具体的には、
『預金封鎖』『海外送金禁止』『10万ユーロ超の資金没収』と、
金融危機の際の『常套手段』を、1つずつ実行していった形です。
昨日も述べましたが、
『一夜』にしてデフォルトを迎えてから、暫くの間は、
クレジット・デビット決済すら利用出来なかった期間があると言います。
その期間は、
幾ばくかの『手持ちの現金』のみで対応していたようですが、
このタイミングで『急激なインフレ』が襲えば、終焉していましたね。
もし仮に、
『紙幣刷新』等の措置を、併行して行われていたら、
キプロス国内は、想像を絶する『大パニック』に襲われていたと考えます。
この辺り、
小国ながら、欧州統一通貨『ユーロ』を採用していたことの、
『唯一」と言える『恩恵』を与っていたという所でしょうか。
2020年現在、
恐らく、『観光』分野では壊滅的な被害を受けている同国ですが、
『金融』分野では、7年前の面影を残さないほど回復を見せます。
元々、
地中海における『ハワイ』的ポジションを確立していた同国ですが、
混乱が過ぎ去れば、海外富裕層・機関投資家から見て、魅力的です。
しかし、
何故、わざわざ7年前の話を蒸し返してご紹介したかと言うと、
この時行われた『キプロス・テスト』は、現代の教訓になり得ると感じるからです。
一般的に、
『国家破綻』が起こる際、『債務不履行』に陥るものが主ですが、
冒頭からご紹介している『キプロス』に関しても、保有していた、
『ギリシャ国債』デフォルトに伴う『連鎖倒産』という形でした。
『個人』も『企業』も『国家』も。
組織の大小に関わらず、要は、『資金ショート』すれば終わりということ。
昨今では、
『自国通貨建て債権は、無限に発行しても破綻しない』旨の理論も有りますが、
個人的には、そのような『馬鹿げた理屈』は、現実的に成立しないと考えます。
ただ、『今』その話を展開しても、『神学論争』に陥るので控えますが。
話を戻すと、
今年2月から本格的に顕在化した『コロナ危機』を通じて、
日本を含めた世界各国は、急速に『債券』を増発(乱発?)しています。
確かに、
『経済活動』が、歴史的に見ても、最大限ストップした現在では、
全人類70億人の大半が、『収入』が急減するか、途絶えてしまっています。
その方々に対して、
『経済支援』を拡充していくことは、『本来の意味』では、
『国家』としての『存在意義』を示す絶好の時と言えます。
しかし、
世の中を循環する『お金』の量が、圧倒的に減少している現在、
民間同様に、国家としての収入源『税収』も、急減しているのが実情です。
そもそも論では、
こんな時こそ、平時に蓄えた『内部留保』で対応したのですが、
『予算使い切り』を本業とされる公務員の方々は、そんなもの、残していません。
結果、
平常運転時から、『資金的余裕』のある国家など、一部例外を除き皆無で、
『経済支援』に関しては、そのまま『新規債券(借金)』で賄っているのです。
『コロナ危機』以前から、
私たちが居住する『日本国』については、
この際、比較対象は何でも良いのですが、
『天文学的な債務』を積み上げていることをご紹介しました。
当然の話ですが、
『コロナ危機』の報道にマスキングされている現在でも、
この問題は、何一つ『根本的な解決』は見せていません。
むしろ、
前述の通り、『経済支援』を行うことで累積債務は激増しており、
『財政状況』としては、今まで以上に、壊滅的な状況に陥ります。
もし仮に、
2020年内に『コロナ』に関する終息の兆しが見えたとしても、
『経済活動』が完全に正常値に戻るのは、確実に数年を要します。
一説には、
2021『東京五輪』の開催さえ、現時点から中止検討されていますが、
もしも、本当に開催中止に到れば、経済的観点では『THE・END』です。
現在、
実行されることが決定されている『経済支援』に加えて、
新たな『追加支援』が不可欠になり『歳出』が増えたら。
また、
『経済活動』の落ち込みや、『東京五輪』の開催中止により、
日本国に流入する『歳入(税収)』が低迷し続けたとしたら。
どのような『未来』が待ち受けるのか??
昨日ご紹介した『キプロス・テスト』は、もう少しだけ、
経済・人口規模の大きな『島国』で試されるかも知れません。
決して、『他人事(ひとごと)』に感じられない自分がいます。
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最後になりますが、
新型コロナ・ウイルス感染拡大に伴う、事態の早期収束・終息と、
ご覧頂いている皆様のご健康を、心より、お祈り申し上げます。
井上耕太事務所
代表 井上耕太